もういい年の老人のフィリップ・ベイカー・ホールがカフェの前でうなだれているホームレスのようなジョン・C・ライリーに声をかけてコーヒーとタバコを奢り、金を貸してやる、カジノでの儲け方も教えてやる、やる気はあるか?と聞く。
ジョン・C・ライリーは知り合いでもないのに、なんでそんなことしてくれるんだ、ケツは貸さないぞと不審に思うんだけど、葬式代を稼ごうとカジノで大負けしてどうにもならない状態だったので、申し出をうける。
カジノに行って、チップの記録カードをもらって、ちょっとプレイしてチップを現金にして、またチップにかえてを繰り返す。そうやって記録を残すことで、カジノ側に上客だと思わせる。上客には無料の宿泊サービスやショーの無料チケットなどがふるまわれる。
そんなことから二人の師弟関係が始まり、2年後、ジョン・C・ライリーはいっぱしのギャンブラーになっててフィリップ・ベイカー・ホールとは親子のような信頼関係を築いていた。
そういうのを丁寧に丁寧に描く。映像がたっぷり時間を使って、ゆっくり余裕なムードで演技を撮るタイプなので、ものすごく時間の流れが遅く感じます。
よく言えば横綱相撲。どっしりかまえて、ちょこまかしない。悪く言えばスピード感に欠けるダルい映像。このテンポは好き嫌い分かれるか。
そんでジョン・C・ライリーはカジノで働くウェイトレスのグウィネス・パルトロウのことをいいと思ってる。それを知ってるフィリップ・ベイカー・ホールは、二人の仲をとりもとうとします。
お金を貸してカジノでの儲け方を教えるだけじゃなくて、女の世話までする。神か?みたいな。なんで見ず知らずの人間にそこまでするのか。なんかあるんだろうなって、裏を想像しながら見てました。
グウィネス・パルトロウがろくな女じゃないんすよ。悪いやつじゃないみたいだけど、ちょっと頭が足りないみたいだし、売春をやってる。
こんなやつ紹介して大丈夫かって思うんだけど、ジョン・C・ライリーが気に入ってるし、グウィネス・パルトロウのほうもまんざらでもないみたいだし。
フィリップ・ベイカー・ホールのはからいで二人は見事結ばれて結婚。カジノの周辺は24時間教会が営業してて、いつでもすぐに結婚できるらしいですね。それで二人は結婚したのだが、めでたしめでたしとはいかず、助けてくれという連絡がきます。
フィリップ・ベイカー・ホールがモーテルの1室を訪ねると、泣くグウィネス・パルトロウ、銃を手にするジョン・C・ライリー、見知らぬ男が手錠でベッドにつながれているという状況になってます。
なんかさ、結婚した夜に、グウィネス・パルトロウが売春やって、男がお金を払わないと言い出したからジョン・C・ライリーを呼んで、金払えって男の女房かなんかに電話してみたいなことになってる。
バカか?人質とってお金を要求って重罪だぞって呆れるフィリップ・ベイカー・ホールなんすけど、二人をなだめて落ち着かせて、二人でこのままこの町を出て逃げろとアドバイス。
なんでこんなバカのバカなしでかしの後始末まで買って出るのか、よくわかりません。おせっかいおじいさんのおせっかいの理由はなんだ?
この件は売春の客だった男が警察に言ってないみたいで大事にはならずにすみます。逃げるついでに新婚旅行ってことでナイアガラの滝見物に行ってるジョン・C・ライリーから電話があって、無事で問題ないと一安心。
そしたらジョン・C・ライリーの最近の友人、サミュエル・L・ジャクソンがフィリップ・ベイカー・ホールに話があるってやってくる。
おれは全部知ってるんだぜ~、あんたがジョン・C・ライリーの父親を殺したってこと。相当なマフィアだったらしいじゃねえか、あいつにこのことをばらされたくなかったら、全財産よこせって強請ってくる。
なんだよ、おせっかいの理由ってそんなことだったのかあってがっかりです。
老境のマフィアが罪滅ぼしのつもりで、殺したやつの息子の世話をしてたってことか。
つまんない理由だなって、がっかりしたんだけど、こっからどうなるのか楽しみだって思って見てたら、フィリップ・ベイカー・ホールがサミュエル・L・ジャクソンを撃ち殺しておしまい。
終わった。いや、こっからでしょ、ドラマの本番は。今までのは前フリ、序章、設定の紹介でしかない。こっからどうなるかがドラマだろって。
こういうのたまにありますね。こっからどうなるかが見たいのに、終わりなのって。こっから描くことがドラマなのにそこをやらないんだってがっかりさせる映画。
最後、フィリップが袖に血がついてるのに気がついて隠すそぶりをする。血なまぐさいマフィアとしての本性は、あしながおじさんを演じても隠せないっていうね。本性は隠せない、過去の償いはできないっていう話なのかな。