静かに確実に迫ってくる終わり。これは恐怖映画か?時代は80年代ですかね。台湾の台北に住む若い男女が主役。なんか、こう、うまくいかないんです。
なんかうまくいきそうにないから、アメリカで再出発しようかなんて話もしてるんだけど、なんか煮えきらなくて、ふんぎりがつかない。
希望とかさ、明るい未来とかさ、そういうのがまったく見えないの。若いのに。ものすごく疲れてるように見えた。老人か?みたいな。
覇気がないというかなあ。悩み、迷い、どうしようもなく疲れ果てたみたいな。
80年代中頃で、台湾ものどかだった町並みがビル街に変わったりしてて、時代が大きく動き始めてるって感じなんすよ。
時代が大きく動く間にいる世代なんだな、主人公たちは。
主人公たちが子供のころは、のどかな時代。それが大人になったら、そういうのが終わりつつあって、新しい価値観を自分たちで見つけないといけなくなってる。
親の世代は、昔ながらの男尊女卑で父親は偉くて母親はお手伝いみたいな生き方してきてる。それを見て育った子供たち。
今や時代がかわって、いばってるだけの父親は頼りにならない。家政婦のように夫に従うことしかできない母親も頼りにならない。
主人公の女のほうは、新しい生き方を新天地でやるのもいいじゃないって感じなんだけど、男の方はそういう感じではないです。
古き良き昔の時代をまだ引きずってる。
少年野球のことがたびたび出てくるんだけど、主人公は少年野球やってたらしいんです。楽しかった、良かった時代の象徴として、少年野球の思い出がある。
かつて一緒に野球やってた友達は、今じゃろくな仕事もできず、ギャンブル狂いの嫁がいて、まだ小さい子供もいてどうしようもない生活。
うまく時代の変化に乗れない人間は沈んでいくしかないんだぞみたいな。
過去にとらわれてしまった人間はどこにも行けない。
古き良き時代の思い出を捨てれない男が最後どうなるか。
古い時代を捨て、新しい時代に適応しようという気持ちがある女が最後どうなるか。
男は刺されて死んじゃう。
女は不動産デベロッパー時代の上司がコンピューター会社始めるから手伝ってくれと言われて新しい生活へ。
いやー、暗い気持ちになっちゃう映画だなあ。
映像はいいです。なんかすんごい風情があります。
特別な場所の映像ではなく、ただの町並や部屋だったり普通の場所の映像なんだけど、みょうに雰囲気がある。
ただのネオンの看板の映像なのに、妙にいいですね。なんでだろ、不思議だね。