舞台が大阪の西成でしたっけ?名簿屋としてそのへんの裏仕事を取り仕切る生瀬勝久。その下で働く安藤サクラ。オレオレ詐欺など様々なシノギをしていく様子を見せながら、安藤サクラの訳ありな過去もじょじょに描写していく。
東京から逃げてきてるらしいっていうのがわかっていって、なんかややこしいことになってんだなあってのがわかる。子供のころにもいろいろあるのがわかってくる。安藤サクラはできるやつで、ナイフの腕前もなかなか。弟の山田涼介がお調子者でなにかと問題起こす。
その尻ぬぐいで安藤サクラは絶体絶命の状況に追い込まれていく。迫る大阪府警、裏社会のスポンサー、東京のいかれたサディスト元カレ、複数の勢力から追い詰められて、はたしてのりきれるのかどうかみたいな。
クライムサスペンスとして話の展開にスピード感があるので飽きることなく見れました。浪花節的な部分をくどくしなかったのがよいところですかね。キャラクターのバックボーンの説明をながながとやるとスピード感がなくなっちゃうから。
これを最底辺から生き残って這い上がる姉と弟の話としてヒューマンドラマとして作るんなら、過去になにがあったのかの描写がメインになるけど、犯罪サスペンスエンタメよりに作ってるから、これでよかったんじゃないすかね。
過去のことはセリフやイメージショット的な短い映像で見せる。
現在の安藤サクラが生き延びれるのかどうか。そこだけを見てればいい。いやー、最後の脱出方法はなるほどですねって感じだった。ああいう人いるんだよなあ。その町の名物人間。自分が子供のころに住んでた町にも、変な大人がいっぱいいたなって思い出した。
変な人のその人だけにしかわからないルーティーンがあって、みんなが知ってる。だけど、なぜそうしてるのか、なぜそこにいるのか、理由はみんな知らないみたいな。そういう変なおじさんやおばさんが町にいたなと。
あの月曜日の巫女さん町の有名人だけど、なんで走っているのかは誰も知らないっていうのは、リアリティあったなあ。
役者たちはみんなよかったんじゃないすかね。なんかちょっとマンガっぽすぎるというか、キャラ濃い目に作りすぎのような気がしたけどね。賭場をしきる姉さんと変なしゃべり方の子分とかさ。
衣装とかもファッショナブルすぎるんとちゃう?って思ったけど、それでもなんか見れたのは舞台が大阪だからだろうか。
ファッショナブルにやっても、かっこつけてみても、下品さでコーティングしたら、生活感がプラスされて生き生きして見える。こってこての派手ファッションが大阪だと、あんまり違和感に感じない不思議。大阪のパートはそんな感じで泥臭い感じがしたのでよかった。
天童よしみが意外といい演技してたなあ。見た目だけの飛び道具的キャスティングかと思いきや、役をうまく演じててよかったですね。宇崎竜童の入れ墨はいった髪の毛モジャモジャで貧者の聖者みたいな役もはまってた。
まあ、大阪パートは変だけどそんな感じでおもしろかったけど、東京パートはちょっと気取ったポエムはいった感じでどうかと思ったなあ。安藤サクラを追ってくる元カレのサディストが狂ってるやつなんだけど、自分では行動しなくて、手下の秘書に全部やらせるので、なんだか影が薄くなって残念だったなあ。
あいつが大阪に自分で乗り込んできたところを、山田涼介が撃つみたいな感じのほうが危機感あって盛り上がったかも。山田涼介が最後に警察官と銃撃戦になってたけど、あれもなんかどうかとおもった。
警官が大挙して銃をぶっぱなしまくるって、ドラマや漫画のなかの警察官で、実際はあんなにアメリカのポリスみたいにばんばん銃を撃つことないんじゃないかと思っちゃった。相手が銃をもってて、撃ってきても、撃ち返さないのが日本の警察官じゃないのかな。
そのへんのリアルっぽい感じの線引きがはっきりしてなかったような。詐欺描写はすごく現実感あるリアリティなのに、銃に関する描写はドラマや漫画のリアリティで映画内でリアルのレベルが統一されてなくて、ちぐはぐに感じた。
しっかし、支配欲が強い男はなぜ女にしゃぶらせるのが好きなのだろうかと笑っちゃう。元カレの淵上泰史は500億ドルかなんかのIT企業のCEOらしいけど、秘書に手を使わずにしゃぶれ!って命令してしゃぶらせてた。
生瀬勝久は逃げてきた安藤サクラに、俺の靴をなめてきれいにしてくれたら、ここにおいたってもええでって言ってふんぞりかえる。権力をもった男はしゃぶらせるんだなって、現実でもそういう話聞くから、なんかあるんだろうな。
他人にひざまずかせて奉仕させることで、権力のパワーを確認して快感を得るみたいな。
まあ、どうだろ、ところどころマンガすぎるなと思うところも多くてどうかなって感じはしたけども、最後まで楽しく見れました。楽しい話じゃないけどね。男たちに踏んづけられて殴られて搾取されてきた女が、話のわかる男たちの手助けで泥沼から浮上するという話なので。
安藤サクラはあのあと無事に国外に飛びたてたのだろうか。
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