東映だかどっかの社長がむかし、これからは不良の時代だ、不良性がうける時代だとかいって仁義なき戦いを作って新しいヤクザ映画を量産して東映ヤクザものが一大ジャンルとしてヒットしたなんて話ありませんでしたっけ?
不良っぽいものがうけるっていうのは、いつの時代でもそうなんだろうなあ。なんかアウトローに憧れるというか、道からはずれた人をちょっと魅力的に感じる感覚はありますよね。
ボンタン短ランバイクな不良なんて絶滅したと言われている現代においても、マンガや映画では普通に不良ものが人気になってたりするもんね。昔からこのジャンルは強いですね。なんでだろ。時代が変わってもうける要素があるんだろうなあ。
この新宿スワンもそういう不良ものの系譜でした。最近の映画かと思ってたけど、けっこう古いですね、2015年の映画だからけっこう昔でびっくりしたな。これがもう10年近く前なのかあ。時間がたつのは早いね。
話は無一文で新宿歌舞伎町にやってきた綾野剛がスカウトの伊勢谷友介に拾われてスカウトとして働いて成り上がっていくみたいな話。なんだけどスカウトとかはあんまりどうでもいい感じです。スカウト物語ではないです。
スカウトっていうのは、ただの設定でしかない。描かれるのはスカウト会社どうしの抗争。ヤクザ映画で組が抗争してるのと同じです。なんかもっとスカウトあるあるみたいな、スカウトの裏側みたいなのが見れるのかと思ったらそんなこと全然なくて、普通にヤクザの抗争ものだった。
スカウトって今もある仕事なんすかね。路上で女の子に声かけて水商売や風俗店に紹介する仕事らしいです。紹介した女の子の給料からなんぼかスカウトに入り続けるシステム。っていうかスカウトって合法な仕事なんだっけ?違法行為だったかな。
まあ、よくわかんないっすけど、バーストっていう組織で社長とか幹部とかいるから法人なのかなあ。会長とかいう偉そうな偉い人に上納金を収めて仕事させてもらってるみたいだから、裏の仕事なのかもしれない。
スカウトした女の子たちのドラマはなんぼかあります。リスカいっぱいある女の子が自殺したりとか、シャブ漬けになって破滅寸前の沢尻エリカとかね。綾野剛はスカウトした女の子に幸せになってほしいと思ってるけど、そうもいかないつらいこともあるっていうドラマ。
それもすべてはスカウト会社同士の抗争の中のワンポイントエピソードとして挿入されるだけなのです。クスリの売買で資金を貯め込んでる山田孝之が天下とったるとむちゃくちゃやってくる。それを伊勢谷友介たちがどううまくまとめるかみたいなのが本筋。
綾野剛は利用される。なんかそういう熱い若者がいいように使われる流れもそうだし、クスリがからんでくるのもそうだし、裏で暗躍するやつがいたりするのもだし、こりゃヤクザ映画そのまんまやないかみたいな。
仁義なき戦いか?みたいな。これスカウトっていう設定いる?みたいな。普通にヤクザの設定でいいんじゃないかみたいな。
もう何度も見飽きたヤクザもののいつもの展開を見せられてちょっとげんなりなんですが、けっこう面白く見れたのは乱闘シーンが良くできてたからですね。迫力あるんだ。スピード感もあるし活きが良いアクション。
綾野剛のハイテンションな顔芸。派手なアクション。そういう躍動感のあるシーンが多かったからよかった。あとさ、クスリが重要なアイテムで出てくるけど、実際に薬物で逮捕された人が何人か出演してて、変なリアリティがありました。そのリアリティいらないんだけどみたいな。