渡瀬恒彦はうだつのあがらないチンピラ。うさぎを飼って増やして売るんやって育ててるんだけど、彼女がうさぎに餌をやりすぎだと切れ散らかす。アホか、育ってでかくなったら売れんやないか、うさぎは小さくないと価値ないんや。
おまえの価値がどうのこうのって女に切れ散らかす。あんたの価値は何してもうまくいかんくせに女に切れるやなと言われて逆上して暴れるような男です。
ギャンブルも弱い。腕っぷしも強くない。ビジネスの才能もない。うさぎの餌は八百屋の店先に落ちてるクズ葉を掃除したるわってただで拾ってくる。でも、いつかはおれも女はべらかして高い酒飲んで、会うやつみんなぺこぺこ頭下げてくるような大物になるんやと野望だけはでかいです。
そんなとき組が九州進出を狙ってて、誰か鉄砲玉として九州で暴れさそうってことで、若くて生きがよくて不満をくすぶらせてるやつおらんかってことで、ちょうどええのがおりますってことで、渡瀬恒彦が九州へおくりこまれることになります。
若いやつ?渡瀬恒彦は30歳後半とか40歳とかにも見えるけど、設定では20歳代前半のようです。
拳銃と100万円をもらって、これで暴れてこいって言われて渡瀬恒彦は拳銃と現金で気が大きくなって、おれもいっぱしの大物やってうかれる。鏡の前でかっこよく名乗る練習とかするのがおもしろい。
九州では渡瀬恒彦に手を出すとややこしいことになるからってことで、渡瀬恒彦に手を出してこない。それをいいことに好き勝手やる渡瀬恒彦。
金をばらまいて女を何人もいてこます。拳銃があれば怖いものなしや。
めっちゃかっこ悪い。カッコ悪すぎて悲しくなってくるぐらいです。
もともと渡瀬恒彦は料理人でコックしてたんだけど、平凡な幸せ、普通の暮らしなんかつまらん、男なら一発狙って大きくいこうやってヤクザになったみたいなんすよ。
夢見た暮らしが、こんな変な形で実現してしまった。もう一人の自分がおまえはただのチンピラや、うかれるなって諌めてくるけど、うるさいうるさいと女に酒に夢見た生活を続ける。
しかし、こんなことがいつまでも続くはずはなく、組同士で話がついて、渡瀬恒彦はどうでもいい存在になります。無敵タイム終了。そんなアホな、おれはビッグになるんじゃいともがくけど、女たちも去っていき誰もいなくなる。
うさぎの彼女が、もう帰ろうやって説得にくるけど聞く耳を持たない渡瀬恒彦。最後は警察と銃撃戦になって撃たれて逃げ惑う。神々が宿る霧島に登るんやと観光バスの中で絶命。おしまい。
夢見て、夢に敗れる敗残者を描くのがアメリカン・ニューシネマ。この映画はそれですね。ジャパニーズニューヤクザ。とにかく悲しい。渡瀬恒彦のイキリ倒した演技が楽しいけど、描かれる物語は悲しすぎる。
でもいつかは俺もって夢見ながら夢かなわず消えていくのは、誰しも共感するんじゃないか。誰でも一度は調子乗ってみたい。続かないとわかっていても。