復讐ドラマ。ミステリー小説の映画化みたいな感じです。前半のことが後半になって実はこうだったと真相が明かされる。ギミックを楽しむタイプのミステリー・サスペンス。なのであんまりネタバレを知らずに見たほうがいいかな。
岩田剛典が主役です。ある事件の容疑者、カメラマンの斎藤工を取材するフリーライター。盲目のモデルの女性が斎藤工の撮影中の事故で焼け死ぬ事件があって斎藤工に事故ではなくわざと焼き殺してそこをカメラで撮ったのではという疑惑がかけられていた。
斎藤工は狂った感じの天才カメラマンの役。斎藤工の姉役の浅見れいなと二人、なんだか狂ってそうな危ない姉弟を演じてます。そんな危ない取材対象に近づいて深く真相を探ろうとするうちに岩田剛典は婚約者の山本美月とともに危険な目にあっていく……みたいな。
それが表向きのストーリー。前半はそういうのが描かれていきます。そして再びモデル焼死事件がおきて悲劇は繰り返されたという感じで中盤に一区切りつきます。そっから後半戦になって、実はこうだったという種明かしが始まります。
最初に焼死したモデルの元恋人が岩田剛典だった。斎藤工、浅見れいな、その協力者北村一輝たちに復讐するために岩田剛典は計画をたてて斎藤工たちに近づいたってわけ。すべてが復讐計画だったというのが明かされる。
どうなんかなあ。気になったのが岩田剛典の目つきが鋭すぎることですかねえ。殺し屋のような鋭い目つきで佇む岩田剛典。これはなにかあるなって思っちゃうでしょ。これは表面通りのことじゃなくて、裏があるんだなっていうのを醸し出しすぎる岩田剛典の目つきの鋭さ。
これさあ、前半と後半で演技を変えたほうがよかったよ。前半はニコニコ柔和な感じで、ただのフリーのジャーナリストが功成り名遂げようとしてるって感じにして、後半に目つき鋭い感じの演技にするとかメリハリつけたほうがよかったんじゃないすか。
全体としては、ほんとミステリ好き向けって感じしました。それもそのはず原作が中村文則 のミステリー小説なんだから、そうなりますねみたいな。
こういうキャラクターがいて、こういうふうに動いて、ああいうことがあって、それが後々こうだったとわかるみたいな。そういう話運びのための描写って感じの映像作りなので、どうも機械的に役割を演じてるキャラが動いているというふうに見えてしまう。
ミステリ好きなら、話の展開が主役というのに慣れてるから気にならないだろう。
気になるといえば、岩田剛典の復讐の動機となる元彼女との関係。盲目の彼女とは最初うまくいってて楽しい恋人同士って感じだったのが、彼女が事故でちょっとした怪我をしたことから岩田剛典は心配になり仕事そっちのけで1日中彼女を少し離れたところから付け回すようになってしまう。
彼女にとっては監視されてるみたいで気味が悪くなって別れを切り出して去っていく。その後、斎藤工の餌食になって犠牲になるわけ。なんか微妙だなあ。彼女から去られてるから、岩田剛典の愛情のほうも歪んでいるように思えます。
狂ってるやつが狂ってるやつに復讐したみたいな。なのでどっちにも感情移入できない。出てくる男女の関係がみんな歪んでいるので、おかしなやつらで勝手にやってろよって思っちゃう。
斎藤工と浅見れいなの歪んだ姉弟関係。岩田剛典が企画を持ち込む北村一輝も浅見れいなとつながっていて、父親殺しの手伝いをしたといういかれた関係です。岩田剛典と婚約者の山本美月はネットの自殺志願者サイトで岩田剛典がリクルートした関係。
全員おかしいじゃないかみたいな。勝手にしてくれよみたいな。