最近の作品はだいたいどれもそうですね。ちゃんとしたというか、普通におもしろく見れるようなのは一個もなかったんじゃなかったっけ。このクラウドもそうです。
菅田将暉は転売ヤー。町工場で売れ残りの医療機器を二束三文で買いたたき、それをそのままネットオークションサイトに10倍の値段で出品して売りさばく。
菅田将暉にとって商品が本物か偽物か、いいものかゴミみたいなものか、本質的な価値は関係ない。適当に高値をつけて売れればよし。売れなければ値下げ。それでも売れなければ捨てるだけ。そのときそのときに売り抜けできればそれでいい。
商品の中身やその買い手のこととかそういうのは感知しない。純粋にものを右から左へ流してるだけ。転売ヤーの鑑です。資本主義の権化といってもいい。
彼女の古川琴音はなんかよくわからんやつ。地味なのか派手なのか、おとなしいのか高飛車なのか。なんともつかみどころがない女ですね。菅田将暉に寄生してるだけの女に見える。
窪田正孝は転売ヤーの先輩。でも今はうまくいってなくて、一発勝負ででかいことして逆転ねらったオークションサイトを立ち上げようとか夢みたいなこと言ってる。
菅田将暉にもいっちょかめっていうんだけど、菅田将暉はのりません。もうこの人は落ち目だしかかわらないほうがいいなって思ってるんだけど、表面上は先輩先輩っていちおうもちあげる。
そんな態度に窪田正孝はムカついている。
菅田将暉はクリーニングの工場で働いてる。そこの上司の荒川良々は菅田将暉のことをかっていて、管理職にならないかとしつこく誘ってくるけど、そういうの面倒だから断る。
もうそろそろ潮時か、転売ヤーとして専業でやっていくのもいいかもなって思って、仕事をやめて湖畔の大きな家に引っ越して転売ヤーとしてやっていくことにします。
アルバイトで助手の奥平大兼を雇う。謎の青年。引っ越してからなかなかうまくいかなくなっていく。夜中にバイクの部品を投げ込まれてガラスが割れたり、警察に被害届をだしにいったら、あんた転売ヤーで偽物ブランド品売ってるって噂だぞってあやしまれたり。
売上も伸びずにこのままではジリ貧だと、100万円おろして模型ショップにいって限定品のフィギュアを買い占める。これを高値で転売すればうまくいく。
そんなとき菅田将暉の転売によって被害を被ったというやつらがネット上で情報交換をやってて、菅田将暉の特定をし始めていた。
エスカレートして菅田将暉を殺すという話にまでなってて、菅田将暉を逆恨みするもの、ただの殺人ゲーム好きの変態たちが集まってほんとうに計画を実行しはじめます。
メンバーは荒川良々、窪田正孝ら。最初のほうで医療機器を買い叩かれた町工場のおじさん。こういう犯罪好きのトクリュウみたいなやつ。
いやなんでここまですんの?っていうメンバーですけどね。荒川良々は自分の誘いを断ったことを根に持ってる。自分の思い通りの返答をしないからということで相手に憎悪を抱いてる。逆恨み。
医療機器のおっさんにしても、オークションサイトで高値で売れるような商品なら、自分でオークションの相場調べるとかして売ればいいだけなのに、菅田将暉を狂ったやつだとかいって逆恨みしてるだけだし。
窪田正孝はおれのほうが先輩だったのに、今じゃ落ちぶれてあいつは裏でバカにしてんだろってひがんでるだけで、これも逆恨み。
バッグを本物だと思って買って借金のかたにしようとしたけど、にせものでボコボコにされてまた借金が増えたネカフェ民の岡山天音。菅田将暉のせいだって逆恨み。
菅田将暉はなんも悪くないんだよなあ。
転売ヤーは悪。だけど、この映画の菅田将暉転売ヤーは別に悪くもない感じです。バッグにしてもあれ、ブランド品の本物ですとは言ってないよね?ただのバッグですって高値で出品してるだけで、本物とか偽物とかいっさいふれてない。
それで菅田将暉に恨みをもつ軍団がせめてきてバトルになります。
サバゲー開始。サバイバルゲームにしか見えないチープな絵面。
ライフルとかショットガンとか拳銃とかで武装してるんだけど、ぜんぜん本物に見えない。おもちゃの銃でサバゲーしてる風にしか見えません。
そんで菅田将暉が捕まって、これから拷問してそれをネット配信するぞとかなる。そのころ奥平大兼が謎の行動をしていた。
菅田将暉のPCを勝手にいじっていたことでクビになった奥平大兼なんすけど、松重豊と接触、拳銃や菅田将暉のスマホを追跡する装置などを仕入れて菅田将暉救出に向かいます。
どういうこと?誰?って感じなんすけど、これは転売ヤーの守護神、人を資本主義へいざなう精霊的な存在のキャラクターなんだろね。
ちゅうちょなくリベンジ軍団に引き金をひき殺していく奥平大兼。え?なに?って菅田将暉もびっくりなんだけど、ぼくは助手ですから、こんぐらいしますよと平然としている奥平大兼にひっぱられるように菅田将暉も銃を手にリベンジ軍団と戦っていく。
銃撃戦でまたひとりまたひとりと仕留めていって、最後に窪田正孝、荒川良々もしとめて、ふうー終わったってひといきついて、そうそうあの出品してたフィギュアどうなってるってスマホでチェックしたら売れててやった~って。
どういうこった?みたいな。
ギャグなんだけど、別に笑えるというわけでもなく、大真面目に見て、これは資本主義の悪の面をメタファーでどうのこうのと分析するのも馬鹿らしく。
そこに彼女の古川琴音がやってきて、クレジットカードは?とたずねる。なんか知らんけどやたらとクレジットカードがどうしたこうしたって後半言ってくる。お金目当ての女というのをいいたいのかな。
あ、ここにちゃんとあるっていう菅田将暉に、後ろ手に拳銃をかくした古川琴音が近づいていく。
それで撃とうとするんだけど、弾がでない。撃鉄をあげないと弾はでないよって奥平大兼が彼女を撃って殺す。彼女は結局、金目当ての女だったのかって菅田将暉はここで気がつく。いや気がついてないのか、ずっと結婚を前提に付き合ってた真面目な彼女って思ってたのかな。
いや、転売のことで頭がいっぱいで彼女とかどうでもよかったのか。
やれやれこれからどうすんだおれって思ってる菅田将暉を車にのせて、これからもどんどん転売ヤーで稼いでいきましょうよって明るい奥平大兼が運転。
窓の外は燃えるような赤い雲のようなもやに包まれている。ここは地獄の入口かとぽつりと声がもれる菅田将暉でしたとさ、おしまい。
メフィストフェレスを相棒に地獄めぐりに旅立つ菅田将暉、みたいな。
なんなんだろ、これ?としか。黒沢清映画っぽいなあっていう感じです。それ以外ない。
これ黒沢清が監督じゃなくて、新人の誰も知らない監督の作品だったら、ギャグなの?ひどいなって冷笑されると思うけど、黒沢清監督作品だから、うーん、まあ、こういう作風だよね、これは深いねとか、あのシーンの不気味さすごいねとか
無理にほめる人がいっぱいいるだろね。なんも考えずに見たら駄作としかいいようがないんだけど。変な味わいがあるねという部分だけが面白みとして存在している。
笑っちゃうんだけど、古川琴音がキャミソール姿で奥平大兼を誘惑してみるシーンとか。キャミソール姿であらわれてこれみよがしにクリームを足にぬりこむ古川琴音。わたしに手を出さないのは菅田将暉に言われてるから?とか言っちゃうの。
いや、そういうわけではないけど、おれがそう思わないだけみたいな感じでそっけなくされる古川琴音。なんだなんだって感じ。妖艶な女が誘惑に失敗したっていうシーンなのか、自分は妖艶な魅力ある女だと勘違いしてる地味な女の滑稽なシーンなのか。
シリアスなのかコメディなのか、どっちなのかわからない。
黒沢清監督作品って最近のは全部、物好きな映画マニア向け映画になってるね。裏読みするのがおもしろいみたいな。