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『ばるぼら』【映画のあらすじとネタバレ感想】


手塚治虫の漫画ばるぼらの実写映画化。いやー、ばるぼらはけっこう好きなマンガだから期待したけどね。ダメだった。監督は手塚治虫氏のご子息である手塚眞氏。撮影監督はクリストファー・ドイル。なんか映像的に期待できそうって思ったんだけど、映像が全然ダメでがっかりだった。

映像がほんと安っぽくてがっかりなんだ。手塚治虫のマッドな面をカットせずにちゃんと暗黒手塚を描いていたのはよかった。マネキン人形とまじわったり、でっかい犬と獣姦したり、死んだばるぼらとまじわったりするシーンがちゃんとあったのはよかったんだけど、その映像が安っぽすぎて萎え萎えです。

一番気になったのが時代設定。マンガは70年代が舞台じゃなかったっけ。町で若者が路上生活してシンナー吸ったり酔っ払ったりするのが流行していたフーテン文化の時代。ヒッピームーブメントが盛り上がって、暗黒アートとかが花開いた時代を舞台にしている話だから成り立つ話。

フリージャズを爆音で聞いて、ニーチェとか哲学者とかの小難しい本を読んで芸術論議するのがかっちょいいみたいな時代。そういう時代設定だから、主人公の作家とフーテンのばるぼらのやりとりが成立する。変態性欲をもつ作家の創作意欲を芸術のミューズが刺激するという話が成り立つ。

作家とばるぼらは70年代のあの時代のキャラクターなんすよ。

なのにこの映画は時代設定は現代なんすよ。スマホやノートPCがある時代。70年代のムードはまったくない現代のつまんない時代が舞台になってる。なのに主役の稲垣吾郎と二階堂ふみは、まるで70年代からタイムスリップしてきたような古臭いファッションと言動をするんです。

ばるぼらと作家の出会いのシーンからして、現代を舞台にしたら無理ありすぎだもの。

この違和感がすごい。なんで70年代設定にしなかったんだろう。もしくは逆に稲垣吾郎と二階堂ふみを現代版の作家と家出少女にアップデートしなかったんだろう。うーん、普通に製作予算がないってことなんだろうけどなあ。なんか見てて悲しくなってきた。お金ないのに頑張って映画撮ってるんだろうとか想像しちゃって。

ぼくが考えたさいきょうのばるぼら映画は、監督はデヴィッド・クローネンバーグでカメラはクリストファー・ドイル。恋する惑星や天使の涙のような質感の映像で70年代の新宿を再現する。

主演は誰がいいかな。思い切って三島由紀夫とかどうだろう。ばるぼら役は、うーん、ちょっと思いつかないなあ。ジョディ・フォスターとか?監督は増村保造もいいかも。

二階堂ふみはマンガをよく読みこんで役作りしていたのか、けっこうばるぼらっぽさがあってよかったですが、それにしてもあんまりよく撮れてないから、変なコスプレ感がしちゃってかわいそうだった。

稲垣吾郎はゴローちゃんってかんじでいつもの稲垣吾郎でした。やっぱ映像的にもうちょっとなんかないのかなっていうがっかりはあります。手塚眞氏はビジュアリストを名乗るんだから映像派のはずだし、クリストファー・ドイルはウォン・カーウァイとのコンビのあの町そのものが躍動するような映像を撮影できるカメラマンだし。

この監督とカメラマンなら映像的にもっと濃厚なものを期待しちゃう。それが全然薄いからがくっときちゃった。センスのある映像と編集を期待したけど、まったくセンスのかけらもないかっこ悪い映像でがっかり。

話は、え、これで終わりかみたいな終わり方だけど、原作マンガもよくわからない終わり方してたから、こういうもんなのかなみたいな。

期待したけどやっぱだめだったかあ。マンガとか小説とかの実写映画化って難しいですね。おもしろさの肝が時代のムードと密接につながっているから、そこをうまく変換しないと、どうしようもない感じになっちゃいますね。


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