お話はテロの話。いかれたやつが致死ウィルスを飛行機内にばらまいて、乗客が感染。犯人の目的はとくになく、大勢を巻き込んで自殺すること。飛行機は韓国からハワイ行きだったんだけど、アメリカは飛行機の着陸を拒否、韓国に引き返すことになる。
その飛行機でのバイオテロのパニックと、刑事や大臣が地上で乗客を救うためにできることをやって奮闘するのを描く。刑事の奥さんが飛行機にのってるから、刑事は必死です。
犯人が誰かとか、犯人の目的がなにかというのは、すぐにあかされてるので、犯人との対決がメインではないです。映画の最初に、刑事がテロ予告の動画の人が近所に住んでるという子供たちの通報で部屋に行ったら死体があってウィルスの実験ビデオとかが発見される。
あっさりと犯人の正体がわかる。犯人は脇を切ってそこにウィルスのカプセルを隠して機内に持ち込んでウィルスまいて、自分もウィルスで死亡して前半でそうそうに退場しちゃいます。
あとは着陸できない飛行機のなかで、どんどん乗客のなかで感染がひろがってパニックになる描写と、地上での話の展開になります。一刻も早く着陸したいのだが、どこも着陸を拒否して着陸できないパニック。
いやー、事件は盛りだくさんで、飽きないからいいんだけど、そのひとつひとつの事件が、ちょっとそれどうなのって細かいところが気になっちゃう雑さなんです。
犯人がいかにもぼくサイコですみたいなサイコ演技するのが、もうなんか雑だなあって最初から思っちゃた。いやー、サイコ野郎だからって、わかりやすくサイコ演技させるのどうなのって思う。
せっかく理由なき、無差別テロをやる掴みどころのない犯人という設定なのに、頭おかしいやつでーすみたいな演技するもんだから、安っぽいんだよなあ。怖さがぜんぜんない。やってることひどいのに、理由がないって、ほんとはすごい怖いはずなんだけど、
安いサイコ演技させるから、その怖さがなくなっちゃってるんだよなあ。全部がこの調子の雑さ。
もう最初から最後まで雑な描写の連続。刑事が子供の通報を迅速に対応。そんなに刑事は暇なのか?乗客が異常な突然死したのに、感染する病気などを疑わず、気軽にあちこちさわるし、気にもしないCA。
最初、わけがわからないからそういう対応になるのはわかるけど、ウィルステロってわかってからもとくに気にしてなかったのはなんでなのか。密室だから、もう手遅れでなにやっても無理~っていうことなのか。
乗客にイ・ビョンホンがいて、小さな娘とハワイに行く途中でこのテロに巻き込まれるのだが、副機長と知り合い。イ・ビョンホンは元パイロットで副機長とは因縁がある。
機長が死んじゃうので、イ・ビョンホンが操縦する展開になります。過去の飛行機事故で副機長の彼女を死なせてしまったことで、それがトラウマになってパイロットをやめたイ・ビョンホンという設定があるのだが、普通に操縦してたし。
なんでパイロットやめたんだ。
副機長はゲボゲボ血を吐いてたけど、死なない。致死にいたるまでの時間を短く改良したウィルスらしいのだが、感染してからすぐ死ぬ人とぜんぜん死なない人の差がけっこうあります。
個人差かあ。
アメリカから着陸拒否されて引き返すんだけど、副機長はなぜか日本の成田に着陸しようとする。日本ならおろしてくれるはずとか、希望的観測で。そうか、日本ならおろすかも、おろしそうって思ったけど、拒否。
自衛隊の戦闘機発進させて領空侵犯で撃墜もじさないと威嚇射撃です。ほんとの日本がこんなマッチョな対応できるとは思えなくて、リアルさがなかった。
そんで着陸をあきらめて、韓国へって、いや、燃料が足りないとかで成田に着陸しようとしたんじゃなくて、副機長の気まぐれだったのか。
ひとつハラハラ展開いれとこうって感じだったのかと。
やっぱこれも雑だなあって。
そんで韓国行ったら、韓国内で着陸させるな派と着陸させろ派がデモやったりして騒ぎになってんの。刑事は犯人のいた製薬会社に行ってウィルスの情報と治療薬をえようとがんばる。大臣もがんばる。
それで製薬会社の協力をとりつけて治療薬をゲット。これで助かるぞ、歓喜歓喜となるんだけど、ウィルスは変異しちゃってるから治療薬がきくかどうかわからない。振り出しに戻る。
それで乗客たちは、もう着陸しないでおこうと全員一致で決めます。そんな簡単にみんな賛成するかな?雑じゃないか。もっと喧々諤々あってもめたすえに決まったというのならまだわかるけど、あっさりみんなそれでいいってなるんすよ。
いや、着陸はしてもいいんじゃないか?それで隔離してとかやりようあるんじゃないか?って思ってしまう。
着陸しないことをきめた乗客たちが、スマホのテレビ通話で家族に遺言を残すシーンがあって、うわー、これは悲しいって思うんだけど、なんでこんなものを見せるんだと別の意味で悲しくもなる。
盛り上げるためだけの遺言電話シーンに思えてしまう。雑なんだよなあ。もうちょっと丁寧にやってくれないか。
治療薬が効くことがわかればいいんだろってことで、刑事が自分にウィルスをうたせて治療薬を投与させて人体実験します。アバババって血を吐いて死んだかにみえた刑事だが、息を吹き返して、治療薬が効いた!ってなるんだけど、
いやいや、わかんないじゃん。それほんとに治療薬がきいてるのかどうか。ちゃんと検査とかしてる描写がいっさいないのよ。
治療薬がある、だから着陸して帰ってこいってことで、さっきの遺言電話が無駄に……。
奇跡がおきて助かるということになったのに、なんだか雑なことされすぎて、感動もなにもないのだ。
イ・ビョンホンのウルトラ操縦テクニックで難しい着陸も成功。テロの犠牲者はでたが、全滅はせずでよかったなという終わり方です。
いや、もうハッピーで終わるのなら、刑事がウィルスのせいで体も満足に動かせず、自発呼吸もできず、話すこともできないけど、リハビリでそのうち回復しますみたいな描写はいらないんじゃないか。
そこは雑じゃないんだって唖然としました。ここは雑に、刑事も元気にBBQでニッコリでええんじゃないの。なんで、そこはちょっとシリアスなのよ。
そんなこんなで雑すぎるとこが多すぎなのが気になる飛行機パニック映画でした。
細かいこと気にならなければ、けっこう楽しめると思うんだけど、気にしないのは難しいと思う。すべての雑ポイントを素通りできる人はいないんじゃないのかな。
飛行機が逆さまになるシーンとかよかったけどね。うわ、ひっくり返る、乗客が吹っ飛ぶ~って思ったら、みんなシートベルトしてて、吹っ飛んだのはCAとかシートベルトしてない数人だけだったけどね。