現実の俳優の死をフィクションの物語にも反映させるというやり方。これがうまくいっているとはあまり思えなかったです。見てて、そろそろ2時間ぐらいたったのかなと思って時計をみたら40分しかたってなかった。え~?みたいな。これまだあと2時間ぐらい続くのか……って絶望。
つまらなくて時間がたつのが異常に遅い。とにかくつまらない。主役不在なのがそのひとつの要因かもしれません。妹の科学者が後を継ぐということになるんだけど、前半、中盤、ずーっとビブラニウムをめぐる揉め事の描写が続いて、ドタバタする。
妹をメインにどっかりすえて物語を展開していくという形になっていません。最後にチャドウィック・ボーズマンの子供が実はいるっていうシーンがあって興ざめ。主役が死んで不在で、後継者も妹ではなくて実は息子がいるという設定はうまくない。
ヒーロー映画なのにヒーロー不在で話がすすんでいくうえに、後継者に見えた妹もそうじゃなかったというおかしなことになってしまってる。
ビブラニウムとかいうワカンダをハイパー科学すごい国家にしている謎の鉱石をめぐる争いもなんかよくわからない。ビブラニウム発見装置をアメリカのちびっ子天才科学者が作って海底で探してたら、そこに海底人間たちがいてそいつらがワカンダに攻めてきて装置を作った科学者を連れてこいとかなんとか言って……、なんなん?
海底人間は何したいのかよくわからない。やたらカッコつけて何度も登場するんだけど、アバターみたいな青いデザインでカッコ悪いし、なぜかリーダーは青くなくて、足首に小さな羽がついてて、そいつをパタパタして空を自由自在に飛び回る。
めちゃくちゃカッコ悪い。敵はカッコ悪い、話は揉めてるのはわかるけど、なぜなのかはよくわからない。前半、中盤、ずーっとつまらない時間が過ぎていく。最後になって最終決戦が始まるんだけど、アイアンマンスーツみたいなのが出てきたなぐらいしか印象に残らない大バトル。
妹がブラックパンサーになるんだけど、全然気持ちが上がらない。うお~きたーっていう気持ちに全然なりません。彼女が主役としてお話が作られてないから。
足首の羽パタパタマッチョマンが飛び回って戦闘機を破壊したりする映像は、昔のスパイダーマンのCGみたいでいまいちクオリティが良くなかったように感じた。実写とCGでの体の動きの違いがありすぎ。予算あんまりなかったのかな?気になったのが夜のシーンの映像の暗さ。
夜のシーンや海底のシーンの暗さがほんとに暗くて何も見えない。これは暗いシーンを暗く撮るというこだわりなのか、明るい昼間のシーンにするとCGにお金かかるから、夜にしてごまかしてるのか。
予算配分としてラストの大人数での乱闘バトルは真っ昼間でお金かかるから、ほかは夜にして節約したのかな。家のPCモニターの輝度設定がおかしくて見えないのかな。
役者たちはよかったですよ。みんな役割をそれぞれうまく演じてた。荒唐無稽な話とキャラクターに現実味を役者のちからでもたせる感じ。でも、そのうまさと頑張りがまったく面白さにつながらないのがかわいそう。
これは主役俳優の死をなんとか作品に盛り込もうとして、創作を自由にできなかった監督や脚本家やプロデューサーとか制作陣たちの失敗だろうな。現実の俳優の状況をフィクションの物語に反映させるやり方はよくあるけど、この作品はうまくいってない。
チャドウィック・ボーズマン不在がどっかりと話の中心にいるのに、チャドウィック・ボーズマンの姿をまったく見せないという手法も、これもどうなんだろ。CGや過去映像を使わないということで本人リスペクトだと称賛する人もいるだろうけど、どうなんかなあ。
別の俳優を主役にして新しいブラックパンサーをやったほうが、よかったんじゃないの?チャドウィック・ボーズマンのブラックパンサーに並ぶようなものを新しく作ろうという意気込みが感じられる作品。それのほうがチャドウィック・ボーズマン追悼、リスペクトになったと想う。