主人公は小学四年生の少年。世界の疑問を観察し研究するノートを何冊も書くような少年です。僕は偉い、もっと偉くなるとうぬぼれてるお利口さん。目下の興味は歯科で働くお姉さんのおっぱいのこと。巨乳でチェスの先生で気さくで楽しい、お姉さんと僕は結婚するんだと密かに計画している。
そんなある日、町中にペンギンが突如現れて消えるという謎の事件があり、少年はペンギンの謎を解こうと研究を始めるのだが……。
なんかおもしろそうな話でしょ。実際おもしろいです。謎があって、その謎に主人公が迫っていくのを見せていく。どうなるんだろうって興味ひかれるし。話はよかったんだよなあ。
でも、少年とお姉さんの関係の描写が苦手でそれがノイズになってしまった。
少年がさ、おっぱいとか言ってるのは別にいいと思うんすよ。小学生だから。ちょっと気持ちが悪いと思っちゃったのはお姉さんの言動のほうです。
主人公のことを、少年と呼び、また胸ばっかり見て困った子だねえみたいなことをニヤニヤしながら言ってくるようなキャラクター。このお姉さんのキャラクター設定が、なんかほんと生理的に無理って感じ。
これ性別を逆に考えてみてくださいよ。小学生の少女と年上のお兄さんだとしたら、どうですか。少女、またお兄さんのおっきな股間ばっかり見て困った子だねえとかニヤニヤしながらお兄さんが言ってたら、やばいでしょ。
犯罪の香りしかしない。
なぜか少年とお姉さんだと爽やかな初恋の関係として成立すると思いがちだけど、やっぱり少年と年上の女の組み合わせでも十分あやういよなあ。
お姉さんの態度が大人のやる態度じゃないのが気になるというか。あれが親戚のよく知ってるお姉さんとか、いとこのおばさんとかならまだわかるけど、他人だし、ちょっとないなと。
親公認の仲で部屋行ったりしてるみたいだけど、ちょっと怖いって思っちゃった。
それにお姉さんって言ってるけど、何歳ぐらいの設定なんだろうかと。声は嗄れ声で、ちょっと喋り方がおばあさんみたいでもある。見た目よりももっと年を取ってるような雰囲気がある。
魔女とかいう設定なのか、それとも実は少年の母親なのか、とか変なことを考えてしまった。
それか父親の愛人かとかも思ったけどね。あの父親もなんだろなあ。良きアドバイスをするいい父親風だったけど、いや、そうかなあ、なんか子供と距離がありすぎる冷たい父親にも見えたなあ。
そんな感じで、ずっとお姉さんに違和感がすごいありました。
まあ、その違和感はわざとなのかもしれないですね。後半お姉さんは人間ではないというのがわかるので、普通のお姉さんとは一味違って当然なのかも。
人間という範疇にない存在なので、少年にたいして見せた態度を普通の人間の尺度ではかるのは間違いか。人間とは違う次元の大きな存在としての立場から少年を慈しんでいた態度なのかもしれない。
ペンギンはお姉さんが生み出していた。缶ジュースとかを投げるとそれがペンギンに変化する。森の奥にある草原に謎の球体があって、その球体は世界に開いた穴で、それを修復できるのがペンギンで、お姉さんはその穴を塞ぐためにどこかからきた存在だったのだ。
ということでしたっけ?まあ、よくわからないけど、後半は少年がお姉さんを手伝って頑張るという展開になります。穴をふさげばお姉さんはいなくなる。
謎の球体からのエネルギーでお姉さんは存在してるらしいので、球体が消えればお姉さんも消えてしまう。大好きなお姉さんのおっぱいにお別れしたくないけど、世界を救うのが彼女の役目ならそれを邪魔できない。
少年は賢いのです。
そうだな、少年が賢すぎ、悟りすぎなのもちょっと気になるかあ。葛藤をあんま感じないのが物足りないとこかな。
うーん、そんなこんなで生理的にきつかったアニメだけど、こういう気持ちの悪さとか怖さや居心地の悪い感じは作品としては欠点ではなく、むしろ特徴があっていい作品であるとも言えますね。
それだけひっかかりがある、見てるこっちの心をざわつかせる力があるということなので。
村上春樹の小説や、大林宣彦監督の映画のように、気持ち悪さが特殊な味わいやおもしろさになってる作品があるし。
見てるときはうわー、きっつーって思っても、思い返せばなんだかんだそれがよかったなとか思い始めることもある。
このペンギン・ハイウェイもそうなるかもしれないですね。