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『ミステリと言う勿れ』【映画のあらすじとネタバレ感想】


横溝正史の「犬神家の一族」とかあのへんのミステリのパロディドラマ。金田一耕助パロディ。一族の血の因縁、遺産相続、見立て殺人とかそういうやつのオマージュ。しかしすごいユーモアですね、天パ殺人って。おどろおどろしい血の惨劇が天パが理由って。

しかもそれを真顔でみんな大真面目に演技している。そういうギャップがおもしろいところかな。金田一耕助は菅田将暉演じる天パのアフロ。マイペース人間。なんかよくわからない女の子、原菜乃華に強引に頼まれて一族の遺産相続争いにかかわることになる。

探偵役が部外者で完全に傍観者というのも金田一耕助ミステリーっぽさがある。遺産相続は一族の孫たち。直系の親が死んでいるので孫たちが相続人になってて、遺言でそれぞれに蔵を与える、あるべきものをあるべき所へ過不足なくせよという謎掛けが残される。

その謎を菅田将暉たちが解く。遺産相続を巡って、親族同士で殺し合いをしたという話しをする原菜乃華。命が狙われたり嫌がらせがあったり。この一族では若くして亡くなる人が代々いて、その不思議な共通項が見えてきたりとか。

そういうミステリな展開をしていきます。テレビのサスペンスとかミステリーものとかを見慣れている人には安心感がある見慣れた光景なので見やすいかもしれないです。

若いキャストで古くからある定番ミステリサスペンスをやる。安定感はある。でもなんかおもしろいなあっていう感じにはならなかったかな。安定してるなって感じはしたけど。

菅田将暉演じるキャラクターは好き嫌いでるかもしれない。正論を独り言のようにまくしたてるシーンがあるんだけど、うーん、あれはどうなんだろ。

よく言った!いいぞ!っていう感じにはならないし、かといって的外れなこと言ってるなとも思わないし、別に説教でもないし、なんなんだろ?っていうね。教科書にのってることをいきなり読み上げ始めたぞ?みたいな違和感がある。

探偵役が空気を読まない変な変わり者だというキャラクター付けのための正論語りであってあまり意味を感じないというか。待ってました!いつものあれ!っていう決め台詞的にああいう正論語りをやるのならおもしろいんだけど。

あとはなんだろなあ。とくに感想はないというか思いつかない。定番のミステリ、古典ミステリーのパロディだって思ったぐらいで、おもしろいわけでもつまらないわけでもなく。

まあ、変な話だけどね。一族をのっとった犯罪者の末裔たちの揉め事。天パの人間は抹殺するという代々の掟があってそれを実行してきた。なんか現実味というか、実感があんまりわかない設定ですね。

本来の血筋だと思われる天パで外国人風の容貌だと、のっとりがバレるという危惧からそういう伝統が受け継がれていたらしいんだけど、昔ならそういうことしたかもしれないけど、それが未だに受け継がれているという異常性。

そういう異常性とか奇妙な風習の特殊さみたいなものに説得力をあまり感じなかった。現代が舞台だからかな。

横溝正史の金田一耕助ミステリーもあれ舞台が戦後すぐの混乱期だったりするじゃないすか。そういう時期を舞台にしてるから、過去の血の因習がどうのとか、遺産相続争いで殺人がとかが盛り上がるわけで。

闇が世間を覆ってるときが舞台だから、そういうおかしなことがあってもおかしくないムードがあるし、おどろおどろしくていいわけで、現代だと光が強くて明るすぎていまいち盛り上がらないんだな。

最後はいい感じな雰囲気になって終わってたけど、それもどうかなって。原菜乃華は大丈夫なのか。自作自演で狙われるふりするし、あわよくばのラッキー殺人も実行準備するし、親が死んだのは自分のチクリのせいだし、こいつは闇落ちするしかなさそうだったけど、

みんなが大丈夫大丈夫って言ってくれて、菅田将暉も謎のコンクリート理論でまだ乾いてないからなおせるとか謎の自信でなぐさめる。

いや、あの子は一線超えてるからダメだと思うけどなあ。

にっこり笑ってありがとうってそんなほのぼのエンディングが似合わない。最後だけがパロディならではの終わり方になってたのかも。金田一耕助ものってだいたい最後は悲惨な結末を迎える。そこはオマージュしないんだ。

そうだなあ、金田一耕助ミステリなら、松嶋菜々子が殺されて終わるんじゃないか。犯人が計画を完遂して、それをとめることも阻止することもできず、悲しい結末をむかえて、探偵は去っていく。



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