黙っていても安全ではないから。黙ってても犯人に襲われるんだから、頑なに黙ってる意味がよくわからない。その違和感がすごくて、中盤、後半は話に入り込めなかったですね。
最初はじわりじわりと迫りくる不安と恐怖って感じのムードがあったんだけど、一気に大味なアクション映画に変わってしまう。
主人公は中年サラリーマン。団地を買って妻と娘との生活。酔って深夜に帰宅すると女の悲鳴が聞こえてベランダからのぞくと、団地の広場で男がハンマーで女の人を殴ってるのが見える。通報しようとするが、スマホを落として手間取ってると
犯人がこちらを見てるように感じて息を潜める。通報して面倒なことになるのを恐れてそのまま放置する。翌日、広場で死んでた女の人が発見されて事件になる。
団地の住人は面倒なことに巻き込まれたくないとうことで事件のことを無視しようとする。主人公も知らん顔してやり過ごそうとするのだが、目撃者を始末しようと犯人が団地の周辺をうろついていて……みたいな。
やりたいことはわかるんだけどなあ。面倒なことを避けたい、厄介事はゴメンだという人間心理。都会で大勢の人間がいるのに、助けを呼ぶ人間の声が届かない恐怖。理由なき殺人。現代社会の病理。そんな感じの話をやりたいのはわかる。
それをエンタメスリラーアクションとしてやろうとしてるんだろうけど、どうもうまくできてなかったです。
主人公の行動が不自然に感じてしまう。犯人が神出鬼没すぎる。最後、どたばたと根性アクションで決着。
最初に目撃したときに、通報ぐらいすればいいのになあって思った。主人公は一応スマホで通報しようとするけど落としてバッテリーがはずれて手間取ってる間に、妻が起きてきて電気をつけちゃう。
部屋に明かりがついたと犯人に見られたと思ってかたまって、なにもできずそのまま。いや、通報したらいいのに?家の固定電話あるみたいだし?みたいな。なぜ途中で通報することをやめたのかよくわからない。
報復を恐れてかな?このへんの感覚がよくわからなくていまいち共感しにくい。
翌日、事件のことがいろいろ報道されるようになって、刑事の捜査がすすんでいく。犯行があったのが2時頃で被害者が死んだのが4時頃だと判明。主人公が目撃したのが2時頃なので、すぐに通報していれば被害者は助かったかもしれなかったのがわかる。
自分が知らん顔したせいで、被害者が死んだとショックをうけて、ますますかかわりになりたくないと口をつぐむ主人公。
ここらへんまでは、黙ってやりすごせば自分の生活は安全だって思って事件とかかわらないように主人公が行動するのはわかる。
でもこの先どんどんやばいことなるんですよ。犯人が周辺をうろついてて、目撃者を探してるような気配が。もう黙ってても意味ないレベルで危険が迫ってくるんだけど、なぜか主人公は黙ってれば大丈夫って思ってるのかなんなのか、がんばって知らん顔を続ける。
それがよくわからない。自分が証言して犯人に報復されるのが怖いからという理由かもしれないけど、黙ってても犯人が殺しに来てるんだけどみたいな。しっくりこないです。
犯人は正体不明の殺人鬼。団地の向かいに山があってそこで人を殺して何人も埋めてたという殺人鬼です。なぜこんなことをしていたのか、殺人の動機とか、細かいことは不明です。刑事が理由はわからないっていってた。
理由なき殺人。通り魔的な人殺しが横行する現代。そういうのも話に盛り込みたかったんだろう。やりたいことはわかるけどもっていうね。
事件の夜、エレベーターで一緒になってなんか悲鳴聞こえませんでしたっていってた別の階の女の人が、主人公のとこにきて、殺人を目撃しましたよね、わたしも見たんです、一緒に警察行きましょうって懇願するけど、主人公は知らないと追い返す。
彼女がスマホを落としていったので、部屋まで届けようとすると、部屋で犯人が彼女を殺して死体をビニールシートでくるんで隠蔽工作してるところを目撃。
さすがにもう無視できるレベルじゃないぞって思うんだけど、まだ主人公は知らん顔します。追いかけてきた犯人が目の前にいて、偶然聞き込みにきてた刑事と顔をあわせるんだけど、なんも言わない。
あとはなんだっけ、団地の名物少年も目撃してたらしいんだけど、刑事になにも言うなと釘を刺す主人公ですが、犯人に襲われて怪我する少年。
主人公が目撃者の女の人のことを黙っていたことに激昂した女の人の夫が襲ってくる。どたばたとアクションが展開して、やっとこさ主人公は目撃したことを警察に証言することにします。
犯人逮捕にむかう警察を待ち受けていた犯人は電子レンジ爆弾でその場を混乱に陥れて逃走。主人公の家に向かう。それで主人公と犯人の対決になって、ラストバトルの舞台は団地の向かいにある山です。
治水がうまくできてなくて、崩落の危険があると言われている山で犯人とバトル。大雨がふってて地盤の崩落がおきて主人公の勝利。崩落によって埋められていた死体が地表に出現。何体もあって、中には白骨化してるものもあった。
長年にわたって犯人はここで殺人と死体遺棄を繰り返していたのだ。大勢が住む団地と目と鼻の先の距離で、長年殺人が見過ごされ続けた。
主人公は団地を引っ越すことにします。粗大ごみを処分し、夜になった団地の広場の真ん中で主人公は大声で助けてくださいと叫んでみる。
どの部屋の明かりもつかない。無反応。おしまい。だったかな。
都会では人と人のかかわりあいが希薄になって、助けをもとめる声も無視される。
1960年代のアメリカでこういう事件があったみたいですね。そこから着想を得たのかな。やりたいことはわかるけど、エンタメとしての味付けが濃すぎてうまくいってなかったかな。