留学先のフランスマルセイユでルームメイトの殺人容疑で逮捕されて有罪になって服役してる娘の無罪を信じて父親のマット・デイモンが英語も通じにくい慣れない土地で、奮闘する話です。
マット・デイモン演じる男は寡黙で不器用な男。仕事はガテン系。妻は自殺。おばあちゃんは酸素ボンベ。誰にも頼れない、頼らない。もくもくと自分のできることをやるみたいな感じです。なので娘からも信頼されてない。
仕事は安定しない。レイオフされて、トルネードの残骸処理の日雇いとかやって凌ぐ毎日。そんななかマルセイユまで行って娘に面会とかしてる。それも親の義務感でやってるって感じです。娘との関係が悪いんだな。
そもそも娘がマルセイユに留学したのは、どこでもいいからスティルウォーターから遠く離れたところに行きたかった、父親と離れたかったという理由らしいです。
描かれるマルセイユは治安がめちゃくちゃ悪い。留学先に選ぶような土地じゃないぞっていう感じで描かれるんだけど、実際そうなんすかね?よくわからんけど、フランスのなかでもマルセイユって柄悪いのかな。
まあ、それでさ、面会した娘が弁護士に手紙渡してくれってお願いしてくる。その手紙は自分は無実でパーティーで知り合った男が過去に女を殺したことがあると話していて、その男がルームメイトを殺したに違いない。
だから、その男を探して現場に残されたDNAと照合してほしい。わたしは無実だっていう手紙。で、弁護士に見せるんだけど、もう判決でてるし、再捜査の見込みはないので、なにもできないと言われる。
マット・デイモンはそれを娘に伝えられない。嘘ついて、調査が始まってるとか言っちゃうわけ。マット・デイモンはこころを閉ざしてる男って感じなんすよねえ。娘にすら本音で話せない。どこかよそよそしい。
手紙はフランス語で書いてるからマット・デイモンは読めない。まだスマホの時代じゃないみたいですね。ガラケー使ってたから。
スマホある時代設定だったら、翻訳ですぐ読めるけど、読めないので知り合った英語のできるフランス人の女の人に手伝ってもらって、男を探し始めるってわけ。
その通訳してくれる女の人には、小さい娘がいて、その娘がマット・デイモンになついてくれて、交流があって徐々にマット・デイモンの凍った心がとけていくみたいなドラマも描かれます。
メインはそっちのほうですね。娘が無実なのか、探す男が真犯人なのかという事件のほうはどちらかというとサイドストーリー。
だから地味に感じる。
まあ、でもそっちのほうも進展があって最後、すごいことになりますけどね。通訳してくれる女の人と娘との交流で娘との関係もよくなってきて、新しい人生が始まるかと思われたところ、その探してた男を偶然、サッカー観戦で見つけてしまう。
それで男を拉致して地下室に監禁するマット・デイモン。髪の毛で元警官にDNA鑑定を依頼。これで娘の無実が証明されると暴走。
めちゃくちゃやるなあみたいな。それまでの映画のトーンが真面目な地味な人生ドラマのトーンだったのに、最後、B級サスペンス・スリラーみたいなことやるから、チグハグなんだよなあ。
警察が調べにきて、うわ、監禁がばれるって万事休すになるんだけど、通訳の女のひとが男を逃がしていて、娘も最後に地下室に行ったのは昨日で誰もいなかったと嘘をついてくれたおかげでマット・デイモンは捕まらずにすみます。
だけど、もうあなたとはお別れよと結婚寸前までいってたのに、すべてぶち壊しになります。
せっかく手に入れかけた幸せを壊してしまったマット・デイモン。
終わった、全部終わったとまた心をとざしたマット・デイモンのところにニュースがもたらされる。
弁護士の話によると元刑事が提出したDNAが別の強盗事件の犯人のものと思われるDNAと一致。マット・デイモンの娘の無実が証明できそうで、釈放になると。
これ以上ない幸運、ハッピーエンドなんだけど、マット・デイモンは喜べない。
娘が嘘をついてるのを知ってしまったから。
監禁中に男が娘から頼まれたからやった、ゴールドのネックレスをもらったと話をしてて、そのネックレスはマット・デイモンが買ってあげたスティルウォーターのお土産ものだった。
娘の持ち物にそのネックレスはない。
釈放されてスティルウォーターに帰ってきた娘にそのことを話すと、殺されるとは思わなかった、彼女を愛していた、追い出すだけだと思って頼んだのにと告白する。
娘はゲイでルームメイトの女の子と好い仲だったけど、彼女の浮気が許せなくて大喧嘩してて、その腹いせで男に彼女が消えてくれたらいいのにみたいなことを言ったせいでおきた殺人だったらしいです。
がーん。マット・デイモンはまた心をかたく閉ざす。
まあね、娘が一日出所したときに、彼女の浮気癖に腹を立ててたことを話してたし、刑務所に戻ったときに、首吊り自殺をはかったことから、娘は罪悪感に苛まれてるみたいだったし。
スティルウォーターからマルセイユ行って、そこで幸せをつかんだかに見えた男が、またスティルウォーターに戻ってきて元通り。
娘がスティルウォーターは変わらないねっていうんだけど、マット・デイモンは昔と今じゃすべてが違って見えると小さくつぶやきます。
まあ、いろいろありすぎだからなあ。町はいつものさびれた田舎町。娘が帰ってきて、元通り。見える光景は変わらないけど、すべてが違って見えるほど、いろいろあって、自分は変わってしまったと。
地味な映画だなあ。マット・デイモンの演技はおさえた静かな演技で、いい感じではありましたね。それが映画の内容とはあまりマッチしてないような気もしたけどね。
もっとB級にふりきって、異国の地で奮闘するお父さん映画にしてもよかったような。リーアム・ニーソンの「96時間リベンジ」みたいな感じでさ。
マット・デイモンがマルセイユの悪党を無双するみたいなダメおやじサスペンス・アクション。マット・デイモンの筋肉がすごいのよ。腕の太さとか丸太かよみたいな。
そういうエンタメにふりきったテイストのほうが、おもしろくなったかも。変にシリアス、真面目なんだよなあ。
マルセイユの描き方がマット・デイモン無双する舞台にぴったりだったし。治安が悪い犯罪都市で、人種差別もきつい、警察の仕事はいい加減、外国人には冷たい町っていう感じに描かれてた。