ブライアン・ウィルソンを演じるのは、若いときはポール・ダノ。年取ってからをジョン・キューザックが演じるというWキャスト。これがあまりよくなかった。ポール・ダノがどっちも演じればよかったんじゃないか?
ポール・ダノパートは、ブライアン・ウィルソンがサーフィンミュージックで大ヒットを飛ばしたが、父親との関係が悪くなり、音を追求するあまり他のメンバーと溝ができ、ドラッグにはまって精神に異常をきたしていくのを描く。
ジョン・キューザックのパートは悪徳医師が後見人になってて薬漬けにされて自由もなくなってるブライアン・ウィルソンを描く。車のセールスマンのエリザベス・バンクスといい感じになって彼女の働きで悪徳医師を追放できて、平穏な自分の人生を取り戻すってな感じ。
これ事実に忠実に作ってるのかな。だとしたらなんだか悲しい。ザ・ビーチ・ボーイズとして大ヒットを飛ばして栄光を手に入れたと、はたからみれば見えるんだけど、父親は暴力男で子供のことを金蔓としか思ってないし、メンバーともすれ違う。
そんなにテイク重ねても意味ねえよ。この歌詞はなんだ、宗教か?みたいな。ブライアン・ウィルソンは音作りの深海に沈んでいく。メンバーもこっちこいよっていうんだけど、メンバーはそんな深いとこ行けないよって。
プールのシーンで暗示するようにその溝を見せてましたね。ブライアンだけひとりでいて、こっちこいよ~っていうけど、メンバーはそこは深くて足がつかないから無理だって。
音作りにのめりこみ、孤独を深めていく。そして薬漬けにされて監視されて金をたかられる人生。悲しすぎる。ザ・ビーチ・ボーイズの降り注ぐ太陽光、ごきげんな海、いかした車にかわいい女の子みたいな明るくて軽快な曲たちとは真逆のダークな世界がブライアン・ウィルソンには広がっていたとは。
レコーディング風景のシーンもいっぱいあって、ポール・ダノが歌ってるみたいだったけど、けっこううまかったです。
まあでもなんか間延びしたというか、ポール・ダノやジョン・キューザックがココロココニアラズみたいな表情してカメラを見るシーンが長くてけっこうきつかったかな。