死刑執行が行われて死ななかった場合どうなるんでしたっけ?1度刑を執行したんだから、もう一度死刑執行するわけにはいかないんだったかな?そのへんどうなのかはよくわからないけど、笑福亭鶴瓶は釈放するわけにも、もう一度執行するわけにもいかず、精神科の病院に入れられて宙ぶらりん。
その病院にはいろんな患者がいる。綾野剛と小松菜奈が笑福亭鶴瓶と仲良くなってドラマが展開する。この3人がメインキャストかな。綾野剛、小松菜奈が入院する理由も描かれるんだけどきついですね。暗い気持ちになっちゃう。
日常に居場所がない。病院がシェルター。だけどそれで解決はまったくしないわけで。なんかほんと暗い気持ちにしかならない。
これ病院の話だけど、実際の自分たちにも当てはまることだからなあ。入院してないだけで自分も同じようなもんだから。社会に居場所があるのか、守ってくれる家族や友人がいるのか、ないわけで、夢も希望もなく宙ぶらりん。
こういう病院を舞台に患者たちが人生に迷ってもがくドラマを見るとき、若いときは自分とは関係のない別世界の話だなと思って、娯楽として楽しめたもんだけど、年取ってから見るとシンパシーを感じすぎてほんと暗い気持ちになっちゃうね。
これ、自分のことじゃんみたいな。
それで物語はどんどん暗い方向へ行きます。いやあ、さあ、笑福亭鶴瓶、綾野剛、小松菜奈、坂東龍汰が外出してみんなで買い出しして、楽しくお弁当を食べるシーンも、これは後で悲惨なことがおきる前フリにしか見えなくて楽しい気分にならなかったね。
うわー、これフラグたった~みたいな。
案の定、入院患者の中の狂犬に小松菜奈が乱暴されてしまう。そしてそれを知った綾野剛が笑福亭鶴瓶に相談。笑福亭鶴瓶は狂犬を刺殺してしまう。そして笑福亭鶴瓶はまた逮捕です。
その後裁判になって小松菜奈が証人として事情を説明。生きる気力をなくしていた笑福亭鶴瓶はまた生きてみようと、車椅子から立ち上がるのだった。というエンディングです。
うーん、希望がある終わり方といっていいのかな。でも暗い気持ちのままで重い終わりだと思っちゃったなあ。
メインキャスト3人の演技や雰囲気がいいのでおもしろく見れた。だけど、細かいところでよくわからないなと思うところは多かったですね。
小松菜奈が入所してすぐに飛び降り自殺をはかるんだけど、落ち方が完全に死んだ!っていう落ち方してたんだけど、軽症で済んでたのがよくわからなかった。
小松菜奈といえば、狂犬に乱暴されてそのまま病院を出て放浪して行方不明みたいになるんだけど、笑福亭鶴瓶の裁判のときにはちゃんとしてる。看護師見習いの勉強してるとかで、ちゃんと生活してるようだった。
だけど、彼女の親は毒親で頼れないはずだし、友人とかいない感じだったので、放浪からどうやって生活を立て直したのか謎でした。
綾野剛は退院して年老いた母親を面倒みると決意して着実に日常に戻っていってるって感じだったので違和感はなかった。
綾野剛の妹夫婦だっけ?面会に来て母親を施設にいれて実家をつぶしてビルを建てようと言ってたけど、実家の立地ってビルを建てるような立地じゃなかったけど、あんなところにビルってなんなんだ?って不思議に思った。
あと病院の運営の方法もけっこう適当に感じてしまった。けっこうゆるいですね。男女一緒に過ごしてるし、自由にあちこちウロウロしてるし。外出は届けをすればけっこう簡単にできるみたいだし閉鎖病棟じゃなくて自由病棟じゃないかと。
症状が軽い人たちの病院はこんな感じなのかもしれないけど、あまりリアルな病院という感じはしませんでした。
でも、そういうリアルさがないことは別にマイナスにはなってなかったですね。精神科の病院が舞台で精神を病んでる人たちのドラマという設定で普遍的な誰にでも通じるドラマをやってる。
精神科というのは設定でしかないので実際と違うことは気にならない。閉鎖病棟というのは
比喩みたいなもんです。人は誰しも閉鎖病棟にいる患者みたいなものかもしれない。人生はそういう閉ざされた場所で、小さな生きる希望を見出すことが幸せなんじゃないかみたいな話。
リアルな病院ものとして見ちゃいけない。死刑執行に失敗するとかありえないとかツッこむのも的外れですね。そういうことがあったらというおとぎ話として鑑賞するのが吉かと。まあ、それが作為的すぎて覚めるという気持ちになるのはわかりますけどね。