中村嘉葎雄は大学生時代に家庭教師をしていた加賀まりこの結婚にショックをうける。加賀まりこを愛していたため、子供の頃の加賀まりこを暴行した男が脅迫してきたことに困っていた加賀まりこの両親からの頼みで男と話をつけた中村嘉葎雄。
夜行列車から突き落として脅迫男殺した。すべては加賀まりこには内緒になってて、いつものように無邪気にじゃれてくる加賀まりこの顔をまともに見られない中村嘉葎雄。
加賀まりこの天真爛漫さ、中村嘉葎雄の動揺がグロテスクな過剰演技で表現される。愛する加賀まりこのために殺人をおかしてしまったが、加賀まりこは別の男と結婚してしまう。傷心の中村嘉葎雄のところに、見知らぬ小沢昭一が訪ねてくる。
小沢昭一は中村嘉葎雄の殺人を目撃していた。だまっておく引き換えに3,000万円を預かってくれと取引をもちかける。小沢昭一は横領役人。逮捕されて裁判になって服役して出所するまで5年。その間の安全な横領金の隠し場所として中村嘉葎雄を選んだ。
中村嘉葎雄は虚しい生活をおくるんだけど、小沢昭一の出所まであと1年というときに、そうだ、もう死のう、お金を使い切って死んでしまえばいいのだということで、預かった金を使ってやりたいことをすることにします。
何が欲しい?女だ!ってことで大金でつって酒場の女、野川由美子と契約。豪華なマンションで毎日、あちこち遊び回り食いたいものを食い飲みたい酒を飲む贅沢三昧。中村嘉葎雄はときどき加賀まりこの幻影を見たりします。
手に入れたい女、加賀まりこを手に入れられなかったことからいろんな女に手を出す。野川由美子はヤクザと関係ある女で、ヤクザが家にやってきて野川由美子が指をつめることになってお別れ。ヤクザ3人組がやってくるんだけど、いかにもチンピラですっていう演技を3人がやってるのが笑えちゃう。
江守徹、渡辺文雄とか顔の表情演技が濃くておもしろい。この映画、ほんと役者がオーバーな演技するんだよなあ。わざとかな?
二人目の女は八木昌子。ほとんど無理やりに同棲生活するんだけど、八木晶子には亭主の小松方正と子供がいて、小松方正がたびたび金の無心にやってくる。月100万円もらえるということで八木晶子は中村嘉葎雄のとこにいるんだけど、悲壮感バリバリ。
野川由美子がお金で割り切って、サバサバ楽しんでいたのとは真逆。Mな感じですね。八木晶子と小松方正の夫婦を見ていて、この夫婦は不幸でつながってる夫婦なんだと中村嘉葎雄は思う。小松方正は勤める会社が倒産、知り合いの借金の保証人になって金がない。
嫁はわけのわからない男に大金で囲われてっていう不幸のなかで、この夫婦は快楽を感じている。これはもう付き合ってられないとお別れ。
次は看護師の樋口年子。自立した強い女性だけど、男性をまだ知らない。彼女と旅行行って、彼女が病気になって看病して、帰ってきて形だけ結婚してとかいろいろあったけどお別れ。
次の女は街娼。ちょっと頭が不自由みたいで、性欲がすごい女。もう単純に肉体の快楽だけ追えばいいやって感じで中村嘉葎雄は女の体にはまる。お金も尽きるし、小沢昭一が出所してやってくるころだということで、小沢昭一の幻影を見たりする。
街娼のポン引きの男からちょっと頼みがあると変な話を聞く。ある下宿へ行ってそこの住人がいるか探してくれと。中村嘉葎雄の下宿なんすよ。なんでも、服役していたときに知り合った男がその下宿の人間に大金を預けているという話を死ぬ前にしたという。
死ぬ前?そうです小沢昭一は出所する前に刑務所で風邪引いて死んでしまっていたのです。中村嘉葎雄を脅す存在はすでにいなかった。
アハハハハと笑う中村嘉葎雄。あんたが探してる男はおれだよ。そしてお金はさっき渡したのでおしまいだあって。ポン引き激怒、街娼の女がピストルでポン引きを撃つ。
中村嘉葎雄ビビって帰宅。そこに加賀まりこがやってくる。裕福な化粧品会社の社長に嫁いだのだが、会社は倒産寸前。お金を貸してと泣きついてきます。好きで好きで手に入れたいと渇望した女が自分を頼ってきてる。
1年前なら3,000万円あった。今はもうない。すべてのタイミングがずれている。なにもせずじっとしていれば、お金は自分のもの、お金で加賀まりこを手に入れられたかもしれない。
どうしてお金がないのという加賀まりこにいきさつを告白する中村嘉葎雄。
呆然と歩く中村嘉葎雄のところに刑事の佐藤慶がやってきて殺人容疑で逮捕するという。誰が密告したんだと問う中村嘉葎雄に、おまえを10年前から知ってる人だという佐藤慶。自分を売ったのは、加賀まりこだと直感して絶望する中村嘉葎雄だったのさ。