空港からマンハッタンのダコタ・ジョンソンの家までのタクシーの車内での会話を描きます。人生ドラマ。
最初は他愛もない世間話っていうか、愚痴というかなんだけど、だんだんプライベートなところに話がきりこんでいく。
ショーン・ペンはめんどくさそうなタクシーの運転手。最近はなんでもアプリやカードだなんだってなってやだねえ、昔は現金でぽんとチップをはずんでくれたもんだ、困ったねみたいなこと話かけてくる。
うわー、めんどくさそう~って感じ。話しかけてほしくない人にとって、こういう運転手が一番困るっていうタイプです。
ダコタ・ジョンソンは不倫中です。年上で子供もいる男とつきあってるみたいで、スマホのチャットで男がエロいメッセージをしきりにおくってくる。君のこと考えるだけでビンビンだよみたいな。
ダコタ・ジョンソンは故郷に数週間帰ってて、そこからマンハッタンにもどってきた。だから会えなく寂しかったよ、すぐにやろうよとか男ががっついてくる。
でもなんか浮かない顔で深刻な顔。メッセージは普通に返してるんだけど、なんか心ここにあらずって感じ。
ショーン・ペンはどんどん話しかけてくる。おれは運転手何十年もやってるから、顔みればどんなやつかわかるんだとかいって、ダコタ・ジョンソンが不倫してることを言い当てたりする。
ダコタ・ジョンソンはプログラマーで若いし美人。あんた自立してる人間だねってショーン・ペンは言う。あんた若くてかしこくて美人で、でも男の名前をきいたときこたえなかったのは、不倫だからだなって。
ショーン・ペンが昔結婚してたときに不倫してたときの経験をもとに、その男はあなたに愛をもとめてない。ただやりたいだけだ。だからやめときなってアドバイスしたりします。男に愛してるとか言ったんじゃないの?でも男はあんたの愛をもとめてないよって。
ダコタ・ジョンソンは、うわ、そのとおりだ、あたってるって図星でどんどん個人的なことを話していく。よく当たると評判の占い師にはまっていくOLみたいに。
いや、うるせえよって無視してもいい感じなんだけど、ダコタ・ジョンソンは不安をかかえてるからショーン・ペンのうざ絡みにこたえていっちゃう。
相手を打ち負かす会話ゲームやってるという冗談まじりだけど、途中から本気の語りになってくる。
お互い相手がひくぐらいのすごいことを話しあって得点をきそうゲームみたいな感じで、冗談交じりなんだけど、だんだんシリアスに個人的な話をするようになっていく。
ダコタ・ジョンソンが子供のころに姉から受けた虐待?みたいな奇妙な話や、父親との別れのときに握手したことの話なんかをやるわけ。
まあ、もう二度とあわないだろうタクシーの運転手だから、逆に秘密にしたいようなことも話せるっていうのはあるかもね。
ダコタ・ジョンソンの子供時代の話をきいて、ああ、あなたは父親をもとめてるんだなってショーン・ペンが言うわけ。不倫相手をダディとか呼んでるんだろ?って。図星。そのとおりでダコタ・ジョンソン苦笑い。
やめとけやめとけ、そんな男って。不倫男がどんなだかいろいろと聞いていく。奥さんは地味でかわいらしいタイプ、ふーん、美人じゃないってことだな、子供が3人いて、子どもの動画を見せてくれたとか。
子供のことを話たり動画見せてくれたりするのは、あんたのことを少しは大事に思ってるのかもしれないなとかね。単なる浮気相手なら家族の話しないからなあとかね。
で、今回ダコタ・ジョンソンが故郷に帰ってたのは、姉と会うためで、昔の話とかも酒飲んでやったんだけど、父親と別れるときにあなたは握手なんかしてなかったと言われて姉と自分で記憶が違うことに驚く。
あの握手の感触は確かに残っててほんとうのはずなのに、姉はそうではないと言ってて、あの父親の感触はほんとうだったのか、それとも記憶違いで、あとから自分が作ったのか。
父親との関係が薄いだけに、あの握手の記憶が彼女にとって重要だったのに、それが揺らいでしまって困惑みたいな。
それと、彼女は妊娠していた。不倫相手の子供を。それを内緒で故郷で堕胎しようかと思ってたんだけど、できなかった。だから浮かない顔してたんすね。
おろそうと思ったけどできなかった。男は愛をもとめてないとショーン・ペンに言われてそのとおりだと思うけど、自分は愛をもとめてしまう。父親をもとめてしまう。
なんか最後、あんたは大丈夫だみたいな感じでショーン・ペンが言って、ダコタ・ジョンソンも話して勇気もらったわみたいな感じになって
チップを500ドルはずんで自宅に到着です。人生相談所の相談料ってことかな。
最後、ショーン・ペンが握手しようと手を差し出すんだけど、ダコタ・ジョンソンはその手をとらない。うーん、これがなんかよかったですね。
ショーン・ペンの気づかいというか心遣いはうれしいんだけどそこまではトゥーマッチ。行きずりのタクシー運転手と乗客が少しのあいだシリアスなことを話し合って、少し励まされたってことでいいじゃないって。
ショーン・ペンのほうはちょっと気持ちが盛り上がっちゃって、ダコタ・ジョンソンの父親気分みたいになってた。でもダコタ・ジョンソンは冷静で、そこまではないなって感じ。会話でちょっと気が晴れたけど、そこまではないよって。
タクシー乗っての会話という他愛もない日常の瞬間。それでなにかが大きく変わるわけでも解決するわけでもない。どこまでいっても、他人のその場かぎりの語りでしかない。
まあ、どうなんすかね。タクシーに乗ったと思ったら、人生相談所だったんだという世にも奇妙な物語だという見方もできます。
ありのままを話すぜ、今タクシーに乗ったと思ったらいつのまにか人生相談所でカウンセリングが始まっていたんだぜ。なにを言ってるかわからないと思うがもっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜって、ショーン・ペンの奇妙なタクシー人生相談所みたいな。
人生ドラマとしても楽しめるし、奇妙なタクシー話としても楽しめる。
二人芝居だけど退屈はしなかったのでよかったです。