なんかわけがわからない話になってました。アテナが諸悪の根源っていう話になってて、どういうこったと。グラード財団が嫁と夫に分裂してて嫁の腕が赤ん坊のアテナのコスモでふっとんで、嫁はアテナのコスモが世界破滅させると命を狙うから、夫がアテナを匿ってるみたいな。
わけのわからない話になってて、アテナを守る聖闘士っていう根本的な部分がなんかおかしくなっちゃってる。
まあ、原作のマンガもわけのわからん展開の連続ではあるんだけどね。確かにあのマンガの話をどうやって2時間の映画にすればいいのか皆目見当がつかないのではあるのだけど、これはないなっていう翻案でした。
話以外でも見た目も残念です。新田真剣佑演じる星矢は、ワイルド感がゼロでいけてない。育ちの良いおぼっちゃんにしか見えなかった。幼少時に姉と生き別れてそれからスラムの地下闘技場で戦ってるような男なのに、全然そんなふうには見えない。
金持ちの家に生まれて慶應義塾に通ってる慶応ボーイみたいに見えた。
新田真剣佑って実際すごい真面目で育ちもええんでしょうねっていうのがにじみ出てる。本人がどんな人かはしらんけど。
役になりきれてないなあ。新田真剣佑の育ちの良さそうなオーラを活かして、ええとこのお坊ちゃん星矢という設定にしてしまったほうがよかったんじゃないか。
飯をガツガツがっついて食うシーンとかあるんだけど、全然だめなんすよ。お上品すぎて、なんだこりゃみたいな。演技が弱い。
めっちゃ筋トレしてからだ鍛えました!って感じの筋肉に苦笑いです。腕と胸筋をトレーニングマシンで頑張ってパンプアップしました!って、そうじゃないんだよなあ。
野良犬のような泥臭い星矢なんだから、ジム通いして筋トレして作った筋肉は違うなあ。
そもそも聖闘士星矢って筋肉とかじゃないんだよなあ。筋肉じゃなくて、小宇宙だよ。コスモを燃やして音速をこえて岩をも砕くのが聖闘士なので、筋肉は鍛えなくていいのだ。
歌舞伎に近い。大仰なセリフを吐き、見得を切って決めポーズで得意技を繰り出す。そういうかっこつけがおもしろい世界観。それが見たいわけで、それを実写で見せてくれよって思うんすよ。
うーん、全体的な身のこなしも、演技になってない感じします。走ってるシーンとかさ、ランニングしてるように見えちゃう。追手がきて急いで逃げるシーンなのに、ジョギングしてるみたいにみえるし。
撮り方がいまいちなのかなあ。これじゃないんだよなあ、見たいのはってずっと感じながら見てた。
マリンさんが出てきて修行する展開になって、お、マリンさん出てくるんだあって楽しみにしてるとマリンさんのマスクが微妙で苦笑い。あのマスクはもうちょっとかっこよいマスクにできなかったのか。
それになんかマリンさんの体型がずんぐりむっくりで身長の低い男の人に見えるし。スタントマンとかが演じてるのかな?
だから聖闘士は筋肉とかじゃないんだってば。ハッタリと外連味とロマン。それが聖闘士星矢。中国拳法みたいな映画おなじみの格闘アクションじゃなくて、外連味でしょ大事なのは。
理屈よりギリシャ神話へのロマンだよ。そこんとこわかってない。
マンガとかアニメとかの実写化はそのままではなくて、大幅に改変して当然だという改変OK派ではあるんだけど、原作の「らしさ」の部分はちゃんと残した上で実写に落とし込んでほしい。
でも大抵が原作の見た目だけ似せるタイプの実写化か、もしくは原作のらしさを削ってしまった実写化になっちゃう。
ドラゴンボールもひどかったし。ドラゴンボールといえばかめはめ波や舞空術でのバトルじゃないすか。そういうのを見たいのに全然やってくれなかった。
この聖闘士星矢も見たいものを見せてくれない映画だったです。
日本のマンガやアニメを海外で実写化すると、これじゃないっていう出来になっちゃうのは、もともとのマンガやアニメにあるロマンや非現実感を、妙なリアリティを持ち込んで打ち消してしまう作り方をするからに思える。
すげえパンチを繰り出すんだったら、すげえ筋肉してないとな!っていう発想で作っちゃうから、もともとのおもしろさがまったくなくなっちゃうんじゃないか。