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『友情』【映画のあらすじとネタバレ感想】



これはうまくできてないように思ったなあ。友情物語にあんまりなってなかった。中村勘三郎と渥美清の友情ってことなんだろうけど、どうもイマイチなんだよなあ。キャストはよかったですけどね。

坊っちゃん坊っちゃんしてる中村勘三郎こと五代目中村勘九郎。松坂慶子と同棲中です。松坂慶子がキリッとしてて大人っぽいです。渥美清はいつもの山田洋次監督映画の渥美清。

調子がよくっていい加減だけどみんなから好かれるおもしろい男。

この映画、てっきり山田洋次映画かと思ってたんだけど、監督は宮崎晃なんだなあ。笠智衆も出演してたから、山田洋次だと普通に思ってたんだけど違いました。

中村勘三郎は大学生。松坂慶子は印刷屋で働く社会人。同棲してて、松坂慶子の稼ぎで中村勘三郎を養ってる形です。

大学が夏休みということで、中村勘三郎は稼いで家計の足しにしようと、同級生のおやじの口利きでダム工事のアルバイトを夏の間することにします。山奥で肉体労働。

そこで知り合ったのが渥美清。お酒が好きで仕事さぼっちゃうこともあるけど、明るくて彼がいると現場があかるくなるムードメーカー。

数週間たって中村勘三郎が仕事に慣れてきたころにトラックが横転する事故があって腕を骨折。仕事はもうできないってことで中村勘三郎は家に帰る。渥美清が、あんちゃん元気でなってバスを見送ってくれます。

東京帰って腕が治るまでなんにもできなくて悶々とする中村勘三郎。松坂慶子の叔父が中村勘三郎との関係をよく思ってなくて、結婚するか別れるかはっきりしろとせっついてきてるのもあって、気持ちが暗くなってる中村勘三郎。

そんな彼を優しく見守る松坂慶子。よくできた人だなあって感じ。この映画の松坂慶子はすごいちゃんとしてる人として描かれてます。

たまには平八郎もいいじゃないってジョークも言える。飯場の隠語でさぼりのことを平九郎っていうらしんだけど、それをそのまま言うんじゃなくてちょっとひねる余裕がある。

普通、こんな頼りない男たちを見てたら不安になって怒ってもおかしくないんだけど、松坂慶子は通常運転です。

同棲してるんだけど、結婚するかどうかはわからない。お互い嫌になったら別れるという思いで一緒にいる。叔父からしたら、松坂慶子が損じゃないか、結局捨てられるぞ、どうしてそんなことするんだって困惑です。

なんだろ。このころは男は女を養うもの、女は結婚して家庭にはいるのが幸福、そういう価値観が崩れ始めてきた時代っていうのを表現してるのかな?

女性が仕事をして経済的に自立しているので、結婚にはこだわらない男女関係が成り立つみたいな。

腕がなおってきたころに、警察から電話があって、渥美清が酔って喧嘩に巻き込まれてあなたを身元引受人として呼んでますということで、再会する。

カニを買ってアパートで宴会。そして翌日食中毒で腹痛おこして中村勘三郎と渥美清は寝込んでしまう。そんなバカな男たちを文句も言わず、やさしく看病する菩薩のような松坂慶子。

叔父がやってきて中村勘三郎を女にたかるクズ男だと責め立てるんだけど、渥美清はこの二人は大丈夫だからそんなにいじめるなと言います。女に甘える男、けっこうじゃないのって。松坂慶子がしっかりしてるから、感動しちゃったんだろうね。

それで渥美清は次の現場に行く前に故郷の島に行くってことで、中村勘三郎に一緒に行ってくれないかと頼む。実は渥美清は結婚してて、女房も子供も島にいたんだけど、出稼ぎでいろんな現場に行ってるうちに、悪い女に騙されてお金とられたりして、

なんとなくバツがわるくなって、女房子供に連絡しづらくなって6年も音信不通状態になっていたと。仕送りもうやむやになってて、一生島には戻らないつもりでいた。しかし松坂慶子と中村勘三郎の関係を見てるうちに、女房や故郷が恋しくなったってことかなあ。

松坂慶子があまりにも男に甘いいい女なので、ワンチャンおれの女房も意外と許してくれるかもって変な希望をいだいちゃったのかな。

そんで島に帰るんだけど、直前で、やっぱオレ帰れないわって船に乗らずにどっか行っちゃいます。中村勘三郎一人で島にわたって、旅館の主人の加藤嘉に渥美清のことを聞くと詳しく教えてくれて、奥さんは今は別の男と一緒にいるのがわかります。

渥美清は帰ってこなくてよかったんだってほっとして翌日帰ろうとすると、渥美清が島にやってくる。おう、おれんちあっこだからよってけよって陽気な渥美清。中村勘三郎はなんで帰ってきたんすか、戻りましょうって言うのだが、

渥美清は自分ちに帰るだけなんだからって言うこと聞かずに帰宅して、女房には新しい男、渥美清の親友がいて、赤ん坊もいて、父親の笠智衆も帰ってくんなって言うし、

自分はお邪魔虫なんだと悟った渥美清は島を出ます。安心したよって明るくふるまう渥美清だけど船で静かに泣く姿を見て、中村勘三郎は声を掛けることもできなかった。

まあ、そりゃそうだろって感じだけどね。奥さんが散々さがして戻ってこいっていっても帰ってこなくて、音信不通に6年もなってたら小さな子供二人もかかえた奥さんが一人でいるわけもなし。

そんで渥美清は次の現場へ、中村勘三郎は東京へ。松坂慶子に愛してるよと愛を真正面から告げる中村勘三郎。渥美清にはもう会うこともないわねえと懐かしむ松坂慶子に、渥美清の悲しい話をゆっくり聞かせるよ、って言っておしまい。

うーん、いまいちだったかな。

友情という題名があまりしっくりこない。ダメ男に甘えさせるできるいい女、松坂慶子が印象に残った映画でした。



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