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『ワンダーウーマン 1984(原題:Wonder Woman 1984)』【映画のあらすじとネタバレ感想】


やりたいことはわかるし、テーマはよかったけど描き方がまずかったって感じっすかね。やりたいのは、1980年代という時代の反省だろう。今日より明日、願えばなんでも叶う、科学のちからで明るい未来、成功のチャンスは平等にあるアメリカンドリームの時代80'S。

上り調子で明るい希望に満ちていた時代だと一見おもえる80年代だけどそれは偽りで真実の姿はこうじゃないかみたいなのをやりたかったんじゃないっすかね。それをなんでも願いをかなえてしまう謎の石で願いをかなえた人たちがどうなるかっていうので見せていくというのは良い設定です。

テーマと設定はいい。描き方が失敗ですよねえ。まず長い。長過ぎる。上映時間151分。2時間半超え。これはアクションシーンがうまく展開のなかに埋め込まれてなくて、アクションするシーン、ドラマのシーンと分かれてしまっているからだと思います。

ドラマの中にアクションシーンをうまく入れ込むことができていれば2時間で済みそう。いやーでもこれ無理かなあ。主役が3人いるみたいな感じだから、3時間ぐらいになってもおかしくない。ワンダーウーマンのガル・ガドット、悪役のペドロ・パスカル、地味女のクリステン・ウィグ、この3人が主役のように描かれる。

ペドロ・パスカルとクリステン・ウィグをしっかり描きすぎだった。まあ、この二人を描くことで80年代の暗い部分を描きたいというのがあるので仕方ないけどなあ。

ペドロ・パスカルは成功中毒。貧乏な移民かなんかの出自なんだけど、成功して金持ちになってすべてを手に入れるぞと油田採掘会社をやって投資をつのってる。見かけはお金持ちそうで、成功者みたいだけど、実情はまったくだめで詐欺師同然です。

80年代の誰でもお金持ちになれる、誰でも有名に、誰でも成功者に、望めば叶うという空気に毒されて大切な子供よりも成功するということを追い求めてどんな悪いことでもするわけ。成功、成功、成功、成功しなければ幸せになれないという強迫観念。

クリステン・ウィグは地味女。人から声もかけられず、まったく相手にもされない。ガル・ガドットが歩くだけで男たちに声かけられまくるのとは対照的。わたしもガル・ガドットみたいに美しくて強ければ人生バラ色なのにと思って、パワーがほしいと願う。

自分なりの幸せとか、人とは違う個性とかは大事じゃなくて、強くて美しくかっこよくあることがすべてで、それ以外は負け犬人生だという思い込み。

80年代ってきらきらして輝いていて希望があったような時代に思えるけど、実は凝り固まった価値観に支配された不幸な時代でもあったのではないか。イケてることが最重要でイケてないやつは全否定みたいな残酷な時代。

冒頭のSASUKEシーンで子供時代のガル・ガドットが先輩から、嘘はダメ、真実を見る勇気があることが大切よみたいなこと言われてたけど、それがすべてなんだろ。80年代、そんなによかったか?80年代そんなに明るい時代だったか?

欲望のままにやりすぎてたら、世界滅亡する可能性があったんじゃないか?っていうね。そういう反省を促す内容じゃないすかね。けっこう真面目な映画だと思ったなあ。

そういう感じでテーマはよかったんだけど、どうにも描き方がうまくない。時間配分がうまくないっていうかなあ。アクションもあんまりだったかな。

黄金聖衣をまとうガル・ガドットもあまりかっこいいシーンではなかったし。敵が豹人間なんだもの。クリステン・ウィグがなぜヒョウミュータントになってしまうのかよくわからないし。

ガル・ガドットが死んだ恋人にもう一度会いたいと願ってそれが叶うんだけど、クリス・パインは他人の男の体に精神が憑依するという形で蘇ります。なんでゴーストみたいなよみがえらせ方したんだろ。普通に生き返るとかじゃダメなのか。

乗り移られたなんも関係ない一般人がかわいそう。

うーん、イマイチだったですかねえ。退屈はしなかったです。80’Sファッションをガル・ガドットがなんの違和感もなく着こなしてたのがすげえなと。

最後のおまけシーンに昔のテレビシリーズでワンダーウーマンを演じていたリンダ・カーターが出てきたりなんかして、懐かしさもあったなあ。


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