最後のオチは、いろいろパターンが考えられるけど、ケヴィン・スペイシーが消えてしまう、消えないというはっきりした結末ではなく、グレーな終わり方になってるのが、どうもすっきり感がないなとかね。
お話は精神科医のジェフ・ブリッジスと、自分はK-PAX星からきた宇宙人だというケヴィン・スペイシーとの交流のドラマです。
どこからともなく駅にあらわれたケヴィン・スペイシー。ひったくり事件に巻き込まれて警官に職質されるんだけど、身元不明で記憶喪失ということで精神病院におくられる。
そこの医師のジェフ・ブリッジスが診察するんだけど、ケヴィン・スペイシーは自分は地球から1000光年離れたK-PAX星からきたという話をする。
ああ、またよくある誇大妄想だなって話をきいていくんだけど、彼の話には真実味が感じられてジェフ・ブリッジスはどんどん興味をひかれていく。他の患者にも良い影響をあたえていくケヴィン・スペイシー。
検査するとどこにも異常はないが、紫外線を見ることができるとかなんとかでちょっと変なとこがあるケヴィン・スペイシー。地球は眩しすぎるといって、サングラスをかけてます。
なんかケヴィン・スペイシーの演技がいいんですよ。雰囲気だけで、宇宙人を演じちゃってる。いや、ほんとに宇宙人かどうかはわからないんだけど、サングラスかけてるだけで、そう思わせる雰囲気を醸し出してる。
グラサンかけてハゲぎみで果物好きな宇宙人。
そこがこの映画のおもしろいところ。宇宙人なのか、ただの記憶喪失の天体観測オタなのか。まあ、普通じゃないのは確かなんですよねえ。
天体観測所の知り合いに話をきいてもらうと、ケヴィン・スペイシーの言ってることはでたらめではなく筋が通ってる。
観測所の数人しか知らないような、星の軌道を正確に書き表して見せるケヴィン・スペイシー。
なぜこれを知ってるのか?K-PAXでは常識さとさらっと答えるケヴィン・スペイシーがいいんだなあ。
え?これはもう宇宙人ということではないのか……みたいな。ここから宇宙人と地球人の交流話になるのかと思いきや、逆にケヴィン・スペイシーは記憶喪失の男ではないのかという展開になります。
後半はジェフ・ブリッジスがケヴィン・スペイシーの素性を明らかにしようとがんばる展開になるんすよ。
ケヴィン・スペイシーに催眠療法をして、語られるキーワードをもとに調査をすすめる。過去になにかトラウマとなる事件があって、それを忘れるために宇宙人であると思い込んでいるってわけ。
あまりにも辛いことがあったために、別人格のK-PAX星人プロートをうみだして心の平静をたもっている悲しき記憶喪失男だというわけ。
もうすぐ地球を離れるというケヴィン・スペイシー。
その日になにかことを起こす前にどうにかしないとってジェフ・ブリッジスはあせります。それで田舎町でおきた事件の当事者がケヴィン・スペイシーではないかというのをつきとめる。
幼い娘と嫁を殺されて、犯人を殺して川に身を投げて生死不明で行方しれずになっている男。
君はこの人ではないのかね?と卒業アルバムの写真をみせてケヴィン・スペイシーに話すんだけど、ケヴィン・スペイシーはやんわりと否定するでもなく肯定するでもなくです。
ジェフ・ブリッジスのほうも、君はこの人だろ、過去にこんなに悲しい出来事があったんだろって思い出させるのが、はたしてケヴィン・スペイシーのためになるのか疑問に思い出してるので、問い詰めはしません。
そしてK-PAXに帰るといっていた日を迎える。病院の患者のなかから一人だけ一緒に連れて行くといっていたケヴィン・スペイシー。みんな行きたくて作文で意気込みを書いて提出してます。
彼は消えるのか消えないのか。どうなると思います?どっちでもないんすよ。消えてくれてもよかったし、消えない終わり方でもいいと思うけど、どっちでもあるラストになってます。
卒中かなんかおこして、ケヴィン・スペイシーはなにも喋れない、なにもできない状態になってしまう。彼の肉体はあるけど、精神は消えてしまった。
消えたともいえるし、消えたないともいえる状態。
なーんだ、宇宙人じゃないのかって思うけど、病院の患者が一人いなくなります。
K-PAXに行きたい作文にわたしには家がないという内容を書いた女性が病院から姿を消してどこを探しても見つからない。プロートは彼女を選んだんだと他の患者たちは言う。
これもただ単に患者が失踪しただけということもできるけど、ほんとにK-PAXに旅立ったとも考えられる。
これを粋なラストだと思うか、はっきりさせないイライララストだと思うか。うーん、意見はわかれるけど、これはこれでいいかなみたいな。
とにかくケヴィン・スペイシー演じるプロートがおもしろくてよかったね。