とにかく刑事たちの内面を描かない。生活感も出さない。悪党もそう。悪役はとにかく悪いやつ。伊武雅刀が演じてるけど、悪いやつということはわかるけど、何を考えてるとか、どういうやつとかはまったく描かない。
徹底的に内面描写を排除して外側で勝負してるところがあぶデカの斬新だったところだろうなあ。タカとユージのバディがあちこち捜査していくんだけど、脈絡あるようなないような、つじつまあってるようなあってないような話なんすよ。
それをギャグとアクションでつないでいく。それが心地よい。柴田恭兵の軽やかな体の動き。走って車を追いかけるシーンがあったけど、嘘だろって思うけど、柴田恭兵の動きを見てると追いつきそうだと思えるからすごい。
舘ひろしのダンディ。また演技が下手なんだ。短いセリフなのになんだかうまく言えてないなみたいなとこあるんだけど、謎の自信満々、スターオーラを醸し出してねじ伏せる。でんと構えてるのが様になってるからなあ。
器用で俊敏な柴田恭兵。どっしり構えて大物オーラをだす舘ひろし。ダンディタカヤマ、セクシーオオシタだっけ。このコンビは最高だ。珍しいですね。これほど我の強そうな俳優二人が主役で、お互いを潰すことなく魅力を増すように作用してるのは。
ダブル主演でも、どっちかがメインでどっちかがサブになるってわけでもなく、両雄並び立つってかんじでどっちも目立ってる。これは内面描写を排除したということが大きいかも。
ここまで中身を描かないってなかなかない。最近の映画は悩むヒーローとかトラウマをかかえる主人公とか、悩んで苦しむ描写とかいれる。それが人物描写に深みを出してキャラを奥行ある人間に見せると思ってるとこあると思うんだけど、それってほんとかなとちょっと思うなあ。
あぶデカでは悩みもしないし、何を考えてるのかすらわからないけど、キャラが薄っぺらくは感じないし、むしろ生き生きとした深みのあるキャラに見えるし。
ギャグやアクション、短いおふざけセリフや行動にすべてが網羅されてる。アクション自体がキャラの内面描写であるみたいな。
浅野温子がまたすごかったですな。もうわけがわからない。奇人というか、ジョーカーというか。好き勝手に一人暴走してる。バカンスに出かける女優みたいな衣装着てるし、言動がいっちゃってる人なんだもん。おもしろいなあ。衣装がすごいといえば木の実ナナも登場シーンの衣装はなんだあれは。
これからステージに立つロック歌手みたいな衣装で出勤してくる。え?ここ警察だっけ?ライブ会場だっけ?みたいな。仲村トオルもたいがい変なキャラですよね。女紹介するからと言われるとなんでも言う事きいちゃう。お気楽キャラ。
ベンガルもぜんぜんいなくてもいいキャラなんだけど、目立つんだよなあ。これは刑事アクションドラマという古臭いとも思える土台がしっかりあるがゆえに、その上で俳優たちが自由に動くことができるから成立してるんだろう。
中条静夫演じる上司にガミガミ言われるとかさ。伊武雅刀が権力者とつながってるから警察にも上層部から圧力あるとかさ。昔ながらの刑事モノのパターンがしっかりとある。お話とはしてすごくオールドタイプ。
役者たちがむちゃくちゃやろうが土台はゆるがない。だから俳優たちは思い切り安心してむちゃやってます。
宮崎美子がジャーナリストという役で出演してました。あと赤井英和が用心棒の役で。セリフはなかった。エンドロールで浪速のロッキーって書いてあったから、ボクサーやめたすぐあとですかね。まだボクサーやってたのかな。
あと柴田恭兵が缶コーヒー飲んで、舘ひろしがポカリスエット飲むシーンがあるけど、当時柴田恭兵がポッカコーヒーのCMやってて舘ひろしがポカリスエットのCMやってたんだっけ。タイアップすらもお気軽に挿入する。
その軽さがあぶデカの魅力ですね。