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『逆転のトライアングル(原題:Triangle of Sadness)』【映画のあらすじとネタバレ感想】


長い。長過ぎました。いつ逆転するの?みたいな。3部構成になってて、1はインフルエンサーの女とその彼氏の話。2は豪華客船のクルーズ。3は遭難して生き残った人たちが島でサバイバル。一つひとつのパートをめっちゃ時間を使って描写します。

ネチネチした感じですね。インフルエンサーの彼女はインスタかなんかで人気者でなんでもただでもらったり収入もありそう。彼氏はモデルなんだけど、男のファッションモデルは女のモデルにくらべて収入も低くてステータスも低い。

このカップル、バランスがとれてない。食事に行って、支払伝票がきて、彼氏は彼女が払うていったのに、払う気を見せないことに苛立って怒る。

昨日、君が奢るから食事に行こうっていったのに、眼の前の伝票をなぜ無視するのかと。彼女は偶然よ、なんでこんなことで怒るのよって半笑いなんすけど、彼にお金があんまりないのをわかってて、ちょっと困らせようってやってるフシもあります。

収入の差、仕事のステータスの差、二人のパワーバランスが描かれる。ネチネチとたっぷり時間をかけてやるからめちゃくちゃ長いです。

2部の豪華客船クルーズも長い。お金持ちの乗客たちの描写をネチネチと時間をかけてやる。ロシアの肥料会社の大富豪とか、ソフトウェア会社を売却した成金とか、武器製造会社の夫婦とか、様々なお金持ちの言動を長々と描写。

お金持ちたちをケアする乗組員たちの仕事ぶりも長々とやる。ロシアの富豪なんかさ、奥さんと愛人をつれてきてんの。お金持ちの悪趣味な感じがそこかしこに描かれる。

奥さんは退屈しのぎなのか、わたしたち金持ちが人生を謳歌してて、あなたたちがそうじゃないのは不公平だから、今からクルー全員を泳がせなさい、人生を楽しみなさいとか命令する。

そういう描写がダラダラと垂れ流される。船長のウディ・ハレルソンが部屋にこもりっきりで仕事しないのはなんでなのかよくわからない設定だったなあ。

変な船長だから事件がおこるとかいうでもないし。

まあそれでキャプテンと一緒にディナーをとるキャプテンディナーデイかなんかで、豪華な料理をお金持ちたちが食べてシャンパンを飲むんだけど、天候が悪くて船がめっちゃ揺れる。グワングワン大きく左右に揺れまくる。

それでお金持ちたちが、食べて飲んだものを、ゲーゲーゲロ吐きまくる。そこら中でゲロしまくるんです。ゲロをはきまくりながらも、まだ食べたり飲んだりするお金持ちが気色悪い。

天候不良が強くなって、船の揺れはどんどんひどくなる。船酔いでゲロをはきまくる、クソを垂れ流す。しまいにはトイレから汚物が床に流れていく。ゲロとクソの大洪水。

お金持ちがだしたクソを、掃除婦たちが床にはいつくばってきれいに掃除していく。金持ちは食い散らかし、クソを撒き散らす側。貧しいものは、それを片付ける側。階級差、貧富の差を強く感じさせるシーン。わかるけど、長い。とにかく長い。

そして3部。混乱きわまる豪華客船を海賊が襲う。手榴弾による爆発とかあって、船は難破。生き残った何人かはどこかわからない島に漂着しています。

そこで島での生活が始まる。掃除婦のおばさんが、魚をとったり火を起こしたりするサバイバル能力に長けてたので、彼女が主導権を握ってリーダーとしてふるまう。

なぜかみんなあっさりと同意します。クセの強いやつらが集まってるはずなのだが、なぜか従順に彼女に従う。もめたり、暴力でどうこうしようとしたり、ばらばらになったりしそうなもんだけど、そうならない。

平穏に掃除婦のおばさんをリーダーとした運営がなされます。なんでだ?みんなぜんぜんやる気がなくて、へらへらと脱力状態。なんか無気力。金持ちは自分で動かない、働かないっていう皮肉なのか。

人になんでもやらせて、怠惰になってるのがお金持ちだということなのかな。

それでさ、1部のカップルも生き残ってるんだけど、男のほうがおばさんとできちゃう。食べ物をもらうみかえりに、一緒に寝たりするわけ。

男のほうにプライドとかまったくない。みんなから陰口たたかれるのを気にしてて、いっそのこと堂々とカップルとしてみんなの前でいちゃつこうかとか言ってる。

なんだこいつは?みたいな。1部の冒頭でファッションモデルのオーディション風景があるんすけど、その場にあわせた表情や動きをするマネキン人形としてのモデルで、その人自身の意思や考えは求められないというのを見せてた。

H&Mの広告なら笑ってハッピー、バレンシアガなら攻撃的にすごんでクールに。

中身は求められてない。見てくれをその場その場であわせる。そういう男だというのが3部でも描かれてるのがなんかおもしろかった。

ファッションモデルのオーディション、難破して島でのサバイバル、というまったく違う状況でもやってること同じだなみたいな。

そんで最後はさ、難破漂流ものでよくあるやつで、その島は孤島じゃなくて、実は高級リゾートで人がいる島なのがわかる。インフルエンサーの女と掃除婦のおばさんが山登って探索してわかるんす。エレベーターがある!って。

ああ、助かった~って安堵するインフルエンサー女なんすけど、掃除婦のおばさんはもとの世界に戻りたくないから、石を握って背後からインフルエンサー女めがけてふりおろそうとするけど、

インフルエンサー女がもとの生活に戻ったらあなたにお礼したいわ、わたしのマネジャーやってくれないかなとか呟いてるのを聞いて、ふみとどまるのかふりおろすのか。

モデル男が山をかけて彼女たちを探す。そこで映画は終わってます。石は振り下ろされたのか、されなかったのかは、見てるあなたが決めてねっていうラスト。

観客にゆだねますエンディング。

これもさ、あんまりよくない終わり方だと思ったね。長々とネチネチと階級差とか貧富の差とかを描いて、最後はあなた次第って終わるのはどうかと思うよ。

この映画としての結論をだしてほしかったですね。

掃除婦のおばさんもインフルエンサーを殺そうとまで思うもんかね?あの島での生活がそれほどいいとは思えないけどなあ。

そりゃ島じゃリーダー、女王様気分なのかもしれないけど、そこまでいい暮らしじゃないように思うけどなあ。


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