ナウシカってこんな話だったんだあ~。アイドルとアイドルファンの話じゃないか。ナウシカって何歳なんだろう。中学生ぐらいですかね。なんでもできるスーパーアイドルなんですよ。風の谷のリーダーの娘で蟲と心を通わせたり、風を読んだりできる特殊能力持ち。
知識もすごいし、剣術もすごいし、生まれも育ちも才能もすごい、すべてを持ってる少女。なんでもできて、なんでも知ってて、賢くて強くてしかも、持たざるものたちへの慈悲も持ち合わせている。
持ってる者の義務っていうんすか。ノブレス・オブリージュっていうやつですっけ。貴族はもってるからこそ、持たざる下々のもののために率先して犠牲になる義務を負う。中学生ぐらいの少女がその義務を負う覚悟を周囲に見せる。
こんなことされたら、おじさんたちはもうナウシカに夢中ですよ。ナウシカママ最高!ってナウシカに会った人たちは、ナウシカのファンになっちゃう。ナウシカ親衛隊です。くせえくせえと差別されてる蟲使いの人たちもナウシカは受け入れてくれると熱狂的信者になる。
巨神兵もナウシカをママだといって甘える。孫ぐらい年齢離れている爺たちも、姫さま姫さま、姫さまにはかないませんなあと群がってくる。小動物を手懐けるのも得意だし、蟲とも会話しちゃう。みんなナウシカに夢中です。
ナウシカはほんとすごいスーパーアイドルとして描かれている。ナウシカは世界を救うために自分が犠牲になっても構わないという姿勢を事あるごとに見せる。蟲に寄り添い、毒でやられて血をはく雑魚兵士をマウストゥマウスやって血を吸い出して救う、戦禍で孤児になった赤ん坊を拾う。
どうしてこんな幼い少女がそこまでのことができるのかと、不思議に思えるぐらいまでの全力ご奉仕。でもさ、それって単なる偽善でしょ、全員にいい顔なんかできないのに、しようとするのは自己満足でしょって。
それはナウシカもわかってるんすよねえ。とんだカマトト娘だなっていうのは自覚してる。あざといのはわかってる、でもやるんだよっていうね。アイドルなんて虚像で嘘なのはわかってるんだけど、でも全力でやるんだよっていうね。
そこにまた男どもが喜んじゃうんだよなあ。ナウシカ最高!って集まってきちゃいます。ナウシカというアイドルを描いたマンガだった。エコロジーとか戦争とかそういうのは、背景でしかないと思ったね。とにかくナウシカ、ナウシカ、ナウシカママ万歳。
宮崎駿が考える究極のアイドルは、少女の姿をした母親。なんでもできて頭もよくて強くてしかも包容力がある。少女の姿をしたママが最強だろ?っていうね。なんかすごい熱量でそれを描いてて、怖くなってきた。
マンガとしてはけっこう読み辛いと感じました。絵はうまいけど、コマ運びがあまりうまいとは思えず、なんかごちゃごちゃしてて動きがよくわからないなと思うところが多い。
それに話もあんまりピンとこない感じでした。最後もなんか唐突に終わったみたいな終わり方で、物語としてのエンディングを迎えた感動とか高揚みたいなものはまったくありません。
宮崎駿作品は物語のおもしろさはほとんどなくて、アニメーションとしての躍動感のある絵のおもしろさが魅力のほとんどなんだな。
いいキャラがいっぱいでてきますね。女の軍人。最強の剣士。人間臭い参謀。かっこつけすぎだなあと思いつつも魅力を感じるキャラクターたちが出てきます。まあでもナウシカの魅力全部のせみたいなスーパーアイドルぶりには敵わないけど。
なんかあれですよね、やっぱりアイドルマンガだからなのか、年頃の男性キャラクターがナウシカの周りにまったく出てこないような気がした。ナウシカの周りにいるのは、年の離れたジジイか子供、同年代の少年か、父親ぐらいの年齢のおっさんで、ナウシカが恋心をもつような年代の青年キャラがいない。
誰かいましたっけ。ジジイ、おじさん、少年、子供はいるけど、青年がすっぽりいない。森の人っていうのがいたけど、あの人らは超越してる別次元の人たちって感じなので恋愛相手という空気にはなってなかったような。
やっぱナウシカはみんなのアイドルだから、普通の女子みたいな恋愛を連想させるような年代の男子はそばにいさせられないってことなのかなあ。ママに男の影があるなんて許せないっていうことなのか。
人類が浄化とかなんとか、なんか小難しいこといってましたけど、そのへんは難しくてよくわからなかったけど、ナウシカスーパーアイドルマンガとしては楽しめました。何度も読み返しても楽しめそうですね。
アニメのナウシカもいつかちゃんと見てみたいね。