最初の10分とか15分で、こりゃダメだ、ダメだこりゃって思う映画って、だいたい最後までみてもダメなんですよねえ。なぜかそうなんだよなあ。
お話はストリッパーのマイキー・マディソンが客のロシアの大富豪の息子イヴァン(マーク・エイデルシュテイン)に気に入られて専属エスコート契約をする。もうすぐロシアに帰らなきゃいけないから、最後のアメリカでの豪遊生活を楽しく一緒に盛り上げてよって感じ。
エロい彼女として一緒に仲間との遊びにつきあってって感じ。
仲間とパーティーで楽しい時間をすごす。ラスベガスに行って騒いで、テンションあがった二人は勢いで結婚する。ベガスは24時間教会やっててすぐ結婚できるらしいですね。
あっはっは~、玉の輿~ってうかれるアノーラ。超弩級の大金持ちの御曹司ゲット~って。でかいダイヤモンドの指輪も、毛皮のコートももらって、やりましたわ、わしの逆転勝ち人生ですわ~、ガハハって。
でもイヴァンは親に彼女との結婚を知らせてない。本気の結婚とは思えないのだが……。それで息子が結婚したらしいという噂を知った両親がアメリカでの息子の世話役をおくりこんできて確かめる。
確かめに来た、あれなんだろね、ロシア正教の牧師か神父かなんかですかね、そいつとその手下のやつとその用心棒の男3人が様子を見に家に来る。最初2人きてもめる。
本当に結婚したのかどうかの確認を2人がして、ほんとに結婚してるってなって、牧師も洗礼式を途中でぬけて家にやってくる。
そのあいだイヴァンは親にいたずらがバレた子供のように、あたふたしてその場から逃走します。やばいやばい、親にはめはずしてるのばれたって感じ。アノーラ置き去りでどっか行く。
アノーラはわたしと彼はちゃんと愛し合って結婚したんだと、わたしは妻で離婚する気はないと暴れる。なだめようとする男たちに暴力ふるいまくって逃げようとするけど、なんとかおさえつけられて静かにさせられる。
このへんが、変なコントみたいで笑わせようとしてるのか、どうなのかよくわからなくて苦笑いです。男たちが荒っぽいことするのかと思ったら、しない。男たちは冷静に話しようとしてるのに、アノーラが暴れまくるから困ってる。
アノーラがギャーギャーいって暴れて、男たちがオロオロ困ってるコントをやる。しかもけっこう長い。前半の二人が楽しくパーティーしてる描写も長い。
この中盤の逃げようとして取り押さえるコントも長い。こんな長さいるのかよくわからない。
そっから、両親がロシアからやってくるまでに、逃げたイヴァンを探すということで男たちとアノーラの話がつく。この結婚は両親が許すはずない。弁護士に無効にさせるから、君にはお金をやるからそれで終わりにしてくれって。
アノーラはわかったから、彼と一度話させてくれってことで、みんなで彼が行きそうな友達のとことか店とかを探してまわる。
見つかんねえなあって、その間に車が駐車違反でレッカーされそうになったり、車の中でゲロはいたりして、またなんか笑かそうしてるのかな?みたいなコントがあったりなんかして。
そしたら、泥酔したイヴァンがアノーラが働いてたストリップ小屋にきてると昔の仲間から連絡きて、みんなで急行。
またそこでドタバタ乱闘。イヴァンは泥酔しててまともな話ができない。アノーラとちゃんと向き合おうとしない。それでもアノーラのほうは、いや、ほんとはわたしとの結婚ちゃんと考えてくれてるよねって思いたいので、その可能性にすがる。
イヴァンの態度見たら、ダメなのわかりきってるけど、アノーラはワンチャンあるんじゃないかと暴れて騒いでがんばってみるって感じ。結婚したんだから、契約したんだから、この契約は有効なはずって。
すぐに朝イチで裁判所に婚姻の無効を訴えるということで弁護士が待ってて裁判所行くんだけど、ラスベガスで結婚してるからそっちで手続きしないといけないってことで、ロシアからプライベートジェット飛ばしてやってくる両親を待つことに。
そんで飛行機がついて、母親と父親が来る。母親がガミガミとイヴァンに説教。アノーラはこんちわ、わたしが息子さんの妻です、一族に加われてうれしいですと頓珍漢な挨拶するけど、母親は、ふん、なにいってんだ、おまえなんかと本気で結婚するわけないだろって相手にしない。
これからみんなでベガス行って離婚手続きするぞってなる。もうイヴァンは親の言うことにさからえるはずないって借りてきたネコじょうたい。アノーラとの結婚は本気だと言ってほしいアノーラだが、イヴァンにその気はまったくない。
もうね、アノーラがなに言ってもダメ。飛行機乗らない、弁護士雇って離婚するにしても妻としての財産半分もらうって強がってみても、母親がやってみなさい、あなたのすべてをなくす覚悟あるのかしらって言われてもうなすすべなし。
アノーラがいくらごねても、イヴァンに本気でアノーラと結婚する気がないからどうしようもないですよねえ。
そんでベガスで離婚手続きして別れるんだけど、用心棒の男イゴールが、イヴァンはアノーラに謝るべきだって意見するわけ。男としてこんなことになって悪かったって謝るのが礼儀だろってことなのかな。すげえまともなこと言うわけ。
エスコート嬢として雇ったんだったら、結婚なんて最初からすべきじゃないし、本気で結婚する気ならちゃんと親と話をするべきだし、そのどっちもやらないイヴァンはアノーラに失礼だろってことらしいのだが、むちゃくちゃまともなことを彼だけが言う。
まあでも謝らないですけどね、イヴァンも両親も。イゴールはおえらいさんにこんなこと言ってもなんも言われないぐらい軽い存在。捨て台詞残すアノーラにイヴァンの父親が爆笑してたのがおもしろかった。たてつくやつに妻がいらついてるのが、ちょっとおもしろいと感じていたのかな?
まあそんで今日はあの家に泊まっていいから、明日の朝に手切れ金はらってそれで終わりだってなる。手切れ金も1万ドルだっけ?安いのよ。用心棒の男はつきそいで大豪邸で一緒に泊まることになる。
それで二人がテレビ見ながら、なんてことない会話して、ちょっとしんみりした感じになって、ちょっといい感じじゃない、この二人みたいなムードをかもしだしてくる。タバコを2本くわえて火をつけて1本アノーラに渡してくるとか、こいつエロいことしてくんなあって感じ。
名前の話とかしてさ、アノーラって名前いいんじゃないかとか言ってくる。こいつやってんなって感じだけど、イゴールにアノーラを口説いておいしい思いしようという作為はあまり感じない。それまでのイゴール見てたら、おばあちゃん子で礼儀とか人に優しくするとかをおばあちゃんに言われて育ったのかもとか想像しちゃう。
アノーラのことを気遣ってくれたのは、この用心棒の男だけ。人間として接しようとしてくれたのはこの男だけだった。
そして翌日、車でアノーラと銀行によってからアノーラの家におくりとどけた用心棒。最後に、これは内緒だぞとっとけよって渡してくれたのが、ダイヤモンドの指輪。用心棒がくすねてアノーラに渡してくれたのだ。
これぐらい慰謝料としてもらってもいいだろってことかな。ひどいことされた当然の報酬だってことですか。粋なことするなあ。そしたら、アノーラが突然用心棒にまたがって腰動かし始める。
カーセックス始めるんすよ。うん?どういうこと?どういう心境?よくわからんのだが、イゴールはなんも言わずされるがまま。ふたりの顔が近づいて、イゴールがアノーラにキスしそうになるけど、アノーラが拒否って用心棒を叩いて、それでうぇーんってアノーラが泣きだして、
それを無言で抱きしめてやる用心棒というシーンでおしまい。画面が暗転してオンボロ車のエンジン音とワイパーの動く音だけが静かに続く。おしまい。
なんだったんだろう。よくわからない。アノーラはなぜあそこでセックスしようとしたのか。なぜ途中でやめて泣き出したのか。
どうなんだろ、セックスでしか他人とつながれない自分に腹が立って悲しくて泣いたということなのか。自分で自分が嫌になったっていうシーンなのかな。自己嫌悪なのかな?
用心棒キャラと最後のシーンがあるから、アカデミー賞やカンヌのパルムドールを受賞したんだろうと思うんだけど、よくわからない。
アノーラのかなうはずのない夢。アノーラ自身、はかない夢だと思ってたかもしれない。それがやっぱりダメになって傷ついたわけだけど、その傷ついた気持ちをわかってくれる存在が用心棒のイゴールで、彼がいたということがせめてもの救いでよかったってことなのかな。
傷ついたけど、理解してくれる人はいるよっていう小さな希望がある終わりかただよっていうのがよかったのかな?よくわからない。
いやー、なんだったのかよくわからない映画だ。イヴァンはさ、見てて最初から本気でアノーラを妻にするきないだろなっていうのは感じる。
すごく幼稚なキャラなんすよ。20歳ぐらいだっけ?でも気持ちは小学生ぐらいにみえる。友達とバカやって騒いで、アノーラとのセックスで狂った猿みたいに腰ふったりとか。
アノーラにもっとじっくり楽しみましょうって言われてた。自分が気持いいことだけ考えてる。ことがすんだらゲーム。親とちゃんと話もできない。完全に子供。
自分で責任とることができない子供、後始末をできない子供として描かれてるキャラ。パーティーの後始末、掃除、ベッドメイキング、とかも掃除婦がやってるのも、彼が後始末できない子供っていうことなんだろ。
アノーラという人間を見てない。欲を満たしてくれる存在としてアノーラを見てるって、最初から最後まで感じる。結婚しようっていうのも、その場が盛り上がる、気分がいいから言っただけって感じする。
アノーラ側はどうなんすかね。本気で妻になれると思ってたのかな?なんかストリッパーとして、所帯持ちのすれたおじさんの相手ばっかしてるから、あんな若くて子供みたいな男の相手をするのは新鮮でほんとの恋愛みたいに感じていたのかな。
いやー、でもいくらなんでもそんな初心じゃないよね。すんなりいくとは思えないけど、現実を見ずに夢の時間がどこまで続くかねばってみたって感じに見えたけど。中盤、後半のアノーラの暴れっぷりを見るとそんな感じした。
うーん、なにがそんなに賞にからむ要素なのかよくわからない。賞とるやつってなんかあるでしょう。あ、この俳優の演技がうけてるんだとか、社会的な問題をとりあげてるからかとか、わかりやすい引っかかるものがある。
それがこのアノーラには感じないんすけど。やっぱり最後のところと、用心棒のイゴールの存在が重要な要素なんだろうけど、自分にはよくわからない。重要ななにかなんだろうけど、自分にはわからないので、モヤモヤするだけだ。
うーん、イゴールは唯一まともなというか普通の男として描かれていたように思う。冷静だし、自分の非を謝ることも普通にできるし、悪いことしたと思ったら謝るのが当然だろっていう普通の感覚をもってる。
アノーラと普通のどうでもいい会話をすることもできる。アノーラにとって普通に話できるやつがイゴール。指輪をこっそりくれるとか粋な気遣いもしてくれる。そんなイゴールとアノーラはセックスでつながろうとした。
普通にせっしてくれるイゴールにたいして体の関係でこたえようとする、そういう手段でしかつながれない自分が情けなくて、自分に腹が立って悲しくて泣いたってことなのか。うーん、あの最後のシーンはどういうことなのか正解が見えてこないなあ。
まあイゴールもただのいい奴ではないよなあ。あれはバカっていうか、なにも考えてないがゆえの行動や物言いが優しく見えるっていうキャラクターのような気もする。
あのロシアのコミュニティで、下っ端で重要な仕事してるわけじゃなく、ただの腕力要員で重い責任を背負ってるわけでもなく、おばあちゃんにぶらさがって暮らしてる30男であるからあの言動になってるだけで、ほんとにいい奴とか、アノーラに気があってどうにかしたろとか企みがあるとかないんだろね。
役者たちの演技は素晴らしい。演技しているとは感じさせない。ほんとにこんな人なのかなって思わせてくれる演技をしてた。
前半のただ欲望を満たすことに全力をつくす若者たちの描写の刺激的な感じ、中盤のおとぼけ4人集が人探しするコントタイムのおとぼけな感じ、そして最後の余韻をうむシーン。
この構成の妙みたいなのが評価されたのでしょうか。
あれ?こんだけあれこれ考えるということは見てよかったのかな?見たあとにあれってなんだったんだろうって、思わせぶりにやってくる映画って嫌いなんすけど、この映画は思わせぶる塩梅が絶妙だった。
まったく不可解で理解不能というわけではなく、かといって明らかにこうだっていう正解もなく、なにかしら説明がつきそうで、その説明も見た人それぞれが納得するものを何通りにも考えることができる。でも正解はわからない。そこらへんの匙加減がうまかったから賞をとったとみた。
見終わってこんだけあれこれ思えたら、見てよかったと言えるかも。あれ?最初ダメだと感じたけど我慢して見てよかった系映画だったってことかな。