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『流浪の月』【映画のあらすじとネタバレ感想】


凪良ゆうの小説を李相日監督、広瀬すず、松坂桃李出演で映画化。ファンタジーで詩的な感じの映画。メアリー・シェリーの「フランケンシュタイン」とか悲しきモンスター系のお話を連想しました。善なる心を持っているのに、他人とは異なるために、世間から迫害されてしまう。本人にとっては救いなのに、世間から見れば異常な変なこと、異質な存在だと白い目で見られる。

なんとか世間にまぎれて、普通をやってみようとするけど、やっぱり無理で、どんどん誤解されてどんどん追い込まれて、最後はもうそういう自分で生きていくしかないねって踏ん切りついて、腹くくって二人で新しく出発するみたいな。

最後にやっと始まる話。それまでが辛い辛いの描写が続くだけっていうね。何を見せられてるんだみたいな。

妙にリアリティがあるリアルなシーンがあったかと思ったら、ポエムな世界のシーンがあったり、またリアルがあって、またポエムがみたいな変なリズムなのでけっこう見るのはしんどかったかな。

流れるようには見れない。いちいちひっかかるみたいな感じで見づらかった。

そりゃ誤解されるだろっていう行動を広瀬すずも松坂桃李もする。誤解されても仕方ないってあきらめの境地。まあ、二人とも人には知られたくないことがあって、誤解を解こうと思ったらそれも説明しなきゃいけないからできないんだけど。

なんとかふれてほしくないことは秘密のままで、やり過ごせないかっていう感じだから、周囲の攻撃からサンドバッグ状態になっちゃう。自分はこうだ、自分はこうしたいんだっていう覚悟が決まってないから防戦一方。

昔、広瀬すずが子供のころに家出して松坂桃李と過ごしたことが、女児誘拐事件として世間を賑わせた。子供のときの広瀬すずは、白鳥玉季が演じてます。ときがたって大人になった広瀬すずは横浜流星とつきあってて、ファミレスバイトして普通に暮らしていた。

偶然入った深夜営業のカフェ。そこに松坂桃李がいて予期せぬ再会に心が乱れる広瀬すず。ずっと悪いことしたなあって後悔してんの。

世間では誘拐事件ってなってるけど、実際は父親が死んで母親は他の男と暮らして、広瀬すずはおばさんかなんかの家に引き取られたけど、そこの子供にいたずらされるのが耐えられなくて、公園で行き場をなくしてるところを松坂桃李に声かけられてついていった。

ロリコンがいたずら目的に子供を連れ込んだのではなく、行き場のない広瀬すずが逃げ込んで安心できる場所が松坂桃李のところだったというのが真相。松坂桃李はなんもせず、好きなだけいればいいよって、二人は一緒にごはん食べたり、映画を見たりして

楽しいバケーションのような時間を過ごしていた。まあ、でもそんなの世間からはわからない。ロリコンの誘拐事件の犯人と被害者っていう見方しかされない。

おばさんの家でそのうちの子供に虐待されてることが言えなくて、広瀬すずは松坂桃李が悪者になってしまったことを後悔しています。事情を説明してれば松坂桃李がなにもしなかったのがわかってもらえたはずだと。

わたしが松坂桃李に悪いことしたっていう罪の意識。まあ、子供がちゃんと事情を説明できるわけもなく仕方ないっすけどね。

それでさ、広瀬すずは横浜流星と幸せにやってんのかと思ったら、ぜんぜん幸せじゃないのよ。横浜流星が病んでる。

実家が農家で土地持ち。仕事は上場企業につとめてて、イケメンで広瀬すずの事件のことも知ったうえで結婚しようと言ってる。はたから見たらすごいいいやつで、バイトの同僚の趣里から、こんな条件いい男つかまえて羨ましいって言われる。

実態は横浜流星が精神的にやばいやつ。広瀬すずに理解あるふりしてるけど、それは自分が優位に立てる存在だと思ってるから。キズモノのおまえを受け止めてやるおれの言うことは当然きけるよねっていうスタンス。

わたしそんなにかわいそうじゃないよって広瀬すずが言ってましたけど、横浜流星はかわいそうな君をこんなに条件いいおれが選んだんだから当然おれを全面的に肯定するよねって束縛してくる。

松坂桃李と再会してそっちに心もってかれてる広瀬すずに暴力ふるったりしだす。ダメだ~、こりゃ。支配欲と自己愛のモンスター。

この横浜流星の相手を気遣ってるようで、本音は自分が甘えたいというのがにじみ出てるセリフや行動がすごいリアルで、横浜流星がこういう人のように見えてイメージダウンなっちゃうよって心配になるぐらいです。

理解あるふりをする昔ながらの男は上で女は飯炊き女で旦那の世話して生きるのが当然だという旧式の男。一番やっかいなやつだ。

でも、一方、あんまりリアルじゃない感じのシーンもあります。りんごを包丁でむいて食べてるとかね。いや、こいつのキャラは自分でりんごむいて食べないだろって思った。

包丁で自分を刺すという展開のために、あらかじめ包丁を印象付けるためのりんごむきシーンだなって感じで、リアルさがそこはなかったです。

広瀬すずが出ていってショックで無精ひげはやして仕事も行ってなくて部屋はゴミだらけになってたけど、そこもなんかリアルじゃないって感じするし。

自分で自分を刺すというのも、広瀬すずへの暴力が自分を傷つける方向へいったのかもしれないけど、わかるようでわからないようで。

リアルとファンタジーの振れ幅がなんかすごいあるんだよなあ。

松坂桃李のほうもさ、最初はすごい謎めいたやつって感じなんすよ。あんまりしゃべらないし、表情もかわらない。カフェは松坂桃李のお店らしいし、多部未華子が恋人でいて普通に暮らせてるっぽいけど、なんかリアリティないやつだなって。

それが後半は、よくしゃべるし、笑ったりもするようになってる。こわばった心がときほぐれてきたから、自分のことをしゃべるし、笑顔も見せるように変化したんだろうけど、なんかキャラ変わりすぎのような気がした。

前半はほんと謎。なに考えてるのかわからない男で、そこがなんかおとぎ話の登場人物みたいでよかったんだけど、後半は人間になっていきました。

松坂桃李は身体に問題があって、性器が成長しないという障害をかかえててそれが彼のなかで暗い影をおとしていたっていうのが最後のほうでわかります。母親からは欠陥品あつかいで見捨てられ、大人の男に成長できないという苦悩にとらわれ続けていた。

母親を演じる内田也哉子の表情がなんとも言えない表情で、すんごい嫌悪感を息子に感じているのが伝わってくる演技で登場時間は少ないのに、印象が強烈。

でもさ、それで女児を家にくればって誘うのはよくないけどね。そんなの誤解されるに決まってるし。いや、普通によくないよなあ。もうどうにでもなれって感じだったのかな、お互いが。

まあ、だからこのへん、設定はすごくリアルで現実的なんだけど、松坂桃李のキャラクターとか広瀬すずの行動とかは、なんかファンタジーなんです。

そんなこといくらなんでもする?みたいなことを広瀬すずがするし。ファミレスのバイト仲間のシングルマザー趣里がパパ活で旅行行くから娘を預かってくれって広瀬すずが預かるんだけど、松坂桃李と一緒に世話する。

広瀬すずは松坂桃李の部屋の隣に引っ越してきてるから、3人で楽しくやってるんだけど、いや、こりゃやばいでしょ。どう考えても変な誤解されるし。横浜流星の嫌がらせなのか、ネットで画像ばらまかれたり、週刊誌の記事になったりしてた。

リアリティよりも、理解されない二人、心のキズを明かせないから誤解されて迫害される二人の苦難を見せたいというほうを優先された作りになってると感じた。

妙にリアルだったり、妙にファンタジーだったり。このリズムに乗れないとなかなかきびしいかも。

あと気になったのは、劇伴がうるさいのがちょっと残念か。弦楽器の調べがでかすぎて、セリフの邪魔をしてた。ぼそぼそつぶやくシーンで、BGMがすごいでかい音量で情感たっぷりに鳴るので、なに言ってるのかよくわからないところがけっこうあった。

音楽の使い方があんまりよくなかったなあ。ここ無音のほうがよくない?っていうところけっこう多い。役者の演技より、音楽が前にでてきて出しゃばってる感じがして音楽の使い方はあまりよくないです。

最後はハッピーエンド?なのかどうかわからないけど、やっと二人でやっていくというのが始まってよかったかな。

広瀬すずは、わたしがかかわることで松坂桃李に迷惑かかるのは重々承知だけど、わたしが安心できるのは松坂桃李と一緒にいるときだけだから、このひとと一緒にいようと決心。

松坂桃李は広瀬すずはちゃんと大人になっていくのに、自分は大人の男になれないという負い目に苦しんだが、それでもいいと受け入れてくれる彼女と一緒にいようと決心。

二人で生きていこう、また、受け入れられないことがあったら、別の場所に流れていけばいいさって。流浪の生き方をしても、どこでも見上げれば月は見えるって意味なのかな流浪の月って。

世間がどうでも、周囲の人間の目がどうでも、自分たちが変わらなければ、大丈夫なんだみたいな感じなのかな。

いやー、なかなか暗い話なので、あまり楽しいもんではない。それに妙にリアルなとこがあると思ったら、なんかファンタジーすぎると感じるとこもあったりで、

不思議な感じもしたね。エドガー・アラン・ポーの詩集がアイテムで出てくるけど、ポーの幻想小説っぽさもちょっとあるかな。




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