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『家族』【映画のあらすじとネタバレ感想】


山田洋次監督、倍賞千恵子、井川比佐志出演の家族ドラマ。元気があればなんでもできる、これが若さかって感じでした。いろいろ問題はあるし、うまくいかないことばかりだけど、元気だから大丈夫みたいな。昔の日本人はそうやって無茶やって、困難を乗り越えて生きてたんだなあみたいな。

記録映像としてもおもしろかった。長崎から北海道まで、列車で日本列島を縦断していく話だから、昔の駅の風景とか町並みの風景が楽しめた。大阪万博の映像も少し出てくる。

1970年代の長崎、北九州、大阪、東京、北海道の映像が楽しめる。ロードムービー。長崎の炭鉱で働いていた井川比佐志。閉山で職を失って、次何やるかとなって、北海道の開拓村で酪農やると言い出す。

年老いた父親、笠智衆、まだ幼い息子と赤ん坊と倍賞千恵子。素人が酪農ってそんな簡単にいかんよと反対する倍賞千恵子だが、井川比佐志はもう決めたから、自分ひとりでも行くといってきかない。

井川比佐志は昔の融通の効かない頑固な日本のオヤジって感じの役がほんと似合うなあ。それで引っ越しすることになるんだけど、列車の旅です。長崎を出て福山で製鐵所につとめる弟、前田吟のとこに行く。

笠智衆を前田吟の家で引き取るということだったんだけど、前田吟の暮らしも余裕がないのがわかる。製鉄所の給料はいいけど、家のローンや自動車のローンでお金に余裕はなく、仕事は忙しくて、笠智衆が同居するのは、正直迷惑そう。

井川比佐志は前田吟とよく相談もせず、適当に決めてしまってたから、こんな状況だとは思いもしない。うーん、っていたたまれない気持ちになった倍賞千恵子は笠智衆も一緒に北海道に行きましょうって言い出して、笠智衆も一緒に北海道行くことになります。

そんで大阪。日本万国博覧会が開催されていてすごい人であふれかえる梅田。どっか食堂でメシを食おうと食堂を探すのだが、梅田の地下街ダンジョンで迷って途方にくれる井川比佐志たち。

昔から梅田の地下ダンジョンは入り組んでて不便だったんだ。

それで新幹線まで少し時間があるから、万博見物に行こうってことになって万博の入口まで行きます。中に入ってパビリオンをめぐるには時間がないから、外から太陽の塔を見るだけ。

そっから新幹線で東京までなんすけど、もうへとへとで、途中で笠智衆が富士山が見えるぞって言っても眠たくて景色を楽しむ余裕はありません。新幹線もさ、この顔なんだよねえ、自分の中の新幹線のイメージは。

今の最新式の車両は乗ったことないからぜんぜん馴染みないし、新幹線って言われたら、未だにこの時期の顔つきの新幹線が思い浮かんじゃう。

それで東京。こっから夜行列車で青森だっけ、の予定なんすけど、赤ん坊の体調が悪いってことで急遽、旅館に泊まって救急病院で診察をうけることになる。

東京の人は冷たいなあって、病院探して夜の町をさまよって、やっと診察してもらったら、思ったより状態が悪くて、なんと赤ん坊はあっさりと亡くなってしまう。

え~みたいな。ここで赤ん坊が死んじゃう展開来るのか~って。ちょっと唐突すぎないかって思った。病気の赤ん坊とか、体が弱い赤ん坊とかじゃなかったと思うけど、こんなにあっけなく死んでしまうとはって感じです。

ここは、なんか物語として、主人公たちが落ち込むための展開で無理やり死なせたって感じがしちゃったな。ここで落ち込んで、最後北海道で悲しみを乗り越えるっていうラストにつなげるための展開に思えた。

悲しみにくれる倍賞千恵子。いたたまれない井川比佐志。なんと言っていいのかわからない笠智衆。北海道へ行かずに長崎にいればこんなことなかったって。

まあそれでも進むしかないので、青森まで夜行で行って、そっから連絡船で北海道だっけ。いやー、昔の人はタフだ。こんなスケジュールで列車に乗ってたら、からだ悪くするよ。

でも、昔はこういう移動が普通だったんだよなあ。今は飛行機でLCCとか、安くて速い移動手段があるからなあ。気合で乗り切ったのか、昔の人は。

ほんで北海道ついて、気が抜けたようになる井川比佐志たち。そりゃ疲れ切るよ。歓迎会で飲み会で、笠智衆がごきげんに歌をうたって楽しくやるんだけど、笠智衆は寝てそのまま目が覚めずおなくなりになります。

旅の途中で赤ん坊をなくし、旅の終わりに親を亡くす。こんな辛い思いしてやってきた北海道は厳しい冬の寒さで家族を迎え入れる。

春になり、生まれた牛をもらうことになって大喜びする倍賞千恵子。失った命もあれば、新しく家族に加わる命もある。倍賞千恵子は妊娠している。希望にあふれた顔で笑い合う井川比佐志、倍賞千恵子。

そうだな、元気でさえあれば、どんな困難でもなんとかなるもんだって感じしました。慣れ親しんだ町での暮らし、仕事を失って、知らない遠くの土地へ移住。旅の途中で家族を失い、悲しすぎることばかりだけど、新天地での新生活を新たな気持でやっていく。

彼らにはその強さがある。

うーん、若いってすごいぜって感じですかね。倍賞千恵子が茶髪のギャルで若いのが新鮮だったなあ。

色仕掛けで、金貸しのおっさんをたぶらかして、無利子無催促でお金を借りたりするし。倍賞千恵子といえば男はつらいよのさくらのイメージ。それか今のおばあちゃんのイメージが強くて、若いときの倍賞千恵子はあまり印象にないから新鮮でした。

山田洋次映画のミューズ、倍賞千恵子の若者時代が見れてよかった。

男はつらいよといえば、渥美清が友情出演というかカメオ出演でちょっと顔出してた。あと、ハナ肇もいましたね。男はつらいよでおなじみのタコ社長も出てた。山田洋次組の役者たちがカメオ出演するのがこのころの山田洋次映画ですね。

昔の映画見ると、昔の町並みが見れて、俳優の若者時代が見れて、そういうところも楽しめるね。というか、そっちのほうがメインの楽しみだったりするけどね。



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