三池崇史監督ってメジャーな大作を作るようになってからはあんまりって感じだけど、昔の初期のころの作品はおもしろいですね。勢いがある。躍動感っていうかなあ。映像作りに勢いがあるっていうかなあ。
登場人物たちの心の変化、感情の高ぶりを映像でどう見せるか、そこの工夫がすごくできてて、絵に力がある。なんかいいんですよねえ。出てくる人全員どうしようもないやばい人たちなんだけど、映像の疾走感と躍動感で気持ちよく見れてしまう。
北村一輝は田舎町の不良。中国人ハーフで盗みや喧嘩やなんやら問題行動ばかりで正規のパスポートもとれない。日本から脱出したいなあとぼんやり思ってて、新宿歌舞伎町に行ったらなんかうまい金儲けできるだろと田口トモロヲと弟と一緒に上京。
中国人売春婦に到着そうそうだまされたり、トルエン販売してる哀川翔のところで働いたりしながら、偽造パスポートを作る金を用立てしようとするのだが……みたいな。犯罪者が夢見てもがいて最後に大博打をうって仲間がひとりひとりやられていってみたいな。
偽造パスポートを手に入れてブラジルに行くぞって、なんかそういう話、渡瀬恒彦の映画でも見たような気がする。日本からブラジルへっていうのが、犯罪者の夢の象徴として出てくるのはなんかあるんですかねえ。ブラジルは自由だみたいなイメージなのかな?
敵役として竹中直人が出てきます。中国マフィア。竹中直人が集金してる金を北村一輝たちがスーパーカブにのって店に突撃して奪う。その金で密航船にのって日本脱出という計画だったんすけど、トルエンの哀川翔が待ち伏せしてて田口トモロヲ被弾で死亡。
弟はトラックにひかれて死亡。最後に残った中国人売春婦と北村一輝にも竹中直人の手がまわってて密航船の船着き場で待ち伏せされてます。ザコはザコ。ザコとしてザコらしい死をという竹中直人に一発おみまいするところなんか熱いですね。
最後はイメージ映像的な感じなのもよかったなあ。海に飛び込んだ二人がどうなったのか。血まみれでボートをこいで大海を進んでいくのを空撮でとった映像で終わりです。二人は生き残って夢を諦めず格闘していると見るか、二人は死んで夢の中で夢へと進んでいくと見るのか。
ひりつくような暴力と性描写が連続する前半後半を最後はメルヘンなムードでしめるという緩急のきいた作り。なかなかいいもんです。
竹中直人が子守唄としてアリのおとぎ話を女にさせるとか、意味不明だったけどそれも変な味があってよかったし。
あと飯ですね。登場人物たちが飯を食うシーンがたくさんある。なんかラーメンとか油麺とかチャーハンとか中華料理を犬のようにかっこんで食べるんすよ。それ見てるとこっちも食べたくなってきたね。料理は全然おいしそうな料理じゃないんだけど。