初動を間違うとえらいことになりますよ映画ですかね。
貞永方久監督、加藤剛、岩下志麻、
市原悦子出演のミステリー。
1971年の松竹映画。
まあ、あの状況ではどうやっても、
悲惨なことにはなってしまうと思うけど、
その中でも最悪の選択を加藤剛はしてしまった。
まあ、でも無理かあ。
どうやっても社会的信用を失い、
妻からの信頼を失い、
すべてを失うのはさけられない。
だったら、その破滅の時期を少しでも
後にしたいと無駄な時間をすごすのも仕方ないかあ。
加藤剛と岩下志麻は夫婦。
加藤剛の仕事は順調で出世街道邁進中。
マイホームを購入するってことで
岩下志麻は新居のインテリアをどうするかと
楽しい悩みで毎日をすごす幸せな夫婦に見えたが
実は加藤剛には市原悦子という愛人がいた。
会社のお金3000万円をもたされて
大阪出張を命じられた加藤剛は
夜の飛行機で同僚と一緒に大阪に向かうはずだったが
空港に市原悦子が現れたために
飛行機にはのらずに翌朝大阪にいくことにしたら
乗るはずだった飛行機が墜落。
乗客は全員死亡。
自分も死んだことになっていく。
生きていると名乗りたいけども、
名乗り出たら、妻に浮気がばれるし、
会社には横領を疑われると恐れてでていけなくなる。
愛人の市原悦子はこのまま隠れて
わたしと一緒にいてくれたらいいというのだが
加藤剛はどうしたらいいのか決心がつかぬまま
時間が過ぎていく。
そのころ、岩下志麻は夫が飛行機に
乗っていなかった可能性があると
わかり夫の行動を調べだす。
こういうのをドツボっていうんすかねえ。
もうどうやっても正解がないみたいな状況。
墜落した飛行機に乗っていたと思われて
死んだ人になってる加藤剛。
でも生きてる。
でも彼はすでに死人であり、
社会的に抹殺された存在になってる。
生きてますってでていったところで
信用を失って家庭を失い地位を失い
社会的に抹殺されるのは同じこと。
もうね、加藤剛のどうしようが地獄っていう状況で
じりじりと消耗していく感じがつらい。
岩下志麻側から見ても
夫が死んだと思ったら生きてる可能性があって
調べていくうちに愛人がいてと
夫の裏切りを知っていくことになるわけで
気持ちのアップダウンの振れ幅の大きさを考えるとつらい。
いやー、辛い話だったなあ。
ミステリーというよりなんか不条理劇っていうかねえ。
そんな感じしましたね。
後々考えたら
あの時にああしていればまだましだった
ということは人生でよくありますね。