山下耕作監督1969年の東映任侠映画。
高倉健と富司純子の見た目の充実ぶりがよかったです。
もうなんかかっこいいんすよ、二人とも。
若いんすけど、若いだけでなく、
大人としての落ち着きも感じさせる。
何歳ぐらいなんだろ。
藤純子は20代半ば、高倉健は30代後半ですかねえ。
女振り、男振りが極まってる。
二人のかっこよさだけでもっちゃう感じでした。
舞台もよかった。
明治末期の石炭ブームでにぎわう九州の博多が舞台です。
石炭成金みたいなのがいっぱいでてきて、
ド派手に芸者遊びをして盛り上がってんすよ。
芸者何十人も呼んで
札束まいてつかみ取りとかやってて、
荷物も全部質入れして一晩で有り金全部使い果たすみたいな
豪気な遊び方をしてます。
藤純子は芸者。
博多の女ですからね、美しいだけでなく、
気風が良くて度胸もある侠客気質の芸者です。
粋なことするんすよ。
人の心意気にほれて骨折るいかしたおなごです。
高倉健は炭鉱主。
これまたいつもの健さんで、
人情に篤い男。
悪役はこれまたいつもの金子信雄です。
ヤクザと組んで汚い手を使って
炭鉱を次々手に入れてる悪い奴です。
まあ、そんで高倉健と藤純子は惚れあう感じにはなるのだが、
最後、高倉健は一人で金子信雄のとこに殴り込みにいって
死んでしまうので
二人は幸福にはなれず。
死んでしまった高倉健への思いを胸に秘め、
今日もお座敷に出るための化粧をする藤純子だが
紅を塗りながらも涙がこぼれてしまうというラストシーンでした。
なんか二人がかっこよすぎるので
なんか見れてしまったのだけど、
高倉健が一人で殴り込みにいく理由が薄いような気がしたなあ。
炭鉱をダイナマイトで吹っ飛ばされて
仲間が死んだことの復讐なんすけど、
あの性格の藤純子なら
てっきりチャカをもってわたしもお供しますと
高倉健のドスと二人で無双しそうなもんだけど、
そうはならなかった。
任侠映画では主役が殴り込みにいくときって
黙って一人でいくなんて
水臭いですぜって助太刀する相棒が合流したりするんだけどなあ。
女がそれやっちゃうとなんか違うってことなんすかねえ。
惚れた男と一緒に戦うより、
一緒に行きたい気持ちをこらえて
惚れた男の無事を祈って待つのが九州の女ってことかな。
あの連獅子の舞いは気持ちは一緒に
高倉健とともに戦ってるという比喩でしょうか。
男には男だけの世界があるのを理解する粋な女ってやつかな。
それにしてもルックがいい映画だったなあ。
オープニングの藤純子の舞踊も美しいし、
高倉健の不動明王の刺青も美しいし、
殴り込みの殺陣と歌舞伎の映像を織り交ぜる見せ方もなかなか。
俳優がかっこよく見えるのは、
監督やカメラマンの撮り方がうまいっていうのもあるんでしょうね。
藤純子といえば「緋牡丹博徒」シリーズですけども、
日本女侠客伝シリーズもあるんすね。
出演者は若山富三郎、藤山寛美、金子信雄、桜町弘子、寺島達夫、小松方正らで
どっちもおんなじような感じなのでごっちゃになりそう。
動画日本侠客伝