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『プリシラ(原題:Priscilla)』【映画のあらすじとネタバレ感想】


ホラー映画かな?エルヴィス・プレスリーがやばいやつにしか見えない。怖いよ。やばいやつが少女をゆるく監禁し続けたみたいに見える。エルヴィスがやばく見えるようにそういう意図で作り手が作ってるのかはわからないけど、なんかすごく不気味だった、プレスリーが。

エルヴィス・プレスリーと結婚したプリシラ・プレスリーの伝記映画。ソフィア・コッポラ監督。プリシラを演じるのはケイリー・スピーニー。エルビス役はジェイコブ・エロルディ。若い二人はなかなかいい演技してたなあ。よかったのはそれだけかも。

原作がプリシラ・プレスリーの書いた伝記らしいので、それに忠実に作ってるのかもしれないけど、あまりにもなんもなさすぎ。

こういうことありましたっていう羅列でしかない。エルヴィス・プレスリーとプリシラが出会って結婚して出産して別れましたっていうのを見せるだけ。

なんかもうちょっとドラマというか、なにかに焦点を当てた作りにしてほしかった。あまりにも平板すぎる。プレスリーがプリシラを持ち物のひとつのように扱い続ける。それに業を煮やしたプリシラが家を出ていく。おしまいっていうだけです。

14歳のときに出会ってるらしくて、そのときエルヴィスは24歳だっけで、すでに人気絶頂のスーパースター。兵役でドイツに駐屯してるときに出会った二人。なんか異国で気持ちが寂しくてお互い盛り上がっちゃったんだろうなみたいな。

いやでもさ、14歳ってちょっときびしいな。プリシラがものすごく子供っぽい見た目してる。プレスリーもまだ20代で若いとはいえ、ならんだ二人は兄と妹、年の近い親戚のおじさんと姪みたいに見える。

そっから婚約みたいな感じで、プリシラはエルヴィスの家で生活する。学校だけは卒業させろという親のためにミッション系の学校に転校して通う。学校で友達もできず、家では話し相手もおらず、孤立するプリシラ。

エルヴィスは映画の撮影だ、ツアーだなんだと家を何か月も留守にする。たまに帰ってくると取巻き連中と夜遊び馬鹿騒ぎ。それにプリシラもつきあうもんだから、まともに学業がつとまるはずもない。

よく眠れるよって睡眠薬をエルヴィスがプリシラにわたすのとか、ほんとやばいとしか思えない。何考えてんだ?みたいな。容量オーバーで数日間眠り続けたりとか危ないことにもなる。

体の関係はまだだ、そのときが来たらおれが言うからって、真面目なのか変なのかよくわからないエルヴィスの思考。

仕事先から電話でプリシラに家の火を消さずにおれを待っててくれってたびたび言ってるのが印象的でした。プレスリーにとってプリシラはそういう存在だったんだ。

ホームで待ってくれる純真な存在。だから人間扱いはしてないように見えたな。いやー、高校生に家でおとなしくおれを待っててくれよって、やっぱり変すぎる。

エルヴィスが変なやつっていう面がけっこう描かれてる。プリシラにドレスと拳銃をプレゼント。取巻き連中も常に拳銃もってて、エルビスと試し撃ちとかして遊んでた。エルビスってガンマニアだったのか。

オンボロ小屋が目障りだって自分でブルドーザー運転してぶっ壊すエルヴィス。ろくな脚本がこない、ろくな曲がこないと仕事に不満を言い出して自己啓発にはまるエルヴィス。

スピリチュアルな本とか読み出してスピってくるんだけど、すぐに飽きたのか本を燃やして処分。なにそれ、極端すぎる。

いやー、エルヴィスが変な人にしか見えない。そんな変な人につきあい続けて、そのうちまともになるのではって期待し続けてずるずると、結婚、妊娠、出産、子育てまできたけど、

とうとう最後にこりゃあかんわとさじをなげて家を出ていくプリシラ。自分で運転する車で、家の門をくぐるときにかかってる曲はドリー・パートンの「I WILL ALWAYS LOVE YOU」。ホイットニー・ヒューストンのカバーが超有名な曲。

歌詞が字幕で出てたんだけど、わたしは出ていく、でもあなたが嫌いじゃなくて愛しているのよ~みたいな歌詞で、プリシラの気持ちを表してるのかと。

嫌いじゃないけど、一緒に人生やっていくのは無理みたいな感じなのかな。付き合いきれんわって。気づくのけっこう遅かったけど、もしかしたらって思っちゃうんだろね。

今はこうだけど、結婚したら変わる、今はこうだけど妊娠したら、子供できたら、子育てしたら、男は変わると期待しちゃうけど、だいたい変わらない。ひどいほうに変わる。

よく考えたらプリシラはまだめちゃくちゃ若いんだ。20代後半、30歳手前で離婚だから、別の人生歩む再スタートを切る元気はまだまだあるわけだね。

いやー、なんかすごい話だなとしか。高校生でスーパースターと付き合って、20代をかけぬけていくってどんな感じなんだろ。有名人の生活って庶民からは想像もつかない。

エルヴィス映画ではありますが、エルヴィス・プレスリーの楽曲は使われてないし、ライブシーンがあるわけでもないので、地味な映像が続く地味なドラマでした。

なんかこう、なんていうか、プレスリーとプリシラが恋に落ちた描写とか劇的にポップに描いてくれてたら楽しめたと思うけど、ほんと地味なだけでポップさがないからつらかったなあ。

その地味さ、暗さがなんか怖いって思ってしまう。地味なホラー映画を見たような感じだ。

オースティン・バトラー主演、バズ・ラーマン監督の「エルヴィス」とあわせて見比べるのもいいかな。