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『バビロン(原題:Babylon)』【映画のあらすじとネタバレ感想】


映画という巨大なものの一部になりたいんだという主人公の願いは叶えられたのか……。1920年代のハリウッドを舞台に無声映画からトーキーへと移り変わるときに映画に関わった俳優、プロデューサーたちの末路を描く。

188分という長い映画。けっこうきついっすけどね、この長さ。主役は3人ですかね?サイレント映画の大スター、ブラッド・ピット。映画製作をしたくてメキシコからやってきたディエゴ・カルバ。女優としてスターを夢見るマーゴット・ロビー。

この3人以外にも、黒人トランペッターの話や、アジア人女性のエンターテイナーの話などもけっこうちゃんとした長さで描きます。だから3時間とかなっちゃうのは当然かな。

ディエゴ・カルバは映画人たちが集まるパーティーのとこでアルバイトして、映画関係者とのコネを作ろうとチャンスを狙ってる。酔ったブラッド・ピットを家に送り届けたことがきっかけでブラピの付き人として映画作りの世界に潜り込むことに成功。

ブラピは無声映画の大スター俳優。

同じパーティーでマーゴット・ロビーもチャンスをうかがってた。映画業界で一旗揚げようっていう若者二人がここで出会ってる。マーゴット・ロビーは、オーバードーズかなんかで死んだかなんかの女優の代役ということで、役をつかむ。

その役での演技がかわれて女優として売れていく。酒場で男たちを誘惑するビッチの役なんすけど、貫禄たっぷりに男たちを誘惑し、泣くシーンでは細かい注文に応じて泣き方をかえるし、何度でも泣けるということから絶賛される。

なんか楽しいですね。若者が小さなきっかけからチャンスをものにするっていう、夢のあるシーンで盛り上がる。

ディエゴ・カルバのほうもチャンスがやってくる。チャンスっていうか、雑用係で仕事できるやつだというのを見せるチャンス。

ブラピの映画で合戦のシーンを撮影してたけど、エキストラが言う事聞かない、それをディエゴ・カルバが言う事きかせる。合戦シーンはほんとの乱闘みたいなもので、怪我したり死んだりしてるやつがでるような現場で、カメラが壊されて撮影ストップ。

もう日が暮れる。今日中に撮影しないとやばい。貸カメラをもってこいっていうことで、ディエゴ・カルバが貸カメラ屋までいってカメラをもってくるわけ。

もう間に合わないっていうとこに、救急車にのってディエゴ・カルバがカメラをもってきて撮影が間に合う。

夕暮れ時の黄金に輝く光のなかで、マジックアワーっていうんでしたっけ?ブラピの感動的なキスシーンが撮影されてOK。ブラピの肩にどこからともなくとんできた蝶がとまるというおまけつき。

ディエゴ・カルバが諦めずにカメラを間に合わせたことで、最高のシーンが撮影できた。いい仕事したなあっていう爽快感がよかったですね。

その後、黒人トランペッターの音楽映画を企画したりとかして、映画製作で頭角を現していく。

そんな感じで前半は上り調子で楽しかったなあ。夢の世界で夢をかなえる若者たち。

それがダメになっていくのが後半。無声映画から音声ありのトーキーに映画が変わる。その次代の変化によって翻弄されていくブラピやマーゴット・ロビーやディエゴ・カルバ。

マーゴット・ロビーは自由な演技ができないことにフラストレーションをためていく。録音するから、マイクの位置や音量とか段取りが増えて、演技を機材のほうにあわせなきゃいけない。それが我慢ならないマーゴット・ロビー。

録音がうまくできなくてNGを重ねるコントがまるっきりお笑いコントみたいでしょうもなすぎておもしろかった。

このコント長すぎないすかみたいにバカ丁寧に、録音に邪魔がはいってなかなかOKならない、OKなったと思ったら肝心なやつが死んでてNGなるっていうオチのしょうもないコントを丁寧にやる。

トーキーになって映画産業がさらに巨大になったからなのか、俳優は演技してるだけではだめで、お金持ち連中とうまくやる必要がでてくる。

ワイルドであばずれキャラはもう古い。これからは知的で上品でちゃんとしたレディがうけるっていうことで、マーゴット・ロビーはそういうお上品キャラをやろうとするけどできない。根がワイルドビッチなので。

お偉いさんたちのパーティーでゲーゲーゲロぶちまける。

ブラピはトーキーはすごい発明だ映画の進化は止めちゃいけないと、トーキーにも出演するんだけど、ブラピがアイラブユーとセリフをいうと、観客が爆笑。

仕事はなくなる。クソ映画のオファーしかこなくなる。

なぜ観客が笑うのかわからないブラピに評論家だっけ?の人がいうのが、ブラピはなにも悪くない。ただ時代が変わっただけみたいなこと言う。

演技が悪いとか、なにか変なとこがあるとかじゃなくて、ブラピが無声映画時代のスターで、トーキーの時代のスターではないと観客は判定したってこと。

ブラピが時代遅れの存在になったということ。

これはもうどうしようもないんすよねえ。スターがいつまでもスターではいられない。ブラピはいつも酔っ払ってて、結婚と離婚をくりかえして、私生活はどうしようもない人だけど、映画愛はすごいあった。

嫁の演劇俳優が映画を演劇より下に見てることに激昂して、映画は庶民の娯楽でお金持ち連中のためのお遊びの演劇とは違う。演劇で何万人が見たら大ヒットだけど、映画だったら大失敗作だみたいなこと言うぐらい映画愛がすごいわけ。

そんなブラピが映画から死刑宣告される。もうあなたはいらないよって映画のほうから言われちゃう。絶望ですわなあ。

今、映画から去ることになっても、過去の作品が残っていって、劇場で映し出されるたびにあなたは永遠に輝くんだから、それでいいじゃないって、まあ、慰めの言葉をかけられるけど、ブラピは生身の人間。

映画という大きなものの一部になっても、それで幸せっていうわけにはいかないってことっすね。最後、ピストル自殺してましたけど、なんか悲しいなあ。

マーゴット・ロビーもダメになっていく。ギャンブルとドラッグでダメダメになって最後はギャングから借金してどうにもならなくなってディエゴ・カルバに泣きついてくる。

転落していくとこは描いてなくて、出てきたらもう転落しててどん底状態です。

ディエゴ・カルバはマーゴット・ロビーと出会ったあのパーティーのときに一目惚れしちゃってるので、なんとか助けようとします。

それでお金を用意してギャングに返済しにいくんだけど、知り合いに頼んで用意したお金が小道具の偽札でバレてギャングに追われる身になっちゃう。

このくだりってなんかドタバタギャグって感じでなんかいらないような気がしたなあ。トビー・マグワイアが気持ちの悪いギャングを怪演してましたが、あのパート全部いらんような気がした。

なんか変なアンダーグラウンドのフリークショーをトビー・マグワイアが夜な夜な開催してるとか、あそこのパート全部いらんような気がしたけど、ハリウッドのダークな暗部の一面みたいなのがやりたかったのかな?

アメリカ脱出して逃げようとマーゴット・ロビーとディエゴ・カルバはするんだけど、ギャングに追いつかれてマーゴット・ロビーは路上で殺され、なぜかディエゴ・カルバは見逃されて生き残る。

それから何十年かたって、嫁と子供をつれたディエゴ・カルバが撮影所の前にやってくる。警備員と、昔ここで働いてたんだ、今はニューヨークでオーディオ店やってるんだけどとか立ち話。

近所の映画館に入って映画を見ると、「雨に唄えば」が上映されてたのかな?それを見てディエゴ・カルバは涙を流す。

雨に唄えばって、無声映画からトーキーにかわっていく時代を描いた映画でしたっけ?ディエゴ・カルバが自身で体験したようなことが描かれてる映画ですよねえ。それを見たディエゴ・カルバは何を思うのか。

映画という大きな存在の一部になりたいと願って、映画界に飛び込んだ若かりし日々にたいする懐かしさか。映画の歴史の一部に確かに自分はかかわったという思いを抱いたのか。

なんだかよくわかんないですね。

映画のことを描いている映画だから、映画愛の映画のような気がしちゃうけど、そうでもないような。映画館で走馬灯のように、これまでの名作映画のワンシーンが次々と映し出されてたりするから、映画愛の話しっぽく感じるちゃうけど、そうなのかなあと。

うーん、もっとキャラをしぼって一人の主人公の映画にしたほうがよかったような気もする。ディエゴ・カルバに集中して、ブラピとかマーゴット・ロビーとかはもっと出番少なくてもよかったような。

あれもこれも、あの人もこの人もって欲張りすぎて、なんだかよくわからない話になってるような。

それにハリウッドの乱痴気騒ぎというか、浮かれたあの時代の熱気というか、そういうのはあまりうまくは描けてなかったような気がする。

パーティーのシーン、騒いでるけどなんかどっか白けてるというかさめてるように見えたし。まあ、結末もなんか覚めるというか、悲しいというか、むなしい感じしたなあ。

映画に限らず、なにか大きな存在の一部になって永遠にこの世の中に自分という存在を残したいという夢をもつことは、幸福じゃないんじゃないかというさめた視点。

そんなことより、普通の暮らしと言われるような人生のほうがすごい幸福なんじゃないかみたいな。

ブラピもマーゴット・ロビーもディエゴ・カルバも映画にかかわったことで幸せにはなってない。トランペッターも映画から離れることで生き残ってるからなあ。

映画にかかわると不幸になるっていう映画かな?


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