別に演技力がどうとか、俳優のなりきり度がどうとか、そういうポイントはあまり重視しないタイプなので、ケイト・ブランシェットの実在してそうな真に迫った演技もすごいと思うよりも、それでなんなの?って思うほうが強い。
まあ、演技を存分に見せるタイプの映画ってありますよね。この女優のこの熱演、この男優のこの熱演、なりきりぶり、真に迫った名演技を存分にご賞味あれみたいな。
で、映画自体はおもしろくはないんだけどみたいなやつ。
これもそういう映画だったです。天才女性指揮者の転落ドラマ。最高峰のオーケストラで首席指揮者になるほどの女性指揮者リディア・ター。キャリアは絶頂をむかえ、バイオリン奏者とのあいだに娘もいて仕事も家庭も充実していたかに見えたが
不穏な空気がただよいはじめ彼女の転落が始まる。なんだろ、権力の座を登りつめたものが、権力を自分がおいしい思いをするために使ったことで破滅するみたいな話かな。
かつて指導していた若手女性指揮者が死んだらしいんだけど、ターは彼女をけなすメールをあちこちの関係者におくりつけて、彼女が仕事できないようにしてたらしい。
まあ、業界のトップ、天才と言われてもてはやされてるターがそんなことしたら、若手に未来はなくなる。リディア・ターはゲイなんすよ。それで若い女で気になる子がいたら手を出すのがくせみたいですね。
それを断ったかなんかしたから、その死んだ子は嫌がらせをされたような感じでした。詳しいことはよくわからないんだけど。
そんでさ、オーケストラになんか気になる若いチェロ奏者が入ってきて、さっそくちょっかいだしていく。プライベートでやるんだったらまだいいけど、公私混同するんだよな。
ターがエルガーのチェロの曲やろうって提案して、オーケストラで長年やってるチェロ奏者にソロやらせるのが普通なのに、オーディションで選ぼうとか言い出して、楽団員は、どういうこと?って戸惑う。
妻のバイオリン奏者は、こりゃこの若いチェロ奏者がお気に入りで言ってるんだなってピンと来る。
これたちが悪いのが、そのお気に入りの若いチェロ奏者は普通に実力もあるっていうところなんすよ。演奏うまい。抜擢されてもおかしくない。公私混同じゃなくて、純粋に作品をよくしようとしてやってることですよっていうポーズをとれる。
ほんとは公私混同なんだけど。
そこがより悪質というか、権力の私的乱用というか。
そんなことするのに、秘書の人は推薦しない。年寄りの指揮者をもう引退させるとかで、ポストがあくので、この秘書をそのポストに推薦するのが自然なんだけど、そうしない。
わたしは人選に私情はもちこまない、公平に考えた結果、彼女はまだ選ぶべきでないと思っただけだっていうポーズをとってるだけなんだ。
実際は私情100%なんだけど。
そのへんのずるさがね、ターという人の嫌な面としてばりばりでてましたね。
秘書や、ターに反感もってる人たちからのリークや糾弾もあり、ターはパワハラ疑惑、セクハラ疑惑でオーケストラを追放される。
追放されたのに、コンサートに乱入して自分が指揮をしようとして、暴れて暴力事件までおこすというおまけつき。
離婚もしたんかな。娘にもちゃんと会わせてもらえなくなって、仕事も家庭も失ったケイト・ブランシェット。
それでコンサルかなんかの会議で、今のところ仕事はないですね、これはいちからキャリアをたてなおすしかないと言われる。
そんな彼女に仕事がくる。東南アジアでのイベントでの指揮かなんかでよくわからなんけど、指揮の仕事ではあるようでした。
なんだろね、あれ。最後に指揮のシーンがあるんだけど、観客席に座ってるのは、なにかのコスプレをしてる人たちで、舞台にスクリーンがあってなにかのゲームの画面みたいなのがうつしだされて、冒険が始まるよみたいなナレーションが流れてた。
ゲームのイベントの指揮という仕事みたいだった。クラシックのオーケストラの指揮の仕事ではなさそう。まあ、あんなことあったらクラシックの仕事はできないですかね。
うーん、お話がいまいちなので、結局いまいちだったかな。前半、ケイト・ブランシェットが話してる時間が長くて辛かった。
インタビューで話したり、学生相手に授業で話したり、指揮者仲間と話したりとか、なんか話てるシーンがめちゃ長い、前半。
そこがけっこう辛かったかな。中盤のよくわからないミステリードラマ風の展開もいるのかいらないのかみたいな。若いチェロ奏者に振り回されるおばさんみたいな展開もどうなんかな。
秘書が突然辞職して引っ越しもしてて、ターちゃんびっくりとか、若いチェロ奏者の家をさがして階段で転んで顔面強打とか、サスペンス風な展開もあるけど、別にそういう話じゃないし。
悪事がばれそう、ばらそうとしてるやつがいて、ターがびびるとかいうサスペンス映画じゃないので。謎の告発者におびえて、精神が崩壊していく主人公、みたいなやつとしても作れたはずなんだけど、そうはなってないですね。
うーん、なにもかも中途半端なのに、上映時間だけが長いっていうあまりよくないパターンだった。
ターがたいして傲慢でもなく、そんなに嫌な奴でもなく、ほどほどの小者にしか見えないので転落してもなんとも思わないし。
なんかこそこそやって、しょうもないやつだなってぐらいの普通のやつにしか見えない。もっとどぎつい、もっといやらしい嫌な奴っていうのを見たかった。あからさまにやばいやつっていうキャラにしたほうがおもしろかったと思うんだけど。
女性が少ない業界でトップに登り詰めるために、実力があるだけでなく、えげつないことやってのしあがった人物にしては普通すぎた。
マッサージどっかいい店ないかって宿の人にきいたら、風俗のマッサージ紹介されて、ケイト・ブランシェットが途中で気がついて気持ち悪くなってゲロはいてたシーンがおもしろかったぐらいかな。
ターがやってたこともこれと同じ。金魚鉢からよさそうな金魚をみつくろって奉仕させてた。