みんな若くて元気であけっぴろげで性に開放的で自由な存在です。若さがはちきれんばかり。彼らを襲うのは老人。ホラー映画でいうモンスターが老人夫婦なんすよ。年寄で見た目は悪く、若い時の輝きは失せてしまった存在。
冒頭にすべてが終わった後の家に保安官たちが来て、いったいここで何があったんだというのを見せてから、時間は遡り前半はポルノ映画の撮影スタッフが田舎の家まで行って撮影するのが描かれる。
後半は家主の老人たちに襲われて、一人またひとりと犠牲になっていくのを描く。そして生き残りをかけてのバトルがあって、冒頭の続きにつながる構成です。
なんだろ、ホラー映画によくあるやつで、若いチャラチャラしてるやつが外界から隔絶された場所で殺人鬼に襲われちゃうっていう形式で、その殺人鬼が老人だという設定。ストーリーや設定はまったく新しくなくて、斬新さはまったくない。
でもおもしろいホラー映画でした。老人が若者たちを襲うっていうのがおもしろいですよ。モンスター役が老婆と老ジジイなんですけど、老婆が性欲すごくて、夫はそれに応えたいけど心臓がやばいから無理!ってなってるのが面白い。
時代設定がいいですよね。1979年っていう設定だっけ?ウーマンリブとか性の解放とかそういう時代のムーブメントがおきてた時代ですよね。それ以前は女性は、性欲があるなんて人前で見せるなんてできない禁欲的な時代。
暗い戦争もあったし、そういう時代を過ごした老女はヒッピーとかポルノとかをやってる70年代の若者を見てると憎悪を感じてしまうんだろう。
自分が若者だったときは抑圧されて満足できなかった。それが時代がかわって若者たちは開放的に性や欲望に身を任せて快楽を謳歌している。自分も欲望を満たしたいが、すでに体は老人で自由にならない。
若者たちは、これみよがしに裸でうろうろするしさ。家をポルノの撮影で使うとは、こりゃめちゃ許せんよなあって感じなんだろう。
若さ、自由にたいする憎悪が生み出した悲しきモンスター老夫婦。怪物がただの殺人鬼というわけではなく、そのロジックというか殺しの原動力になってる感情が詳しく描かれているところがよかった。
最後に生き残る主人公も、あの子ってテレビ放送で映し出されてた狂信的な宗教団体のリーダーの娘なんですよね。抑圧から逃れるために麻薬やポルノに走ってる。
ポルノやドラッグが単なる快楽のためのものというより、人を縛る体制や因習への反抗として存在する。ポルノ映画はロックっていうこと?