浅丘ルリ子も出てくる。こちらは大人のマダム感が出てて貫禄ある女性って感じだね。鷹といえばさ、石原裕次郎がもっと若いときに「鷲と鷹」っていうやつがあって、それでも二人は共演してて、青年として輝いてた裕次郎とまだ子供っぽさがあるルリ子って感じだったその映画では。
それが時がたって、あのときの若い輝きは失って中年の脂ぎった退廃的なムードを漂わせる石原裕次郎と、あのときは子供っぽかったルリ子が大人の女としてのムードをまとって、悪女を演じている。
なんだかときの流れを感じてしみじみしちゃった。映画はかなりいい加減というか、日活得意の活劇で見るべきところもあまりない感じなんだけど。
港で荷揚げの会社やってる石原裕次郎。相棒は安部徹。安部徹さんはだいたい悪役をやることが多いんだけど、この映画では裕次郎の相棒でいいヤツの役やってて珍しかったね。
丹波哲郎演じる警察が港の取り締まりを強化して、暴力団の麻薬の密輸を摘発していた。しのぎがやりにくくなった暴力団は石原裕次郎に目つけて、麻薬の運び屋をやらせようとするのだが、港で裸一貫やってきたタフガイ裕次郎なので断ります。
そこで引き下がる暴力団ではなく、片耳の潰れた男に裕次郎の車に細工させて事故を起こさせる。石原裕次郎は事故で足を怪我。一緒にのっていた妹、久万里由香は死んでしまう。
久万里由香がカバンかなんかにつけていたベルのキーホルダーが形見ってことで、石原裕次郎が右手の腕時計のところに巻き付けてました。妹のかたきはうつぞっていう誓のアイテムか。
なんか腕時計も特徴ある形してましたね。あれなんていう時計なんだろ。石原裕次郎の腕時計といえばロレックスのGMTマスターが印象的だけど、今作の時計はどこのブランドなのか。
腕時計は右手に巻き、いろんな腕時計をコレクションするなど、時計にはこだわりがあった石原裕次郎だからけっこういい時計なのかも。
それで退院してまたいちから仕事だってなるんだけど、暴力団が手を回していて借金をかかえてしまう。金策に駆け回るがなかなかお金を用立てることができず弱っているところに、バーのマダムの浅丘ルリ子がわたしの父親が金貸しやってるから紹介すると言ってくる。
男の痩せ我慢で一度は断る裕次郎だが、結局、ルリ子の父親を紹介してもらってお金を借りる。返せなければ、なんでも言うことをきいて言われた仕事をするという条件で。
そんでどうにかこの300万円あれば急場はしのげると事務所に帰ったところで、暴力団が襲ってきてお金を奪われてしまう。ルリ子の父親は暴力団とつながっていたのだ。というより、ルリ子の父親がすべてのグループをとりしきっている裏のボスだったのだ。
そんな感じでどんどん追い込まれていっちゃう石原裕次郎を描きます。もう、なんかね、悲しさがすごいのよ。金策に走り回って、どうにかできないかって悩んで、苦しんでいる姿が、まるで没落していく映画業界そのものを表現しているように見えて。
映画の内容とは別のところで哀愁を感じてしまったなあ。
浅丘ルリ子の謎の感じがおもしろかったかな。石原裕次郎のことが好きなのに、相手にしてもらえないから、苦しめてへこたれたところをどうにか自分に振り向かせたいという複雑な女心。
でも石原裕次郎はタフガイだから、どんなに痛めつけても弱音を吐かないので、永遠に結ばれないという悲しみ。
鷹と鷲のときは子供っぽすぎて、輝く青年石原裕次郎とは釣り合いがとれなかったが、今はもう大人の女になってどんな男ともつりあうように成長したが、相手の石原裕次郎のほうがかつての若さあふれる輝きを失っているという悲劇。
そんな話を映画関係なく勝手に想像して楽しくなってました。
映画の内容は、東映だっけ、東映がよくやってた和製ギャング映画のようなやつをやってるだけであまり新鮮味もないしおもしろみもないって感じだからなあ。
こういう暴力団の麻薬がらみの揉め事みたいな映画を高倉健や丹波哲郎とかで何本も東映がやってませんでしたっけ。
日活もそういう路線やってたんだなっていう面白みhあったけどね。
そして最後は、安部徹は死に、麻薬は裕次郎が交番に手紙つきでほりこんで丹波哲郎が動いて、浅丘ルリ子が父親を撃ち父親が浅丘ルリ子を撃ち事件としては解決。
一人生き残った裕次郎。夕暮れの港をテーマソングの「粋な別れ」が流れるなか、歩いていく石原裕次郎。そこに安部徹のまだ幼い息子が走り寄ってきて二人で歩いていく。
おしまい。
いやー、どうもさびしい映画だった。映画の内容と実際の映画の没落、石原裕次郎がもう昔の若さあふれる裕次郎ではないということが重なってしまって、しみじみとしてしまう。
夕日のなか、苦い顔した裕次郎が歩いていく姿にいろいろと重ね合わせて見てしまう。娯楽の王者だった映画の没落、裕次郎の若さがもはや失われているということ、沈んでいく太陽が悲しい時代の終わりを感じさせる。
やっぱ、石原裕次郎は1950年代の若い時の作品を見たほうがいいですね。元気いっぱいでかっこいいし。疲れを知らない若さの輝きがある。
後期の作品は疲れ切っちゃってる感じするから、見ててさびしくなっちゃうんだよなあ。「鷲と鷹」を見て若さ爆発の裕次郎で口直ししたいなあ。
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