表情とかセリフとか、全部、段取りでやってるように見える。もっと生々しいというか、ドキュメンタリーっぽい質感で撮ってるのを期待してたんだけど、ちょっと雰囲気が違いました。一応主人公はあのミュージシャンの若者なのかな。
群像劇で誰かひとりきっちり主役がいるっていう感じではなかったですけども。デトロイトで暴動がおきて警察や州警察、州兵が暴動の鎮圧にあたっていた。ピリピリ状態で暴力警官による理不尽な取り締まりが横行している中、モーテルの泊り客がいたずらでおもちゃのピストルで警官隊を撃つ。
競技用ピストルかなんかで音がするだけのもので、横暴な警察への腹いせのつもりでちょっと脅かしてやろうとしたんだけど、警官隊はモーテルにスナイパーがいて狙撃されたと思ってモーテルに乗り込んできて泊り客を荒っぽく尋問します。
尋問というか、乗り込んですぐに走り出てきたやつを問答無用で撃って殺したりします。この白人警官は逃げる黒人をすぐに背中から撃つやつとして描かれてます。スナイパー探しのための捜査のはずが、なぜか泊り客をリンチしていく感じになっていく。
銃は見つからない。スナイパーも見つからない。最初に撃ち殺されたやつがおもちゃのピストルを鳴らしただけなんだけど、警官はいきり立ってるし、暴動のさなかで緊張感もマックスの状態。冷静な捜査などされない。
黒人なのに調子のりやがってみたいな感じで白人警官が暴力ふるってる様子がかなり長い時間描かれる。おどかして自白させようと、一人を別室につれていって撃ち殺すふりをするんだけど、一人の警官が芝居だと思わずに本当に撃ち殺してたのがきつかったなあ。
あれって実話なのかな。だとしたらひでえ。ひどすぎる。ひでえといえば州警察か州兵かなんかが、市警察のやり方がむちゃくちゃだというのがわかってるけど、衝突するのが面倒だから引き上げるところもひどかったなあ。
人権問題は面倒だから引き上げだっていってすぐ帰っちゃうんすよ。ところどころ、ひどすぎてまるでお笑いコントじゃないかみたいな展開があって、笑っちゃいそうに思えるけど、これが現実であったと思うとぜんぜん笑えない。
笑えないどころか寒気がするというか。まあ、どうなんだろ。実話をもとにしていると思って見ているからそう思うだけなのかしれない。
映画としての完成度はあんまりだと思ったですね。どうしても俳優たちの芝居が直線的すぎると感じてのれなかった。こういうキャラですよっていうのを短い時間でわからせるための演技をやってる感じがして、人間味をあまり感じなかったところが残念だったですね。