そういう話です。なのでチワワちゃんを殺したのが誰かとか、事件に意外な展開がとか、そういうのは一切ありません。殺人事件を捜査する犯罪サスペンスだと勘違いして見てしまうと、おいおい犯人誰だよ、わからないままで終わりか~、なんだこれってなっちゃう。
青春話として楽しんだらこういうもんかなみたいな感じです。あの終わらないように思えた若い夜も過ぎ去ってしまったなあみたいな。
あの日あの時あの場所で、なにか濃密な時間を過ごしたかに思えた仲間たちも、過ぎ去ってしまえば仲間でもなんでもなく、ただの通り過ぎていく行きずりの人々でしかない。そういう話ですかね。
青春のたそがれ映画としては良く出来てる。でも映画の作りとして、ちょっと好き嫌いでちゃうかもしれないですね。門脇麦がボソボソしゃべってるシーンから、EDMが爆音でかかって、パリピがウェーイ!してる回想シーンになる。
また門脇麦がボソボソしゃべるシーンになる。またパリピウェーイで爆音の回想シーンになるっていう構成。
それがちょっときつかったです。画面がガチャガチャ切り替わって、EDMがノリノリでかかって、なかなかかっこいい映像だったけど、どうも見てられない感じ。
若いときの夜遊びで、なんかみんなで危ないことしてスリルを楽しんだ思い出を見せるシーンなので、ウェーイな雰囲気がよく出てるからいいんだけど、ウェーイなだけなのでちょときつかったなあ。
門脇麦がライターの栗山千明にいろいろと語るんだけど、この栗山千明も何を知りたくて取材してるのかぼんやりしててよくわからない。門脇麦もなにが知りたくてチワワちゃんのことを振り返っているのかよくわからない。
昔、バカ騒ぎしてた仲間の一人が死んだ。それで犯人探しするわけでもなく、悲しいわけでもなく、とくに親しいわけでもなく。なんか白けてるまま、過去を振り返り、振り返ったところで白けたままですみたいな。
これがしらけ世代っていうやつなのか。
まあでもそういうもんですよね、生きていくって。なにかのめぐり合わせでその場、その時間に居合わせただけの人間が騒いでみたり、恋愛してみたり、喧嘩してみたり、泣いたり笑ったり嫉妬したり絶望したり。
だけど過ぎ去ってしまえば、それが何?So What?っていうね。この映画を見て、中身空っぽでなんにもないじゃないか!って怒るのは筋違い。何もないっていうのを描いてる話だから。