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『おろち/楳図かずお』を読んだ【漫画】



怖い。人間の執念、嫉妬、復讐心、など泥臭い感情を見せつける漫画。楳図かずおのマンガは「漂流教室」とか名作ですよねえ。あんまり他のは読んだことないけど、奇妙で怖くて、風変わりなんだけど、なんかすごい普遍的で王道みたいな、すごい変わった漫画家だという印象です。

楳図かずおの漫画を読んだのはおとなになってからだなあ。リアルタイムじゃないし、子供のころはジャンプとか読んでたから、楳図かずおはマニアックだというイメージで読んでなかったし。でも読んでみるとほんとおもしろいもんです。

おろちは、おろちという超自然的存在の少女、まあ、少女なのかなんなのか、神か悪魔か宇宙人かはよくわからないんですけど、彼女が気になる人間に目をつけて、その人間のドラマを見届けるという形で展開します。

おろちは観察者であって、描くメインは観察される人間たちのドラマです。まあ、観察者といっても、おろちが余計なことをして、人間が悲惨なことになる場面も多いですけどね。

全4巻で9話収録。

「姉妹」資産家の美しい姉妹。彼女たちの血筋の女は十八歳になると醜くなる。18歳の誕生日がせまる中、母親から妹は秘密を打ち明けられる。妹はもらい子なので18歳になっても醜くならない。それを知った姉は妹を激しく憎み辛く当たるようになる。

そんな姉を献身的に世話する妹。誕生日がせまる姉はどうせ醜くなるのなら自分で手を下すと自らの顔を焼く。しかし、本当はもらい子なのは姉のほうで、妹は嘘をついていたのだ。

こわ!自分は醜くなるのに一方はそのままなんて耐えられないと狂気に走る心理。なんかこういう気持ちありますよね。ずるいって思ってしまうドス黒い気持ち。

「骨」貧困と虐待の中で育った女性が大人になって優しい夫に出会ってやっと掴んだ幸せ。夫が交通事故にあって重体になるが献身的な看病で回復。しかし山で転落して死亡。おろちは不憫に思い夫を生き返らせようと秘術を施す。

死体になった夫は蘇るのだが、山から夫を突き落として殺したのは妻だったのだ。不幸から幸福へかえてくれた夫をなぜ殺すのかというと、事故にあって死にかけた夫はまた自分を不幸へ突き落とす存在。またわたしを不幸にするのかという複雑な気持ちからそうした。

これも怖いっすね。不幸と幸福、愛情と憎しみ、まったく違うようで表裏一体。その境界線は曖昧だっていうね。

あと「秀才」「ふるさと」「カギ」「ステージ」「戦闘」「眼」「血」というのがあります。どれもドロドロした人間の感情がからむ物語で読み応えある。

なんか濃すぎて通し読みするのが難しいです。1話1話が重すぎて、どうなるのか展開が気になるけど気持ちが暗くなりすぎて長時間読んでいられない。

気持ちの強さ、恨みであったり生きることへの執着であったり、疑い、とかね、そういう強い気持ちが起こす事件の端末を描くから濃いんすよ。

「ステージ」は復讐の話なんすけど、そこまですんの?って呆れるというか怖いというかね。「秀才」は親子もの、「ふるさと」は望郷の念、「カギ」はオオカミ少年サスペンス、「戦闘」は戦時中の人肉食い、「眼」は「暗くなるまで待って」と社会派サスペンスの組み合わせか、「血」はよくできる姉と比べられて虐げられて育った妹の情念姉妹もの。

絵もシンプルで黒が強い絵だから重いし。気軽に読めるマンガじゃないけど、おもしろいから一度は読んでみるのもいいかも。


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