お話の主人公を黒人の少年と彼を保護した白人女性に絞ってるのもよかったんじゃないかな。クィントン・アーロン演じるホームレス状態の黒人少年に、サンドラ・ブロック演じる大金持ちの白人女性が手を差し伸べるお話。
貧しく学もなく食うに困るものに、富める偉大な成功者が救いの手を差し伸べる。
そしてうまくいくっていうシンプルな話にしてるから見やすいです。昔の映画で、田舎娘を大金持ちが引き取って貴婦人に育てるみたいなのあるじゃないですか。あれなんだなと思った。
実際はいろいろあるんだと思うんすよ。うまくいかないこと、葛藤とかさ。知らない人とそんなすぐに打ち解けられるとは思えないし。
でも、この映画ではそういう部分は排除して描かず、サンドラ・ブロックの家族たちがすぐに黒人少年を受け入れて長年一緒にいた家族のようになります。
サンドラ・ブロックが家族で車でいるときに、寒空に薄着でとぼとぼと歩いているクィントン・アーロンを見て、家に連れ帰って泊めたことがきっかけで彼らの関係が始まる。
一日だけで終わるかと思いきや、サンドラはキリスト教の博愛精神からなのか、はたまたクィントン・アーロンの人間性にひかれたのか、家に引き止める。
いきなり知らない人を家に泊めてずっといさせるとなったら、家族は、どういうこと?ってなりそうなもんだけど、みんないいやつでなんも疑問にも思わない。
娘のリリー・コリンズは学校で変な噂話するやつらは無視よって、黒人少年をほんとの家族として思いやるし、下の弟もでっかい兄貴ができたと大喜び、夫はサンドラの言うことは絶対って感じで妻のやることには反対しない。
夫はファストフード店のチェーンを100店舗とかもってる大金持ちで、サンドラ・ブロック自身もインテリアコーディネーターかなんかやってて大金持ち。
元バスケットボール選手と元チアリーダーのカップルらしいです。
サンドラたちは、強大なパワーを持った大金持ちの善人。黒人少年は、心優しい巨人。まったく違う環境で育って、人種も違う、考え方も違う。最初からうまくいくとは思えないのだが、映画では最初からすべてうまくいく。
このへん実話ではどういう感じだったのかなあ?
黒人少年は身体能力がすごいのでアメフト選手として頭角を現す。それをサポートするサンドラ。大学へアメフト奨学金でいくには成績が足りないと、家庭教師のキャシー・ベイツを雇って猛勉強させる。
わたしたちの母校であるミシシッピ大学になんとしても行かせるとサポートします。どうしてそこまでできるのかがよくわからないのだけど。
おもしろいのが、エリート街道で成功してきたサンドラ・ブロックのほうが闘争心が強くて、スラム街でホームレス同然にすさんだ生活をおくってきたクィントン・アーロンのほうが争い事を好まない性格してるとこ。
普通さ、アーロンのほうが攻撃的になりそうに想像するけど、そうじゃないんだなあ。サンドラ・ブロックのほうが、なんとしても成功するぞ、なんとしても自分の主張を通すぞっていう生き方だから、相手を打ち負かすような性格になるのかも。
アーロンみたいな境遇だったら、戦う気にもならないのかな。
実話がベースなので実際に黒人少年は大学に行ってドラフトにかかってプロのアメフト選手になったみたいなんすけど、こんなことあるんだなあって驚くばかりです。
まあ、この映画ができたあとに、マイケル・オアーがテューイ家族を訴えてるらしくて、それにも驚くんだけど。テューイはマイケルを養子にはしてなくて後見人になってて、それに不服を申し立てしてるとか。
後見人制度って問題あるみたいですよね。成人になっても後見人に財産の管理をされてしまって自由がないとかで。
これは続編に期待です。今作は光の部分を描いた。そしてサンドラ・ブロックがアカデミー賞主演女優賞を受賞するなど輝かしい結果になった。
その後をリアルでダークなテイストで描く続編をぜひ作ってほしい。
この映画では困った顔の優しい巨人として描かれていたマイケル・オアーだが、彼はこの映画を見てどう思ったんだろう。