湿地帯で暮らすデイジー・エドガー=ジョーンズ。父親が暴力男で母親が去り、姉や兄たちも去り、最後は父親までどっか行って6歳のときから一人で生きてきた。
そんな彼女が、町の人気者、金持ちの息子の殺人容疑者になって逮捕されるというところから話はスタート。そっから彼女の過去になにがあったのかさかのぼって描いていく。
孤独なデイジーの唯一の頼りは雑貨屋やってる黒人夫婦。湿地帯でとれるムール貝を買い取ってもらったりしてなんとか食べていたのだ。6歳、一人でこんな生活。ハードだなあ。
湿地帯の女、湿地帯で暮らす貧しいやつって感じで町の住人たちは彼女のことを蔑み仲間はずれにしています。
学校に行けば給食もでるし、勉強もできるからってすすめられて、勇気をだして行ってみるんだけど、靴もはいてない、文字も読めないのをバカにされてそれっきり学校へは行かない。
わたしは一人で生きるんだって湿地帯に引きこもって、湿地帯の貝や鳥や昆虫などのスケッチをしてます。
まあ、それでいい年頃になった彼女に男が興味もってよってくる。最初はエビ漁船の息子でいずれは町を出て大学で学んでっていう男。読み書きを教えてもらって、けっこういい感じになります。
結婚もあるかもって将来を誓い合う仲になったけど、彼女は湿地帯から出ようとはしない。家族がいつか戻ってくるんじゃないかって、期待してるからか。
それですれ違いがあって、約束したのに彼が戻ってこなかったので、それで終わり。また次の男が彼女に近づいてくる。それが冒頭で死んだ男です。
金持ちのボンボンでいけすかない野郎なんだけど、最初は彼女を尊重して大事にするそぶりをみせる。まあ、彼女はその男のこと別に好きでもなかったけど、前の男に捨てられた傷心をいやすために付き合いだす。
またこれもいい感じになっていくのだが、ときどき男が見せる本性というか、身勝手な考えや行動が目立ってきて彼女は拒絶しだすと、男は彼女に暴力ふるいだします。
殴られて、ひるまずに殴り返してたのがおもしろかったけど。
とき同じくして、去ったはずの最初の男が戻ってくる。彼女のところにきて謝る。外の世界と君を天秤にかけて外をとったけど、やっぱり君なしの人生だと意味がないとわかったとかなんとか言うけど、彼女は捨てられたことの恨みで素直にはなれません。
まあ、親や家族に捨てられたっていうトラウマがすごい大きいからね。
でもぼくは君を見守るよ、あの男はひどいやつだからやめとけよって最初の男は言う。
それで彼女は湿地帯に地上げ業者がうろついてるのが不安になって、湿地帯の権利関係を調べると、祖父が購入してるのがわかって、彼女の権利になってるのがわかったけど、滞納してる税金を払う必要がでてくる。
どうしよう、まとまったお金ないよっていうときに、描いてたスケッチを出版社に見せたらって昔最初の男に言われていたのを思い出して、出版社のリストをもらってて、それに見本をおくったら出版がきまってまとまったお金が手に入る。
お金持ち男のつきまといがエスカレートしてきて怖くなってきた彼女。これはどうにか決着をつけなければってなって……っていうミステリー。
裁判のシーンが後半はメイン。いい弁護士がついてくれて、有能で検事の推測でしかない主張を冷静に否定していく。この弁護士は彼女が子供のころに学校に行こうとして、道で躊躇してるときに、君には学校に行く権利があるから堂々と行きなさいって言ってくれたおじさんだったっけ。
お金持ちボンボンは物見櫓の上の、はずれていた床板のところから落下して死んだ。誰かに突き落とされたんじゃないかっていうのが警察の見立て。男には赤い繊維が付着していて、それが彼女の家にあった帽子の繊維と一致して彼女が容疑者になった。
あと、男がいつもつけていた貝殻のネックレスがなくなってて、それは彼女がプレゼントしたものだったというのも、男の死と彼女を結びつけていた。
でも指紋も足跡もない。すべては検事のこじつけだって弁護士はそのせんで裁判を戦う。最初は司法取引で罪を認めれば10年の刑で6年ぐらいででられるからってすすめるんだけど、彼女はぜったいいやだ、わたしは犯人じゃないってかたくなに言うから無罪を目指します。
犯行時刻だと思われる時間に彼女は出版社との打ち合わせのために、町を出て別の町にいたというアリバイがあった。検事がいうには、バスで町を出て、出版社と食事して、夜行バスで町にもどってきて犯行におよんで朝のバスで戻ったに違いないと。
町をでるときは目撃されてるんだけど、夜行や朝のバスでは彼女を見たという人はいなかったのだが、それは変装してたからという主張。
弁護士はそんな突飛な考えをするのではなく、単純にそんなことしなかったと考えるのが合理的、湿地帯の女として差別してきた色眼鏡をなしで事実のみを考えてくださいと陪審達にお願い。
判決がでて、無罪になります。やったーって安堵する彼女と彼女の仲間たち。
それで最初の男がやりなおそうってやってきて、すぐに彼女も服を脱いでベッドイン。結婚しないか、もうしてるわってな感じで二人は湿地帯で楽しくくらして、彼女の図鑑は続編が続々出版されて何不自由なく二人は老人になるまで一緒。
そして老人になった彼女は、出ていったはずの母親の幻影がむかえにきて静かにボートで亡くなってるのを夫が発見する。
夫が遺品を整理していると日記帳にあの発見されなかった貝殻のネックレスが隠されていたのを発見する。彼女がやったんだ、すべてを悟った夫はだれにもいわずに貝殻を海の波にさらわせて捨てるのだった、おしまい。
いやー、話としてはほんと松本清張ミステリの悪女ものそのものだった。女はそんな弱いもんじゃないで、か弱いと見くびってたら逆に食われるで、こわいでっていうね。
湿地で親に捨てられ貧しくどん底に見える彼女を世間はさげすみ下に見る。近づいてくる男たちも、同情とか哀れみとかをもって彼女を見てる部分はあるわけ。
かわいそうっていう気持ちと好意がごっちゃになってる。彼女が関係する男どっちもそう。
だけど彼女は同情されるような弱い存在じゃないっていうね。
まあ、そりゃそうだよなあ。6歳で自活してるんだから、タフさの年季が町の人とは違う。生きるためにはどんなことでもする。邪魔者は強硬手段で取り除く。そういう人だった。
映像はテレビドラマ風で明るめで見やすいミステリーって感じでした。