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『映画大好きポンポさん』【映画のあらすじとネタバレ感想】


それっぽいことを言う格言映画。いやー、こういうのなんか苦手なんすよねえ。それっぽいんだけど、うーん、迫ってくるものがない。それって格言とかポエムとかアフォリズムとかで、よく言われるけど、深いようでなにも言い表してないじゃないかっていうね。

いや、それらしいことを言うし、それっぽいことをやるんだけど、それって机上の空論というか、そういうものだろうなと想像で語る人たちが言うことで、現場でやってる人たちの言葉や行動には思えないっていうかね。

映画作りの裏側を舞台にした内幕モノなんだけど、作ってる人の思う映画作りの話ではなくて、観客側が、作り手はこんな感じなんだろうなと夢想する映画作りの人たちのはなしになってるような気がした。

内幕モノなのに、内側から描かれてないような。

血肉が通ってないキャラクターとセリフ。

なのですべてが白々しいというか、綺麗事というか、名言、格言のたぐいのことをドヤ顔でドヤってるだけでしかないと思っちゃった。

映画作りのなかで、映画の作り手が感じたことのようには思えないっていうかなあ。なんだろ、この空々しい感じは。

ほんとに映画好きなのかなみたいな。

映画って個人的な体験と結びついたもので、作るにしても見るにしてもその人ならではのものがあらわれてくる。

共通認識みたいなのは薄いものだと思う。

なのにこのアニメでは映画とはこうあるべきもの、良い映画とはこういうもの、映画好きはこう思うものみたいな、正解の共通認識が当然あるという感じで描かれていく。

こういうのが名作で、こういうのが名優で、こういうのが名クリエイターだという正解があるように描かれる。

そこが違和感なんかな。なんかおかしくないか。

ちょこちょこなんか変じゃないかそれっていうのが多かったなあ。現場の思いつきをみんながあれこれいって、それが名シーンになりましたとかさ。

ちょっと待ってくれよ。その場でちょいちょいと適当に思いついたことが、時間をかけて考え抜いて推敲して準備して計画したことより良くなるって、そんなことある?

そいつはいいアイディアだ、ワッハッハ~、さすがだぜってみんな笑って楽しい楽しいってどういうことだ。

90分がいい映画みたいなこと言ってたけどそれもなあ。

編集の苦しみ、せっかく撮った素晴らしい場面を全部使うわけにはいかない苦しみを描きたいにしろ、長い映画より短い映画のほうがすぐれているとはいえないだろ。

観客の時間を長時間奪うのはよくないみたいなことでしたっけ。いやー、90分の映画でもこれ30分ぐらいの内容じゃないかっていうの普通にあるけどね?

3時間の映画でも1時間半ぐらいにしか感じないのもあるけどね。どっちが観客にとって優しいのか。

劇中で主人公が作っている映画がまったくおもしろそうに見えないし、見たいとも思わないような映画だったのがなあ。

これもありがちというか、賞をとるような映画ってこういう感じだろっていう幻想の共通認識から考えられた映画って感じなんすよ。

傲慢な男がすべてを失って、大自然のなかで少女と出会って、生きる意味を再発見してカムバックして家族と和解してハッピーエンドみたいな。

うわー、今更見たくない。

それにあっという間に役になりきる天才女優とか、伝説の名俳優とか、伝説の監督の孫とか、あまりにもマンガすぎる描き方でなえる。いや、マンガだからこれでいいのか。

大抜擢される新人女優にまったく魅力がなくて残念。この子、全然ダメじゃんとしか思えない。

あと銀行マンの話も、いやー、これもちょっと幻想のはなしというか、現実味がないと思ってしまった。

編集作業をする主人公だが、足りないシーンがあるということで追加撮影をさせてくれとポンポさんに言うわけ。

追加撮影には追加の資金が必要だし、それで完成が遅れたりすると、映画自体がポシャる。そのリスクをわかって言ってんのか。それでも撮りたいですってことで、そうすることになるんだけど、スポンサーが降りたりして難航する。

まあ、これも観客が想像するクリエイター魂ってこういうものですよねというふんわりとした想像の展開に思える。

クリエイターっていうのは、予算や商売を度外視してもの作るもんだろっていうそうあってほしい幻想。

資金難で困ってるというのを見た昔主人公と同級生で今は大手銀行マンのちゃらい男が資金集めの計画を考えてやるってわけ。

この銀行マンは昔は映画オタクの主人公を地面しか見てない負け組、おれはなんでもうまくやれる勝ち組として見下してた。

でも今や、映画オタクは映画監督で夢の実現のために戦っている。自分は仕事のできない、やる気もない退職を考えてるダメサラリーマン。

こんなんじゃいけない、もう一度、上をむいて生きるぜえってことで銀行の取締役に映画に融資するべきだというプレゼン。熱意だけのプレゼンで数字を出せと却下されるんだけど、実は会議をライブストリーミング放送してて、視聴者数がけっこういく。

映画の夢を語る監督や俳優の動画もけっこう再生数をかせぐ。大勢がこの映画に興味をもっている。これが数字の裏付けですということで、頭取登場で、まあ、ええやないか、夢と希望のお手伝いをする銀行ですというプロモーションができると思えば安いもんやってことで融資が決定。

うーん、なんかこれも共通認識でよくあるお金にまつわる人情噺だなって感じがする。

やっぱさ、血肉が通ってないんだよなあ、このアニメ。

キャラにもお話にも血肉が通ってない。

その人ならではの思いや、個人的な体験からくる物語ではなく、想像の中のぼんやりしたものしか描かない。

ほんとに映画好きなのかな?皮肉で映画大好きって言ってるのか。

映画大好きポンポさんは90分だったけど、はたして観客に優しい90分、見てよかったと思わせる90分だったかどうかはあなた次第。


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