自分たちが儲けられるように、自分たちが生き残れるように、都合の悪いことは報道せず、都合の良いように報道するのは当然のことで、避けられないような気がするんですけど。
国家権力とか裏の大きな政治の力とかによって、メディアに圧力がかかって真実が抑え込まれてる!とかじゃなくて、報道会社は権力に忖度して圧力がかかる前に自ら権力側につくのが当たり前の組織のような気がするんだけど。
そういう会社に所属している記者がいくら頑張っても無理だろって思ってしまう。組織に所属して組織に逆らうって無理だろって。官僚のほうも、官僚組織に属して組織に逆らうって無理だろって。
この映画では記者と官僚が頑張ってはみるものの、結局、権力にはかなわないっていうことになってました。そうだったよね?違ったっけ。最後、やたらとスローモーションが長かったからうっかり寝そうになったからちゃんと見れてなかったかもしれないけど。
被害者家族に容赦なくカメラやマイクやレコーダーを向けてコメントを取ろうとする記者の横暴な様子とかもお決まりで、こういう報道もの映画で描かれるけどさ。あれもなあ、ひどいけど、記者もただのサラリーマンで会社から言われた仕事を真面目にしてるだけだからなあ。
締め切りまでに取材してコメントとって、このスペースをうめる記事を書けよって上司から言われて、やってるだけだし。彼らにとってはそれをやれなければ、日々の生活のおまんまを稼げない。
なんも考えずに日々のお仕事片付けてるだけだからなあ。
松坂桃李演じる官僚が先輩の死に義憤を感じて先輩の汚名を返上したくて記者に協力するわけだけど、彼もまた嫁も生まれたばかりの赤ん坊もいて、嫁はお産で死にかけたりもして、自分が好き勝手やって嫁や子供の未来を奪えないから、結局、無理なんだ。
シム・ウンギョン演じる記者はアメリカ育ちで日本のマスコミの慣習はおかしいと思ってけっこうズバズバわが道を行くっていう感じでやるんだけど、彼女も弱みがある。父親が記者で誤報を出したことを苦に自殺した。
まあ、なんか父親は誤報で死んだわけじゃなくて、真実の報道をやって消されたっていうことが最後に匂わされてたけど、違ったっけ?頑張ってほんとのことを報道しようとしたから、汚名を着せられて抹殺された。シム・ウンギョンもそうなるぞみたいな。
結局、個人の正義感や熱血だけでは無理なのはわかりきっているから、無理なんだろなとしか最初から最後まで思わなかった。だから、スリルとかサスペンスはなかったです。新聞やテレビやネットとかメディアに正義なんか求めるのが筋違い。