敵が派遣社員で地下アイドルオタクで友達もいなくてぱっとしない30歳男。え~?今どきまだオタクを敵にしてどうこうする話を考えるのか?ってびっくりです。作り手の感覚の古さを感じてしまう。
キモオタみたいなのを社会から爪弾きにされてマジで危険なやつみたいに描く感覚。もうそれって古くないっすか?今の時代、パリピやSNSでキラキラ人生を演出しているリア充たちのほうが危険なやつらという気がするんだけど。
超能力というのも古臭いし、ノストラダムスやムーとかも、なんで今?っていうね。
なんか就職氷河期世代の話を盛り込んだものを作りたいというのはわかるんだけど、それを物語まで昇華できてない。ただ出してきただけにしか思えない。
古臭いのに懐古趣味を徹底的にやるというわけでもなく、なにか新しい切り口があるわけでもなく、ほんとただイマイチなだけで見所がなかったなあ。
宇宙から悪い光と善の光がふってきて、その悪いほうが派遣社員の男に入って、良いほうがしんのすけのほうにはいって、二人が超能力者になってバトルするっていう話です。
派遣社員の男はティッシュ配りの仕事してて、サラリーマンに馬鹿にされていじめられたりします。それで社会にルサンチマンを煮えたぎらせている。そこに超能力を得たから、どんなことするんだろうと思ったら、くだらないことしかしない。
幼稚園に立てこもったりするんだけど、なんでそんなことするんだよって。無理やりしんのすけとからませるためにそういう展開にしてるだけ。
悪の力が増幅されて怪獣になった派遣社員男。怪獣に飲まれたしんのすけ。そこでしんのすけは派遣社員男の子供の頃の思い出の中に入っていく。
派遣社員の男は両親が離婚したり、いじめられたりしてきて、人生に希望が持てない諦めの気持ちになってたらしいです。派遣社員男の子供の頃の思い出の中に、しんのすけが入って、いじめられてるときに助けに入ったり、一緒に戦って達成感を得たりという思い出改変をすることで、派遣社員の悪の力が消えて平和が戻るという展開です。
派遣社員くん、君が悪いわけじゃない。あのとき一緒に笑ったり泣いたり戦ったりしてくれる人がそばにいなかったのが不幸だったんだ。君のせいではないのだから、すべてに悲観的になる必要はないよっていうことが言いたいのかな?
ひろしが自分のためじゃなくて、誰か他人のためにがんばろうと考えれば、そう落ち込むこともないぜ、がんばれガンバレとか言ってました。
ひろしやみさえが家族のために頑張るキャラだからそういうのはわかるんだけど、なんかすっきりしないっすね。
手巻き寿司っていうのもさ、家族でわいわいやって食べる、家族団らんの象徴みたいに出してきてるのはわかるんだけど、全然話にとけこんでない。ただ出てきてるだけで手巻き寿司、関係ないやんとしか思わないし。
うーん、これはきつかったなあ。とにかく古臭いと思ってしまう。今、なんでこんな設定でこんなことやろうと思ったんだろう?っていう疑問しかわかない。
あと、絵なんすけど、これはどうなんだろう。3DCGで動くマンガのキャラ。もうちょっとデフォルメしてスタイルをいびつに作ってもよかったような気がしました。整いすぎてて面白みがなかった。
気になったのが鼻の処理の仕方かな。マンガでは鼻がかかれずに省略されたり、単なる点や適当な短い線で書かれて鼻の穴がない場合が多いですよね。それを3Dの奥行きのある形でどう表現するのかは難しい。
鼻だからとんがってるわけじゃないですか。だから正確に鼻を飛び出させて陰影をはっきりつけるのが立体としては正しいけど、それをやるとなんか鼻だけやけにリアルというか、目立つなって感じになって違和感を感じてしまう。
今作でも、鼻になんか変な陰影がついてるキャラが何人かいました。鼻がもともと描かれないキャラは立体になってても違和感なかったけど、鼻があるキャラはなんか変だった。
なんか鼻が赤いんすよ。陰影なのかなんなのか、影のつもりなのか、鼻が赤く塗られてて、それが変で、なんでこのキャラ、鼻が赤いんだろうって違和感を感じて気になってしょうがなかった。
酔っ払って鼻が赤いのか、寒さが凍えてかじかんで鼻が赤いのかみたいに見えてしまった。あれかな、照れてる表現で鼻のところを赤くする表現がマンガであるけど、あれだったのかな?
まあ、そういう感じですかねえ。いやー、クレヨンしんちゃんの映画は最新のは無理して見なくてもいいかもしれないっすね。昔のオトナ帝国の逆襲とか戦国あっぱれとかを見返したほうがいいかも。