落札額がすごいし、レオナルド・ダ・ヴィンチは人気も知名度もあるし、当然ニュースになってるはずだし、当時見聞きしてたはずだけどぜんぜん記憶にない。ボケたのかな。
映画はこの絵がどこで発見されてどういう経緯をたどって510億円までいったのかを描きます。画商とか修復師とか美術館とか美術評論家や美術ライターなどの証言をまじえて描いていく。これがなかなかミステリーなムードでおもしろいです。
最初、1200ドルぐらいで仕入れたって言ってなかったかな?救世主の絵はダヴィンチが描いたに違いないという記録はあるけど、実物はないらしいです。弟子が描いたとか工房の作とか、後年のフォロワーが描いたとかいうのはあるらしいです。
この千ドルぐらいで買った絵は、状態が悪く、加筆修正もされててとてもダヴィンチの作品とは言えないもの。しかし、修復師の人が洗浄し傷をなおすとなんだかそれっぽい感じになったと。
これはレオナルド・ダ・ヴィンチの真作ではないのか。いや、そういうことにして売ろうってことになって商魂たくましいアートディーラーが動き出す。
真偽ははっきりとはしません。あやふやなまま、美術館でレオナルド・ダ・ヴィンチの作品として展示されたりとかして、雰囲気だけ先行していく。
もともとの絵がいたみすぎてて、修復しすぎであったり、キャンバスが粗末なものであったりとか、普通にあやしい絵なんだけど、そんなことはお構いなし。
レオナルド・ダ・ヴィンチの真作が出たということで、得する人たちがそういうことにして、お金を儲けたって感じに見えました。
うまくやりやがったなみたいな。最初に絵を買った人はもちろん大儲けだし、修復師も莫大な分前をもらって大儲けだし、間に入った転売ヤーのブローカーも50億円ぐらい抜いたのかな、大儲け。
ロシアの富豪は損したんだっけ。最後に500億円で買ったとされるサウジアラビアの王子は儲かったのかなあ。
なんか美術品を買って倉庫にしまっておいて、それを担保に融資をうけてみたいなお金持ちのテクニックがあるみたいです。タックスヘイブンを使ってアート作品で一儲けってか。
フリーポートっていうのがあって、そこに保管すると輸送中とみなされて関税がかからないというテクもあるらしい。
フリーポートって映画の「TENET」で出てきてましたね。
現金そのままより、絵画1枚かませてあれこれしたほうがもうかるしインフレ対策にもなるみたいな感じなんすかね。
美術品とお金にまつわる話が後半でした。で、結局、この絵がレオナルド・ダ・ヴィンチの真作なのかどうかは疑わしいままって感じだったです。
なんかグレーというかなんというか。専門家たちがはっきりとは断言しないけど、そうではないかとにおわせる。権威ある美術館がダヴィンチの作品としてあつかったりはするし、修復師の人は間違いないとか言ってるし。
落札額はすごいしなんだけど、間違いなくダ・ヴィンチなのかというと、ぜんぜんそうは言えないみたいな。
まあ、なんだろ、真贋についてはみんなあんまり興味ないような。真贋よりも、レオナルド・ダ・ヴィンチでいっちょ儲けたろ、いっちょええかっこしたろっていうやからが、絵にむらがってたって感じ。
美術品の真贋って難しいですよね。なんか最近、贋作をいっぱい描いて売ったっていう贋作師のニュースがあったような気がします。贋作が真作として何十点も世界各地の美術館に所蔵されてるっていうニュース。
あれもさ、贋作って知ってて買ってる場合もあるんじゃないかと思った。美術館の関係者もグルになってキックバックで私腹を肥やしてるやついるんじゃないの?
あと修復もさ、ニュースありましたよね。どっかの教会の絵を素人の人が修復してとんでもない絵になっちゃったとかさ。
今回の救世主はその逆で、修復師の人の腕がよすぎて、レオナルド・ダ・ヴィンチの特徴を色濃く描き足してるっぽいです。それも困るよなあ。
確かにきれいに描き直しすぎに思えた。
虚栄心。欲望、野心。それを満たすための媒介として使われる美術作品。絵1枚が500億円って、なんかアホらしく感じる。自分は美術とかアートとかがイマイチぴんとこないんだけど、美術館行っても退屈でつまらないと感じるタイプだし。
この救世主の絵も10万円でも高すぎると思ったもんなあ。せいぜい5000円かそこらに感じたけど。