彼自身もアルコール依存症の過去があり、今も断酒会みたいなのに出て治療中です。招集がかかって裁判所に行くと、男が恋人を殺したとされる事件で検察はこの男しか犯人はありえないと自信満々。男がワルで印象も悪いしね。
事件のあらましを聞いていると、ニコラス・ホルトは、ふとあることに気が付きます。事件のあった日時、バー、街道。あれ?その日、おれバーにいたし、土砂降りの中、運転中になにかが車に当たったことがあったなと。
そのとき確認したけど、なにが車にあたったのかわからず、鹿かなんかだろうとそのまま帰宅していたのだが、事件の状況と照らし合わせると、どうも殺された恋人を轢いたのは自分なのではないかと思う。
うわー、どうなんの~、おれが黙ってると容疑者が裁かれる、でも名乗り出たら軽い罪ではすまないし、家庭も崩壊する。飲酒で大事故おこした過去があるので。
そういう板挟みの中で、裁判の陪審がすすんでいくっていうわけです。
まあでも、真犯人としてばれるんじゃないかみたいなサスペンスよりも、正義とはなんだね、正義を求めると人は簡単に言うけれど、正義をなすことは容易ではないという部分に焦点があたった話になってたな。
陪審員のなかに元刑事のJ・K・シモンズがいて独自調査を始めちゃってさ、すぐにニコラス・ホルトに疑惑が伸びそうになるんだけど、ニコラス・ホルトの機転を利かせたうっかりミス演技によりシモンズは退場でほっと一安心。
すぐに退場になったのが意外だったなあ。
その後も、なんやかんやとあるんだけど、ニコラス・ホルトはうまく陪審員たちを誘導して無罪よりにしていく。
自分が黙ってることで、今回の殺しはやってなさそうな被告があっさりと有罪になるのは、良心の呵責があるみたいです。
有罪、無罪、半々とかになったところで膠着状態。特別に現場を見学とかして最終的には陪審員は全員一致の有罪判決を出す。
結局、ニコラス・ホルトは自分や家族、生まれてくる子供を守ることが正義って思ったんだろね。しかし、疑問に思って再調査していた検事が真相にたどりついて、最後、ニコラス・ホルトの家にやってきて……っていうところでおしまいです。
あれ、どうなるんですかね。事件の判決はでちゃってるから、やり直しっていうことはないから、ニコラス・ホルトは逮捕や裁判になるのか。
それとも検事は一言言いに来ただけなのか。
検事は有罪を勝ち取って、出世までして、裁判が始まる前にのぞんだ結果を手に入れたんだけど、これが正義なのか、欲しかった結果ではないということでニコラス・ホルトのところに来た。
彼女にとっての正義をなすってことですね。
まあ、どうかなあ、話をもうちょっとツイストしてくれてもよかったような気がします。ニコラス・ホルトが轢いたのはやっぱり鹿だったとかさ。
被告はやってないのかやったのかグレーで二転三転させるとかさ。
観客にはニコラス・ホルトが轢いて実際は被告は無実っていうトーンで固定されて進んでいくから、けっこうあっさりした感じになる。
まあ、だましだまされサスペンスではなく、やっぱり正義、ジャスティスについての話になってるから、こういうシンプルでいいのかもですね。
それぞれにジャスティスがある。目撃証言した老人も嘘をついてるわけではなく、警察がそういうんだから、協力して役に立ったほうがいいという自分なりの正義で証言してる。
弁護士は弁護するのがジャスティスなので、被告がワルでも最善を尽くすのが正義。ニコラス・ホルトの正義は、正直になることではなく、自分を偽っても家族を壊さないのがジャスティスだったいうことだね。
まあ、手堅い作品でしたね。おもしろかったのが、陪審員が集まって最初に決をとりましょうっていってほとんどが有罪で、さっさと帰ろうよってなるけど、主人公が反対して議論をしようよともっていくとこ。
「十二人の怒れる男」が始まった~って思っておもしろかったです。陪審員ものばこれだねこれみたいな。